表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/238

208. 兄が見ている世界 —大晦日とお正月③—

まり姉、ありさ、兄の三人はホテルに入り、チェックインを済ませると部屋へ向かった。


ありさは、

『わー、思ってたより広ーい!』

と、そのままベッドへダイブし、

『ふかふかー。』

と幸せそうな顔になる。


ベッドは三台あり、そのうち二台は並んでいるが、もう一台は少し離れた場所に置かれていた。


兄は、

『俺はこのベッドかなー。』

と言いながら、離れたベッドの近くに荷物を置いた後、

『まりちゃん、ありちゃん。せっかくテーマパーク内のホテルだから、ご飯の時間まで少し回ろうか?』

と声を掛ける。


まり姉とありさは、

『行きたい!』

と声を揃えた。


まり姉は、

『クリスマスは過ぎたけど、イルミネーションかなり綺麗だから、ありちゃんもスマホ持って行ったほうがいいよ!』

と言い、自分もスマホを手に取る。


三人は夕方のテーマパークを歩き始めた。


ありさは辺りを見回しながら、

『私たちが住んでる県のテーマパークって言ったらここなんだけど、実は来るの初めてなんだよねー。』

と嬉しそうに話す。


すると、

『あっ、このアトラクション……って言っていいのかわからないけど、待ち時間ないから入ってみよーよ!』

と、まり姉と兄の手を引いた。


まり姉と兄も笑顔で、

『行ってみよ!』

と後に続く。



中にはトリックアートが並んでいた。


ありさは、

『あー!これ見たことある!右と左で場所を入れ替わると背の高さが変わって見えるやつだ!』

と目を輝かせる。


さらに歩きながら、

『どうなってるの?って思ってたけど、遠近法を上手く利用してるんだねー。背が小さく見える方は見る人から遠くて天井が高いのに、背が高く見える方へ行くには、見る人に近づきながら坂を登るんだ。天井も低くなって……あいたっ!』

と頭を押さえた。


『頭ぶつけちゃったよー。』


兄は、その様子を笑いながらスマホで撮影している。


ありさはすぐに次の展示へ向かい、

『あー!あの絵、見る角度によって見え方が変わるよ!』

とテンションは最高潮だ。


絵へ近付いた後、真横から眺め、

『あっ……絵が立体的っていうか、飛び出してるじゃん!』

と納得したように頷いた。


一通りトリックアートを楽しみ終えると、


ありさは少し大人びた表情になり、

『人生って、知らない方が不思議で楽しいこともあるんだね。』

と呟く。


まり姉と兄は、そんなありさを見て微笑んだ。



次に目に入ったのはプラネタリウムだった。


まり姉は、

『小学校の宿泊学習以来じゃない?見ようよ!』

と提案し、三人で中へ入る。


上映が終わると、


まり姉は、

『あー、綺麗だったね。』

と満足そうに息をつく。


兄も、

『本当、宿泊学習以来だね。昼間プラネタリウムを見て、夜に本物の星を見に行ったの覚えてる?』

と懐かしそうに尋ねる。


まり姉は笑いながら、

『覚えてるよ!ありちゃん、昼間にはしゃぎ過ぎて夜には体力切れで半分寝てたよね。』

と振り返る。


兄も思い出したように、

『寝てるありちゃんに先生が「この星座は?」って聞いたんだよ。本人は寝ぼけて全然聞いてなかったけど。』

と笑う。


まり姉は、

『「ピザ?」「ござ?」って答えて可愛かったよね!』

と笑い出す。


ありさは、

『今の今まで忘れてたのにー!』

と頬を膨らませ、

『その時は眠くて半分夢の中だったのに、急にみんなに笑われて何が何だかわからなかったんだからね。』

と抗議する。


さらに、

『まりちゃんとあっくんが両隣にいたから安心してたのに、答えを教えてくれるどころか、「アザ」とか「インフルエンザ」とか「銀行口座」とか言い始めるんだもん!』

と言う頃には、頬はパンパンに膨らんでいた。


まり姉と兄は顔を見合わせると、それぞれありさの頬へそっと手を添え、


ぷしゅーっ。


空気を抜くように頬を押した。


ありさは吹き出しながら、

『まんま宿泊学習じゃん!!』

と笑う。


兄は優しくありさの頭を撫で、

『七年近く経った今でも、こうして同じことができる仲でいられるのが、本当に嬉しいよ。』

と微笑む。


まり姉も、

『わたしも!』

と言って、ありさと兄へ抱きついた。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ