207. 兄が見ている世界 —大晦日とお正月②—
コンビニに到着すると、まり姉、ありさ、兄は車から降りる。
まり姉は、そのままトイレへ直行した。
ありさは、
『あらら、まりちゃんどんだけ恥ずかしかったんだろ〜。』
と呆れたように笑った後、兄の腕を掴み、
『ねーあっくん、少しお腹空いたからお菓子買っていい?』
と可愛くおねだりをする。
兄は、
『いいよ、ありちゃん。まだ少し時間がかかりそうだから、ありちゃんもトイレに行っておいで。』
と微笑み、
『戻ってきたら、まりちゃんと二人で選んでね。』
と頭を撫でた。
ありさは、
『やったー!』
と嬉しそうに返事をし、買い物カゴへお菓子や飲み物を入れ始める。
兄は思い出したように、
『年末で人が多いし、ご飯に寄れないかもしれないから少し多めに買おうと思ってる。よろしくね。』
と伝える。
ありさは、
『はーい!』
と元気よく返事をした。
まり姉がトイレから戻ると、
ありさは、
『次、私トイレ行ってくるねー。』
と言って買い物カゴをまり姉へ渡し、トイレへ向かった。
まり姉は兄へ向き直り、
『あー、ありちゃんに言われて想像したら恥ずかしくなっちゃった。』
と顔をあおぐ。
少し落ち着くと、周囲を見渡しながら、
『やっぱ大晦日は人が多いねー。コンビニも結構混んでるよ。』
と呟く。
その瞬間。
ありさが、そーっとまり姉の後ろへ近づき、ガバッと胸を掴んだ。
まり姉は、
『わーっ!』
と驚き、
『ありちゃん〜。』
と少し頬を膨らませる。
兄は呆れたように、
『これ以上騒いだら、二人とも後部座席ね!』
と言うと、二人は素直に大人しくなった。
まり姉は、
『だって、ありちゃんが!』
と抗議し、
ありさは、
『さっき車の中で意地悪言ったからだよ〜。』
と言い返す。
兄は苦笑しながら、
『はいはい。続きは二人とも後部座席でしてね。』
と告げ、レジで会計を済ませた。
車へ戻ると、兄は、
『まりちゃん、ありちゃん、後部座席へどうぞ。』
と言う。
二人は、
『はい。』
と素直に返事をし、後部座席へ乗り込んだ。
車が走り出すと、まり姉とありさはお菓子を食べ始める。
ありさは、
『次は私が助手席だったのに〜。』
と口を尖らせながら、悪い笑みを浮かべ、お菓子のカスが付いた手をまり姉の服で拭った。
それに気付いたまり姉は、
『ありちゃーん!』
と叫び、ありさの胸を鷲掴みにする。
ありさは、
『痛い痛い! ごめんなさい!』
と慌てて謝った。
その直後、
車がガタンッと道路の段差を越えて大きく揺れる。
『いったーー!』
と二人は声を揃え、その後は顔を見合わせて笑っていた。
わたしは、
この三人、本当に仲良いなぁ……。
わたしには、こんな仲のいい友達いないよ……。
ゆりとみほとは何度かお見舞いに来てくれたけど、それ以外はほとんど会えてないもんな……。
もう学年も変わって二人は先輩になる。
同級生ですらなくなる。
来年度から復学する予定だけど……友達、出来るかな。
そんなことを考えていると、少し寂しい気持ちになった。
そんなことを考えている間に、車は少し渋滞へ巻き込まれたものの、ほぼ予定どおりホテルへ到着した。
ありさは、お尻を押さえながら車を降り、
『綺麗で大きなホテルだねー。私、修学旅行以外で外泊したのって、お兄ちゃん達の就職祝いで行った家族旅行くらいなんだけど、あの時は温泉旅館だったから全然雰囲気違うよー。』
と嬉しそうに話す。
まり姉も腰とお尻を押さえながら、
『ありちゃん、ご飯も美味しいみたいだから、たくさん食べようね。』
と笑顔を向ける。
するとありさは、
『満腹まりちゃん、私がいっぱい可愛がってあげるから、たくさん甘えてね。』
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