表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/233

197.わたしの新生活⑥

じいちゃんと二人で家へ戻り、わたしは離れへ入った。


お母さんが安心したように笑う。

『亜衣ちゃん、おかえり。朝みたいにボロボロになってなくて安心したわ。』


わたしは苦笑した。

(夕方まで同じ目に遭ってたら、確実に「もう嫌だー!」って泣いて騒いでたよ……。)


お母さんは続けて、

『晩ご飯の準備できてるから、食べちゃって。』

と声を掛ける。


『うん。』

そう返事をして食卓へ向かった。


食卓には兄もいて、いつもの席に座っていた。


わたしはご飯を食べながら兄へ声を掛ける。

『あっくん、わたしがお風呂から出たあと部屋に来て。

お願いがあるんだ。』

上機嫌な様子でそう伝えると、


兄は片眉を少し上げ、

『何かな?

俺にもメリットがある話なんでしょ?』

と確認してくる。


『うん!』

わたしは笑顔で頷き、そのまま食事を続けた。


兄は先に食べ終えると、

『二十時に部屋へ行くね。』

と言い残し、風呂へ向かう。


『うん! よろしく!』

わたしは元気よく返事をした。


食事を終えたわたしも風呂へ入る。


体を洗い終え、鏡を見る。

(じいちゃんがドン引きした顔って、こんな感じかな。)


試しに目を大きく見開いてみる。

『……かわいい、よね?』

誰もいない浴室で一人つぶやき、湯船へ浸かった。


『あ〜……生き返る〜。』

しばらく温まったあと風呂を出て体を拭く。


お母さんに保湿剤を塗ってもらい、圧迫衣を着せてもらう。


歯を磨き、自室へ向かう途中で兄と鉢合わせた。

『二十時ぴったりだね〜!』

そう笑うと、


兄は苦笑しながら、

『五分前行動でもいいんじゃない?

少し余裕があるだけで、慌てなくて済むよ。』

と助言する。


『善処します。』

わたしは軽く敬礼するような仕草をして答え、二人で部屋へ入った。


わたしは兄へ向かって、

『座って。』

と促す。


兄が腰を下ろすのを確認してから、わたしも正面へ座った。


そして深呼吸を一つ。


『分家の人たちとの顔つなぎをお願いします。』


兄は表情一つ変えず、

『俺にとってのメリットは?』

と尋ねる。


わたしは用意していた答えを口にした。

『まり姉に危険が迫っていて、それにわたしが気付けたら、すぐ情報を共有します。』


兄の眉が僅かに動く。

『回数制限なし?

まりちゃんだけじゃなく、ありちゃんと俺も、その対象に含めてくれる?』


『うん。』

わたしは迷わず頷いた。


続けて、

『それと、あっくんはいつでもこの家へ帰って来られるよう取り計らいます。

万が一のとき、帰れる場所があるって安心でしょ?』

少し得意げに笑ってみせる。


兄は静かに確認した。

『俺だけ?

まりちゃんや、将来できる子どもも含めて?』


『えっと……認めます。』

わたしは少し考えながら答える。

さらに続けた。

『それと、将来、次期当主になりたい人が複数現れた場合は、最終決定権をあっくんに一任します。』


兄はジト目でこちらを見た。

『もし亜衣ちゃんみたいに、抜け駆けして勝手に次期当主になる人が現れたら?

その場合はどうする?』

その質問に、わたしは言葉を失う。


考えても答えが出ない。


しばらく沈黙が続いたあと、兄が静かに口を開いた。

『じゃあ、こうしようか。』

兄は不気味なほど穏やかな笑みを浮かべる。

『俺が生きている間に、俺の承認なしで次期当主になった者は、自死する契約にしてもいい?』


『え……。』

思わず聞き返す。

『そんなこと……できるの?』


兄は笑みを崩さない。

『ああ、できる。』


短く答えたあと、

『ここで話す内容じゃない。母屋に全員集めよう。』

そう言って立ち上がる。


そして、わたしへ静かに手を差し伸べた。

わたしはその手を握り、立ち上がる。

兄と並んで、母屋へ向かった。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ