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183.わたしの入院生活14

〇林さんとの会話が終わると、

『急にお邪魔しちゃって、ごめんなさいね。

もうすぐ退院って聞いているけど、無理しすぎないようにね。』

そう優しく声を掛け、〇林さんは病室を後にした。


〇林さんと話した感想は、一言でいえば「優しいおばさん」だった。

気づけば、自分でも驚くくらい色々なことを話してしまっていた。


でも、不思議と後悔はない。

「話すだけで気持ちが楽になる。」

そんな言葉を聞いたことはあったけれど、本当にそうなんだな、と実感した。


その後は、お楽しみの入浴だ。

二日に一回しか順番は回ってこないけれど、シャワーを浴びるだけでも本当に気持ちいい。


意識を失っていた頃や、自分で身体を動かせなかった頃は、洗髪や清拭、陰部洗浄、おむつ交換まで全部看護師さんにお願いしていた。


だからこそ、今こうして自分で身体を洗えることが、本当に嬉しい。

しかも今は、自分一人でトイレにも行ける。

一時期は恥じらいなんて完全に投げ捨てていたけれど……

ようやく女の子としての感覚も戻ってきた気がする。


あとは皮膚だけなんだよなぁ。

命が助かっただけでも十分幸せなんだけど……

左腕や左胸、それに背中には火傷の跡が残っている。

まだ赤みもあるし、皮膚もボコボコしている。


毎日保湿剤を塗っているけれど、どうしても一人では手が届かない場所もある。


しばらくは、お母さんに手伝ってもらうとして……

その先は、どうなるんだろう。


わたし……

結婚できるのかな。

左腕や左胸、背中の傷を見て驚かれたら……

きっと、その場で泣く自信がある。


でも、

驚くこともなく、

「はいはい。」

って当たり前のように保湿剤を塗ってくれそうな人が一人だけ思い浮かんだ。

……あっくんじゃん!!


『まり姉ー! あっくんちょーだい!』

なんて可愛くお願いしたら……


うん。

何一つ、わたしにとって良い結果にならない。

この案は却下。


身体を拭き、保湿剤を塗って服を着替えた後、髪を乾かしていると、脱衣所の扉がノックされた。


やばい、時間押してる…


次の人が来ちゃった。


わたしは慌てて荷物をまとめ、

「髪は病室で乾かそう。」

そう決めて脱衣所を出る。


1人15分って……

やっぱり全然足りない!!


少し不満を抱えながら病室へ戻る。


マイボトルへ水を入れ、ドライヤーで髪を乾かし終えた頃、

『コンコン』

と病室がノックされた。


入ってきた看護師さんは笑顔で、

『明日、リハビリ担当からの報告と患部の状態を確認して問題がなければ、いよいよ退院だね。

亜衣ちゃん、本当によく頑張ったね。』

と声を掛けてくれた。


わたしは嬉しくなり、

『ありがとうございます。』

と頭を下げた後、


『背中だけ手が届かなかったので、保湿剤を塗ってもらえますか?』

とお願いした。


看護師さんは、

『もちろん。いいわよ!』

と笑顔で答え、慣れた手つきで丁寧に保湿剤を塗ってくれた。


いよいよ退院か……

約5か月。


長かったような。

あっという間だったような。


色んなことがあり過ぎて、よく分からない。


退院してもしばらくは自宅療養。

定期的な通院も続くだろう。

学校へ戻るのも、新年度からになるはずだ。


まだ不安は沢山ある。


でも、

ここまで乗り越えてきたんだ。

きっと、これからも一歩ずつ前へ進める。

そう自分に言い聞かせながら、わたしは静かに窓の外へ目を向けた。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

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