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181.わたしの入院生活12

もう年も越しちゃったか――。


わたしは病室のベッドに腰掛け、窓の外をぼんやり眺めていた。


今までリハビリで習った動作を自分に無理のない範囲で行う。


勉強も動画を見ながら、できるところまで進める。


分からないところや出来なかったところは、年始誰かに聞けばいい。


やるべきこと、頑張るべきことは山ほどある。


今のわたしにできることを、一つずつ積み重ねていく。


それが今のわたしにできる精一杯だ。


……とは思うんだけど。


火傷って、本当に痕が残るなぁ。


全然消えないんだけど。


この圧迫用の服も、まだまだ着続けるのかな……。


そんなことを考えていると、


「コンコン」

病室の扉がノックされた。


『はい!』

と返事をすると、


『お邪魔しまーす。』

聞き慣れた、まり姉の明るい声が聞こえてきた。


病室へ入ってきたのは、まり姉、ありさ、そして兄だった。


わたしは嬉しそうに笑顔になり、

『まり姉、ありささん、久しぶり!』


と挨拶する。


まり姉も笑顔で、


『亜衣ちゃん、久しぶり!』


と返してくれた。


すると、ありさが少し驚いた表情になる。


『中学生の頃に少し挨拶したくらいだったと思うけど……私のこと覚えてたの?』


しまった。


兄の記憶の中では何度も会っていたから、つい距離感を間違えてしまった。


わたしは慌てて笑顔を作り、


『はい! 覚えてます!

ありささんのメロンに、いつかかぶり付きたいと思っていたので!』

と答えた。


ありさは一瞬固まった後、

『かぶり付くって……。』


と真っ赤になり、慌てて腕で胸元を隠しながら、まり姉と兄の後ろへ隠れてしまった。


その様子を見て、まり姉と兄は苦笑いしている。


まり姉は笑いながら、

『年も明けたから、挨拶に来たよ!

受験勉強や自動車学校があって、なかなかお見舞いに来られなくてごめんね。』

と申し訳なさそうに頭を下げた。


その時、まり姉の胸元で小さく光る指輪が目に入る。


この前、兄と出掛けた時の指輪じゃない。


きっと二人で新しいペアリングを買って、ネックレスとして身に着けているんだろう。


わたしは笑顔で、

『来てくれただけでも嬉しいです!

それと、その指輪……。』

と尋ねた。


まり姉は嬉しそうに胸元へ手を添え、

『あっ、この指輪ね!

あっくんとペアで買ったんだよ。』


と少し照れながら教えてくれた。


すると、ありさが頬をぷくっと膨らませ、

まり姉をジト目で見つめる。


『私は将来の旦那さんに、全部の指へ金とプラチナの指輪、それにブレスレットとネックレスまで買ってもらうからいいもん!』


わたしは思わず笑ってしまう。

『毎日筋トレになりそうですね。

肩も凝りそうですし……。』


少し間を置いて、

『道を歩いてたら、そのまま誘拐されそう……。』

と小さく呟いた。


まり姉は吹き出し、

『亜衣ちゃん、こんなこと言うようになったんだ。

なんか、あっくんに似てきたんじゃない?』

と笑う。


その言葉にハッとしたわたしは、

『あっくんのせいだよ!

責任取って、わたしにもプラチナの指輪買って!!』

と兄へ詰め寄る。


兄はぷいっと横を向き、ありさの頭を優しく撫でながら、

『ありちゃん、彼氏ができたら紹介してね。』

と完全に話題を逸らした。


『逃げたー!!』

わたしが思わず叫ぶと、

病室は笑い声に包まれた。


しばらく四人で他愛もない話を楽しんだ後、


まり姉、ありささん、兄は帰っていった。


……あの三人組、本当にいつも楽しそうだなぁ。


ゆりやみほも遊びに来てくれないかな。


そんなことを考えていたら、


「そうか……来年度から、まり姉やありささんは先輩になるんだ。」


と、少しだけ不思議な気持ちになった。

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