表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/232

174.兄が見ている世界 —デート⑦—

まり姉は、満足そうな表情でお腹をさすっている。


兄も、その様子を見て自然と笑顔になっていた。


この二人、本当に結婚して大丈夫なのか?

……いや、二人ともこんなに幸せそうなんだから問題ないのか。


わたしは深く考えないことにした。

幸せの形は人それぞれって言うしね。


兄はまり姉へ手を差し出した。

『まりちゃん、そろそろ行こうか。』


まり姉は気だるそうに笑う。

『歩かなくていいなら、まだまだ食べられるんだけどなー。』


そして、

『家だと、お母さんやゆりに色々言われるから、あんまり食べられないけど、二人っきりなら心置きなく食べられていいね。』

と嬉しそうに笑った。

『どっこらしょ!』

と掛け声をかけながら立ち上がる。


わたしは、こんなまり姉の姿見たくない。

まり姉は、わたしにとって姉みたいな存在で、

いつも真面目で、

曲がったことが嫌いで、

頭が良くて……


うん。

これは兄の前だけで見せる、本当のまり姉ってことにしておこう。


ありさは三人でいると安心してIQが下がるけど、

まり姉は兄と二人になるとIQが下がるの?

他にも発動条件があるの?


それより十八歳の女の子が、

『どっこらしょ!』

って……

はあ……

もういいや。

と、わたしは思考を放棄した。


まり姉と兄はホテルの部屋へ戻ると荷物をまとめ、チェックアウトを済ませた。


車へ向かう途中、まり姉が兄を見上げる。

『ねー、あっくん。

せっかくここまで来たんだから、一緒にハンバーガー食べに行かない?

距離的に、このお店ならお昼頃に着くよ。』


わたしは思わずツッコむ。

まだ食べるの?

まり姉だって人間なんだから、食べた分は出すんだよね?

それでこの体型を維持してるなら、ちゃんと溜め込まずに出してるんだよね?

……と、ふと疑問が湧いた。


兄は笑って頷く。

『せっかくだから行こうか!』

ホテルを後にすると、そのまま車はハンバーガー屋へ向かって走り出した。


助手席でスマホを見ていたまり姉が、目を輝かせる。

『今から行くお店、四十秒くらいで八百グラムくらいあるハンバーガーを食べたら無料になるみたい!

私、チャレンジしてみていい?』


兄は即答した。

『いいよ。

俺は何にしようかな。

あんまり量が多くないやつがあればいいな。

残したくないし……。』


おいおい。

男女逆転した?


しばらくすると、まり姉が急に慌て始めた。

『私、う〇こ!

そこのコンビニ寄って!

ついでに飲み物も買おうよ!

私、カフェオレがいい!』


『了解ー!』

兄は笑いながらコンビニへ車を停めた。


まり姉ー!

やめてよー!

もう次に会った時、どんな顔して会えばいいのかわからないよ……


コンビニへ着くと、まり姉は一直線にトイレへ向かう。


兄は飲み物売り場で、

どのカフェオレにするか、

どのブラックコーヒーにするか、

さらにペットボトルにするか、コンビニコーヒーにするか悩んでいた。


ペットボトルかコンビニコーヒーかって迷うよねー。


一昔前なら、

「キャップ閉めたらこぼれないし、ペットボトル一択!」

って思ってたけど、

今は同じ土俵どころか、お店によっては迷うことなくコンビニコーヒーを選んでる気さえする。


ただ、兄の悩み方は少し特殊だった。

値段では決めない。

店員さんや、お店の様子をじーっと見てから選ぶのだ。


その間に、まり姉はトイレを済ませ、スッキリした表情で戻ってきた。


わたしは驚く。

まり姉のお腹がぺったんこになってる!?

全部出したのか?

しかも雰囲気まで、いつものまり姉に戻っている。

何だったんだ?

と、わたしはますます分からなくなった。


『お待たせー。

まだ選んでたの?』

まり姉が不思議そうに尋ねる。


兄は棚を見ながら答えた。

『いや、今ペットボトルにしようと思ったところ。』


『じゃあ、私これがいい!』

まり姉はペットボトルのカフェオレを手に取る。


兄もブラックコーヒーを選び、そのまま会計を済ませた。


車へ戻ると、再び目的地へ向かって走り始める。


まり姉は少し照れくさそうに笑った。

『さっきの私の姿、あっくん以外には見せられないなー。』


兄も笑う。

『食べ過ぎた時に発動するレアまりちゃんねー。

あれはあれで、俺は好きだけどなー。』


まり姉は照れ笑いを浮かべる。

『お母さんとゆりからは、結婚するまでは禁止!って言われてたんだけどね。』


わたしは驚いた。

まり姉って、食べ過ぎるとあんな感じになるんだ。

子どもの頃から一緒にいたのに、知らなかった。

食べ過ぎると消化にエネルギーを使うって言うけど……

あれは別人だから!

そう、一人でツッコミを入れるのだった。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ