164.兄が見ている世界 —引越し準備15—
兄が、
『明日ディーラーへ予約は入れているのに、車をどうするか全く考えられてないから、まりちゃん、ありちゃん、少し相談に乗ってくれないかな?』
と尋ねた。
まり姉とありさは、
『了解。』
『いいよー。』
と、それぞれ快く了承する。
家に帰ると、兄はまり姉とありさを自室へ案内した。
2人はくつろぎながら、それぞれスマホで検索を始める。
まり姉が、
『予算は400万円までで、新車のト〇タ車がいいんだよね?』
『SUVじゃなくても問題なし。』
『恐らく長く乗るだろうし、将来の家庭のことも考える必要があるってことでいいのかな?』
と確認すると、兄は頷いた。
すると、ありさが元気よく手を挙げる。
『私はア〇アがいいと思う!』
『人気もあるし、特に不具合の声も聞かないから無難でいい車種だと思うよ。』
『燃費もいいし、税金面で考えても維持費が安いし。それにカラーバリエーションも豊富!』
続いて、まり姉も自分の意見を口にした。
『私はカロ〇〇クロスかヤ〇〇クロスくらいがいいと思うよ。』
『車高が高すぎるのは問題だけど。』
『でも、ある程度の高さはあった方が乗り降りしやすいと思うし、出掛けると坂が多い場所もあるから、底を擦る心配も減るよ。』
『底を擦ったとしても、下回りってパッと見じゃ分からないから気付くのが遅れることもあるし。』
『そもそも擦らないで済むなら、その方がいいと思う。』
ありさが、
『で、あっくんの意見は?』
と尋ねる。
兄は少し考えた後、
『ラ〇〇ル乗れないなら、何でもいいやーって気持ちになっててさ。』
『軽貨物を考えてた。』
『今のじいちゃんの車も、そんなに悪くないなーって。荷物も載るし……。』
『そんな感じの車を買おうかなって悩んでたよ。』
『燃費はそれなりだけど、税金は普通車より安いし。』
と答えた。
その瞬間。
まり姉とありさは自分のお尻を押さえた後、お互いの顔を見て頷く。
そして声を揃えた。
『後部座席で長時間乗る人が可哀想だよ!』
兄は苦笑する。
『折りたたんで荷物を載せる前提の椅子だからね。』
まり姉は即座に反論した。
『笑い事じゃないからね!』
ありさも、
『うんうん!』
と激しく頷く。
まり姉がふと思い出したように尋ねる。
『あっくんの持ってる預金って、そこだけじゃないよね?
その銀行だけで縛る必要なくない?』
兄は当然だと言わんばかりに答えた。
『そりゃそうでしょ。』
『定期を崩すだけで渋られて、最低限しかくれないんだから。
今はNISAの枠を埋めるために、少しずつ定期預金を崩して移してる。』
『ジュ〇〇NISAを解約した時の積立金と、その期間の配当金は別の銀行口座にあるよ。
もちろん、お小遣いとお年玉もその口座。』
まり姉が目を丸くした。
『〇林さんは、そのこと知ってるの?』
兄は少し苦笑する。
『ジュ〇〇NISA分と、その間の配当金がどこへ行ったかくらいは気付いてると思うよ。』
『あの人、1円単位でも気付きそうだし……。』
『だから理由を付けて最低限のお金だけ渡して、生活費とか他に必要なお金は別口座を使えって考えたんじゃないかな。』
ありさはニコニコしながら身を乗り出した。
『で、結局いくら持ってるのー?』
兄は笑いながら、ありさの頭を撫でる。
『ありちゃんは、そんなこと気にしなくていいからねー。』
そして話題を戻した。
『後で電話して、明日はア〇ア、カロ〇〇クロス、ヤ〇〇クロスの3台を見せてもらえそうならお願いしてみるよ。』
そうして、その日の相談会はお開きとなった。
兄はまり姉とありさを、それぞれ家まで送り届けた。
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