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161.兄が見ている世界 —引越し準備12—

会計時、兄は今回購入した商品のうち、冷蔵庫と洗濯機を搬入する際に、照明器具も一緒に運んで設置までお願いしたいと頼み、了承を得た。


ありさがお会計の27万5千円を支払おうとした時だった。


兄が、

『ありちゃん、ちょっと待って。じいちゃんから貰った優待券があるから、それも使おうか。』

そう言って、2万5千円分の優待券を差し出した。


その結果、ありさの支払額は25万円になった。


元の予算30万円から5万円も下がり、ありさは嬉しそうに目を潤ませる。


続いて兄の会計。

合計42万円。

兄は、

『俺の分の優待券2万5千円分です。』

と言ってカウンターへ置いた。


金額は39万5千円になる。


すると兄は何かを思い出したように、

『そういえば、ここって〇ポイント使えますか?』

と尋ねた。


店員さんは、

『ご利用可能です。』

と答える。


兄はスマホを取り出し、

『じいちゃんも俺も全然使ってないから、失効した分も結構あると思うんだけど……。』

『残ってる分、全部使ってください。』


と言ってポイントのバーコードを表示した。



ポイントを差し引いた結果――


兄の支払額は24万円になった。


ありさの25万円より安い。


まり姉とありさは、揃って目を丸くしている。

わたしは心の底から思った。


え?


失効した分もあるみたいだけど、それでも10万円以上ポイントが残っていたってこと?

じいちゃんと兄、どんな生活をしてたらそんなことになるの?


後で聞いてみると、そのポイントは兄だけのものではなく、祖父と共有していたものらしい。


祖父が貰ったポイントも。

兄が貰ったポイントも。


ずっと同じ場所へ集めていた結果、気付けば大量に貯まっていたそうだ。


それでも失効していた分があるというのだから意味が分からない。


店員さんと一緒に、電子レンジと掃除機をありさの分と合わせて二つずつ車へ積み込む。


積み込みが終わると兄は、

『よし! 次は気持ちを入れ替えて家具を買うぞ!』

と宣言し、車を走らせた。


すると、まり姉が兄へ尋ねる。

『そういえば、その優待券って何なの?』


兄は当然のように答えた。

『推し活してたら届いた。』


ありさは即座に反応する。

『待って待って待って!』

『誰に? というか何に推し活してるの?』


兄は少し考えながら、

『人じゃないんだけど、法律的には人なのかな?』

と首を傾げた。


そして、

『この家電量販店の株を650万円分くらい持ってたら届いた。』

と説明する。


まり姉は呆れた顔で、

『で、推し活は?』

と聞いた。


兄は平然と答える。

『だからこの家電量販店。』

『応援したいと思って株を買った。』

『優待券も配当金もくれる。』

『立派な推し活でしょ。』


ありさは納得するどころか、さらに気になることができたらしい。

『じゃあ、さっきのポイントは!?』

『どうしたらそんなに貯まるの!?』


兄は苦笑いする。

『推し活してる相手がポイントをくれることもあるんだよ。』

『じいちゃんも俺も同じところにポイントを集めてたから、気付いたら結構な量になってた。』

『俺もジュニアNISAやってた頃から、貰ったポイントは全部そこへ入れてたし。』


そう説明した後、

『まあ、期間限定ポイントは結構失効してるんだけどね。』

と残念そうに続けた。

『もったいないよなぁ。』


その言葉に、まり姉とありさは顔を見合わせた。


失効しているのに10万円以上残っていた。


もはや理解の範囲を超えている。


兄は気にした様子もなく、

『でも、今から行く店で使えるポイントは持ってないんだよね。』

と言った。


しばらくして車は家具インテリアショップへ到着する。


まり姉、ありさ、兄の三人は車を降り、店内へ入っていった。

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