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152.兄が見ている世界 —引越し準備③—

自動車学校から家電屋さんへ移動する途中、


まり姉がありさを見ながら、ニッと笑って、

『あの道通ってみる?』

と尋ねた。


ありさはビクッと体を震わせ、

『ヒッ……』

と声を漏らす。


兄は、

『ありちゃんも俺も反省してるから……』

と助け舟を出した。


すると、まり姉は、

『知ってる! 確認しただけだから。』

と笑顔を見せる。


わたしは、前にこんな風に反省したふりをして、後で余計なことをした気がするなぁと思った。


しばらく運転すると、家電屋さんへ到着した。


兄は、

『まりちゃん、ありちゃん、到着したよ!』

と声をかける。


まり姉とありさは車から降りた。


まり姉が、

『まずは何から見る?』


とありさと兄に尋ねる。


兄は、

『手前からだと、冷蔵庫、洗濯機の順番になると思うよ。』

と答えた。


まり姉は、

『冷蔵庫はこの位置に置くんだよね?

サイズはどのくらいまで入るのかな?』

と兄へ尋ねる。


兄は図面を確認しながら、

『まりちゃんと俺の部屋だとこのサイズ、ありちゃんだとこのサイズが限界だね。

ただ注意する必要があるのが、扉のサイズだね。』

と説明した。


まり姉とありさが、

『扉のサイズ?』

と聞き返す。


兄は頷きながら、

『そう。玄関のドアもそうだけど、そこまでの通路や扉もあるからね。

そこを考えると、もう一回り小さいのが現実的だと思う。』

と続けた。


そして、

『流石にクレーンで吊って搬入は追加料金が凄いことになるし、故障での買い替えや再度の引っ越しを考えたら、さすがに冒険は出来ないよ。』

と苦笑した。


まり姉は、

『この中から探すわけだけど、どれにしようか。』

と冷蔵庫を見渡した。


ありさは値段を見て、

『んーー!』

と悩んでいる。


そこへ店員さんが現れた。

『いらっしゃいませ。冷蔵庫をお探しですか?』

と声をかけられる。


兄は、

『はい。』

と答え、図面を見せた。


店員さんは図面を確認し、

『この作りの家ですと、確かにこの商品あたりが限界ですね。』

と説明する。


兄は、

『ですよね。

今、この条件に合う商品の中で、一番値引きして頂ける商品はありますか?』

と尋ねた。


店員さんは苦笑いしながら、

『あまりお値引きは行っていないのですが……。

強いて言えば、この商品でしょうか。』

と答える。


兄は、

『ちなみに、この商品がお安くなっている理由って何ですか?』

と聞いた。


店員さんは、

『型式や在庫数でしょうかね……?』

と首を傾げる。


兄は、

『お教え頂き、ありがとうございます。

でしたら先程、値引きの可能性があると教えて頂いたこちらの商品ですが、値引きして頂けた場合はいくらになりますか?』

と尋ねた。


店員さんが確認を取り、

『百円未満を切り捨てる程度が限界ですね。』

と回答する。


兄は、

『ありがとうございます。参考になりました。

ちなみにですが、冷蔵庫や洗濯機を購入した後、配送や設置にはどのくらい費用がかかりますか?』

と続けた。


店員さんは、

『標準的な作業でしたら千百円からになっています。』

と説明する。


兄は、

『ありがとうございます。

次来た際に購入したいと思っているので、欲しい商品の型式と金額をメモさせて下さい。』

と頭を下げた。


そして、

『まりちゃん、ありちゃんは冷蔵庫だと気になるのはあるかな?』

と二人へ尋ねる。


ありさは、

『はて?』

という顔をした後、

『安くて冷えたらいいんじゃない?』

と答えた。


まり姉は、

『多分、休みの日に作り置きして、平日は温めて食べることになると思うから、冷凍室が真ん中で、なるべくスペースが大きい方がいい。』

と自分の考えを話した。


ありさは、

『おぉー、なるほど。』

と感心し、

『わたしは真空のスペースがあるのがいい!』

と続けた。


兄が首を傾げ、

『ありちゃん、何で?』

と聞く。


ありさは、

『開ける時、プシューって言ってカッコよかったから?』

と答えた。


兄はため息をつき、

『ありちゃん、三人でいる時、IQ落としすぎ!』

とツッコミを入れる。


ありさは肩をすくめながら、

『今まで独りぼっちになる悲しさ、寂しさ、恐怖で気を張り詰め過ぎた反動が出るの。

昔と同じ三人でいることが出来るって思うと安心して、つい……ね。』

と答えた。


兄は、

『このサイズの洗濯機で気に入るのが無いか見てて。』

とまり姉へ声をかけ、先に洗濯機コーナーへ向かわせた。


ありさはムッとした顔になった後、軽くため息を吐く。


そして、

『私は、この観音開きタイプが気に入ったんだよね。

通路を考えると、開けた時に塞がりにくいからね。』

と真面目な表情で話し始めた。


さらに、

『買い物して帰って、さっさと冷蔵庫に入れたいのに扉が邪魔、みたいな?

でも、まりちゃんとあっくんの三人で買い物して帰ってくることを考えてたから、一人暮らしなら観音開きタイプじゃなくても問題ないかなって思い始めてる。』

と続ける。


そして最後に、

『私も仕事するわけだし、冷凍食品や作り置きを考えたら、都度しゃがんで冷凍室に出し入れするのは面倒だから中央がいいかな。

だから、自炊をするつもりだから、このくらいの冷蔵庫にしたいと思ってるよ。』

と締めくくった。


わたしは、ありさって兄と二人の時はもちろん、まり姉と二人の時も意外としっかりしているんだよなぁと思った。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

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