表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/232

146.兄が見ている世界 —自動車学校45—

兄が、ありさへ

『じゃあ、ご飯行くよ! あと30分後には写真撮影だから、朝早くてご飯食べられてないでしょ?』

と言った。


すると、ありさのお腹が

『クー……』

と弱々しく鳴る。


ありさはジトっとした目で兄を見ると、

『ご飯行こ!』

と即答した。


兄がスマホで調べながら、

『この辺だと回転寿司か二郎系ラーメンくらいしかないけど……売店で弁当かパンでも買う?』

と提案する。


ありさは、

『どのくらい待ち時間があるか分からないからねー。売店行こうか。』

と頷いた。


売店へ向かう途中、ありさが胸を張る。

『今日は私が奢ってあげるー!』

『カフェも抱き枕もたい焼きも奢ってもらってるし!』

『あっくん、遠慮せず好きなだけいいよー!』


兄は感心したような顔になると、

『へぇー。』

と呟いた。


そして売店の商品棚を指差し、


『じゃあ遠慮なく、この棚の端から端まで買っていい?』

と言った。


ありさの体がピタリと固まる。


数秒後。


『あっくん、ごめんなさい。やっぱ遠慮して欲しい。』

と震えた声で言った。


兄は吹き出しながら、

『ありちゃんこそ女の子なんだから、遠慮せずどうぞ。』

『残さず時間内に食べ切れる量なら、どれだけでもどうぞ!』

と勧めた。


ありさは、お弁当一つと菓子パン二つ、そして野菜ジュースを手に取る。


兄は、おにぎり二つとお茶だけだった。


ありさは、

『このくらいの量なら、私だって出せたもんね。』

と頬を膨らませる。


兄は笑いながら、

『女の子が変な気を遣わないの。』

と言って頭を撫でた。


会計を済ませ、二人はベンチへ座って食事を始める。


ありさは朝ご飯を食べていなかったようで、もりもりと食べている。


兄は、そんなありさを眺めながらおにぎりを食べていたが、一つ食べ終えたところで手が止まった。


やはりお腹はいっぱいらしい。


結局、もう一つのおにぎりはありさが食べることになり、


ありさは大満足そうな顔をしていた。


ありさが、

『ねー、あっくんってさー。家でも学校でも外でも全然ご飯食べないよねー。』

と不思議そうに聞く。


兄は、

『何でだろうねー。』

と笑った後、

『もう少ししたら沢山食べられるようになるから。』

と返した。


ありさは、

『なんか変なのー。ご馳走様でした。』

と手を合わせる。


兄は小さな声で、

『ありちゃん達が、楽しそうに食べてる姿を見てるだけで、今は満足だから。』

と呟いた。


その後、写真撮影会場へ向かう。


五分前に到着したにもかかわらず、既に長蛇の列が出来ていた。


ありさが、

『こんなに並んでたら少し早めに始めたりするのかな?』

と尋ねる。


兄は列を見ながら、

『それは無いと思うよ。』

『あの感じだと時間ぴったりに始まって、間に合わなかったら締め切られる気がする。』

と答えた。


そして、時間ぴったりに撮影開始。


ありさが呼ばれる。


椅子に座る。

『カシャ』

『はい、次の方。』

一瞬だった。


ありさは呆然としている。


兄も同じだった。


座った瞬間に撮影終了である。


ありさは、

『これ絶対、変な顔で写っちゃったよー。』

と落ち込んだ声を出した。


兄は苦笑しながら、

『頻繁に見せる物じゃないし、気にしなくていいと思うけどな。』

『それに、ありちゃん元が可愛いから大丈夫だって。』

と励ました。


その後は講習のような説明が続き、

ようやく免許証が配られる。


免許証を受け取ったありさは、真っ先に写真を確認した。


そして、

『やっぱりー!』

と叫ぶ。


兄が覗き込むと、

『目半開きじゃない!?』

『ていうか目つき悪く見えるよー!』

と、ありさは免許証を見ながら延々と文句を言っていた。


兄はそんな様子を見て、

『ありちゃんらしい写真でいいじゃん。』

と笑った。


ありさは、

『良くないー!』

と抗議したが、

兄は最後まで笑っていた。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ