137.兄が見ている世界 —自動車学校36—
兄はまり姉の手を握り、
『さあ、早速俺の家に行こうか!』
と言った。
まり姉は、
『はいはい。相変わらず、動き出すまでは遅いのに、決まってしまったら最短最速なんだから〜』
と言いながらも付いてくる。
兄は、
『ただいま!』
と母屋の玄関を開け、
『じいちゃん、ばあちゃん!
会わせたい人と、報告したい事があるんだ。』
と言った。
じいちゃんとばあちゃんが、
『おう、どうした!』
と言いながら出てきて、まり姉の顔を見る。
すると、ばあちゃんが、
『あら、まりちゃん。
少し見ない間に大人っぽくなって、本当に綺麗になったわねー。』
と笑った。
じいちゃんが、
『報告したい事は?』
と聞く。
兄は嬉しそうに、
『さっき、まりちゃんに告白して、本人の承諾をもらったんだ。
明々後日の夜、まりちゃんのご両親に挨拶をして、了承を頂けたら、正式に結婚を前提としてお付き合いしたいと思ってる!』
と報告した。
じいちゃんもばあちゃんも嬉しそうになる。
ばあちゃんは、
『ずーっと昔からの夢だったもんね。
良かったね。』
と言い、
じいちゃんは、
『こちらとしては何の異論も無い。
これから社会人になるんだから、お互いの責任のもと、好きにしなさい。』
とまり姉と兄へ言った。
そして、まり姉へ向き直り、
『明々後日、まりちゃんのご両親へ挨拶に行くようだが、篤志だけでなく、こちらも行った方が良いかな?』
と尋ねた。
まり姉は首を傾げ、
『明日中には確認して、篤志さん経由で連絡します。』
と答えた。
兄は、
『まりちゃんを家に送って行ってから、お務めに行ってきます。』
と言い、まり姉の手を握って家を後にした。
歩きながら、まり姉が兄へ、
『緊張したー。』
と言う。
兄は、
『それを言うなら俺でしょ!
可愛いお嬢さんを下さいって言うんだから。』
と言った後、
『一応、ちゃんと順番は守ってるつもりだから、あんまり怒らないで欲しいかなー。』
と苦笑した。
まり姉は、
『私のお父さんは、そんな野蛮じゃなくて理性的だよ!』
と言った後、
『確かに一線は越えてないけど、色々恥ずかしい記憶はあるんだけどー!』
と続けた。
兄は、
『小学入学前から一緒にいるんだから、お互いに恥ずかしいことの一つや二つはあるでしょ!』
と返す。
まり姉は、
『保健体育の教科書。』
とボソッと呟いた。
兄は硬直する。
『まりちゃん……?』
と聞くと、
まり姉は、
『ははは、ちゃんと責任取ってよね。』
と言い、兄へキスをした。
そして、
『行くよ。
ちゃんと家まで私を送ってよ!』
と言った。
まり姉、嬉しくて楽しそう。
まり姉って、こんな顔で笑うんだ……
綺麗。
と、わたしは思った。
まり姉の家に到着すると、
お父さんもいる。
お母さんも、ゆりも居るじゃん!
まり姉が、
『お父さん、お母さん、ゆり、ただいま!』
と言うと、
家族は、
『おかえり!』
と返した。
兄は覚悟を決めた顔をして、
『本日は、まりさんをお家まで送るだけのつもりでしたが、
まりさんのお父さん、お母さん。
まりさんと私の交際を認めて頂きたいです。
どうかご許可頂けないでしょうか。』
と頭を下げた。
まり姉のお母さんとゆりは、
「わーっ!」
という顔をしている。
まり姉のお父さんは……
よく分からない。
まり姉のお父さんが、
『家に上がって。』
と兄を家へ招いた。
まり姉のお父さんと、まり姉、兄は向かい合って座る。
まり姉のお母さんはルンルン気分でお茶を準備している。
ゆりは興味津々で隠れて覗き見ていた。
ゆり、バレバレだから普通に見てろよ。
と、わたしは思った。
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