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132.兄が見ている世界 —自動車学校31—

最寄りのバス停にバスが到着すると、ありさと兄はバスから降りた。


帰り道を歩きながら、


ありさは、

『あー、気持ち良かったー。だいぶ肩が軽くなったよ。』

と言いながら肩を回す。


そして小さな声で、

『でも、私のじゃあっくんを誘惑するに至らなかったか……』

と呟いた。


兄のスマホに通知が届き、しばらくしてありさのスマホにも通知が届く。


二人は、

『何の通知かな?』

と言い合い、


兄は、

『見てみようか。』

と言った。


二人はスマホを確認すると、同時に顔を見合わせてハイタッチした。


ありさが、

『まりちゃん、大学合格したんだって!

明日から一緒に自動車学校に通えるって!!

やったー!!!』

と大喜びする。


兄は、まり姉からの連絡と、自分と同じように喜んでくれるありさを見て、とても嬉しそうに笑った。


ありさは、

『まりちゃんが参戦したら、あっくん取られちゃうなー』

と言って兄を見る。


そして、

『ねぇ、今朝言ったことだけど。

あっくん、私と結婚してくれるなら、まりちゃんとどう接しても責めないよ。』

と言った。


さらに、

『まりちゃんと付き合ったり結婚したら、私と付き合ったり出来ないよー。いいの?』

と続ける。


兄は、

『何言ってるの?』

という顔を一瞬した後、


『俺が、ありちゃんとお付き合いさせてもらえたら、まりちゃんとお付き合いさせてもらえることは無いと思うよ。

まりちゃんは、その辺しっかり線引きするからね。』

と言った。


そして、

『それに俺は、まりちゃんのことが幼稚園に通っていた頃から……』

と言いかける。


しかし、その言葉を遮るように、ありさが言った。

『ぜーんぶ知ってて、言ってますー!

小学校、中学校、高校とずーっと一緒にいるんだから当たり前じゃん!

あっくんとまりちゃんがお互いをどう思ってるか、全部知った上で言ってるの!!』


少し大きな声でそう言った後、ありさは深呼吸をする。


そして、いつもの笑顔に戻った。

『あっくんの知っての通り、私、諦め悪いから。

悔しさをバネに何回も何回もチャレンジするから。

それに、あっくんとまりちゃん、両方の性格も全部知ってるから!』

そう言って笑う。


そして、

『私、こっちだから。また明日ね!』

と言うと、いつも通り手を振って帰っていった。


兄もいつも通りお務めを行い、そのまま就寝した。


翌朝。


兄は朝のお務めを終えると、バス停へ向かった。


そこには、まり姉の姿があった。


兄は笑顔で、

『まりちゃん、おはよー。』

と声を掛ける。


まり姉も笑顔で、

『あっくん、おはよ!

久しぶりだけど、元気してた?』

と返した。


兄はそのまま、まり姉を軽く抱きしめる。

そして鼻を近づけて思い切り深呼吸した。

『まりちゃんの匂い、落ち着く。』


まり姉は顔を引きつらせながら、

『変わってなくて安心するけど……

なんか私、独特の臭いがするわけじゃないよね?』

と兄へ聞く。


その時、

『あー、あっくん、まりちゃん、おはよー。』


と、ありさがバス停へ到着した。


まり姉と兄は、

『ありちゃん、おはよー。』

と挨拶を返す。


ありさは、

『私もまりちゃんと話したいから。』

と言うと、まり姉と兄の間へ座った。


そして、

『まりちゃん、合格おめでとー。

今日から一緒に自動車学校に通えるの、楽しみにしてるねー。』

と言った。


その後、ありさは兄をチラリと見る。


そして、

『あっくんはこっち!』

と言って、兄の頭を自分の太ももへ乗せ、そのまま撫で始めた。


まり姉は、

『私がいない間に何かあったのかな?』

と、ありさと兄へ尋ねる。


ありさは少し照れながら、

『えー、ちょっと恥ずかしいんだけど、

あっくん家にお泊まりして、一緒の布団で寝たりしたよー。』

と言った。


まり姉は驚いたように、

『え? そうなの?』

と聞き返す。


ありさは得意そうに、

『うん、そうなの!

恥ずかしいから消してもらったんだけど、寝顔を撮られたりしたよー。』

と話した。


まり姉は、じーっと兄を見る。


そして軽くため息をつき、

『でもどーせ、一線を越えるようなことは無かったんでしょー。』

と返した。


ありさは不満そうな顔をする。


兄は苦笑いしながら、

『バスが来たから乗ろうか。』

と言った。


ちょうど到着したバスへ向かって、


三人は並んで乗り込んだ。

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