99.兄が見ている世界 —期末試験⑨—
まきが、可愛らしい笑顔と声で、
『えへへ、先輩からの祝福を頂いちゃいました〜』
と言った後、真面目な表情になり、
『この祝福にお応えできるよう、私、頑張りますね。』
と続けた。
その言葉に、兄は少し困ったように笑い、
『まきちゃんは頑張り屋さんだから、すぐ無理するんだよな〜。無理はしないで欲しいな。』
と言った後、少し真面目な声になる。
『親愛を寄せてくれた、まきちゃんを失望させないように、俺も頑張るよ。』
そう言って、軽くまきを抱きしめる。
そして耳元で、
『頑張り過ぎて無理する前に相談してね。
何も出来ないかもしれないけど、一人で抱え込まないでね。』
と囁いた。
どちらともなく離れた後、
まきは意地悪そうな笑みを浮かべ、
『メッセージ、既読にもならないのに?』
と兄へ言った。
兄は困ったように笑いながら、
『今日帰った後から、なるべく毎日チェックするようにするよ!』
と返した。
そして、
『じゃあ、明日まで期末試験期間だから、お互いしっかり頑張ろうね。』
と兄が言う。
すると、
『次は私だねー!』
と、みきが兄の隣に立った。
『さーて、私はどこにキスしてもらえるんだろうねー。』
少し不安と期待が入り混じった表情で兄を見る。
兄は少し驚いた顔をした後、笑顔になり、
みきの鼻へ軽くキスをした。
みきは嬉しそうに笑い、
『えへへ、私は鼻かー。じゃあ私は!』
そう言うと、まきがキスした反対側の頬へキスをした。
わたしは思う。
この姉妹、姿だけじゃなくて笑い方までそっくりだなー。
その後、まき・みき姉妹と別れ、
まり姉、ありさ、兄の3人は帰宅するためバス停へ向かった。
バスを待っていると、
ありさが落ち着かない様子で、
『あのキス、何だったの?』
と聞いてきた。
兄は、
『頬へのキスは親愛。
額へのキスは祝福だったはずだよ。
キスする場所によって意味が違うらしいんだ。』
と答えた。
ありさは意を決したような顔で、
『じゃあ、わたしだったらどこにする?』
と尋ねる。
兄は即答した。
『ありちゃんだったら頬かな。』
ありさは、
『親愛かー。』
と言いながら、満足そうな、少し物足りなさそうな顔をした。
バスに乗り、
今度はまり姉が、
『私へは?』
と聞く。
兄は、
『どこにして欲しい?』
と笑って返した。
まり姉は、
『もー、もうもうもう!』
と言いながら顔を真っ赤にする。
あ、牛になった。
わたしは心の中でそう思った。
自宅最寄りのバス停へ到着し、3人はバスを降りた。
ありさと別れ、
まり姉と兄の2人で歩いていると、
兄が、
『既に口へのキスは小学生の頃、まりちゃんへ捧げたからね。
足の甲とか脛とかはどう?』
と言った。
まり姉は顔を真っ赤にしながら、
『対等であることが重要だと私は思うから、今のままでいいの!』
と答える。
鼻?
足の甲?
脛?
わたしは意味がよくわからなかった。
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