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98.兄が見ている世界 —期末試験⑧—

警察署へ到着すると、受付で交通安全協会の場所を聞き、まきと兄は収入証紙を購入した。


その後、4人で歩いて帰宅していると、兄が、

『次からは一人でも出来そうかな?』

と、まきへ尋ねた。


まきは、

『はい。』

と返事をしたものの、

『でも、次からは一人で買いに来るんですよね。』

と寂しそうに漏らした。


兄は、

『まきちゃんは友達も多いし、一緒に資格を受けた人達と来てもいいと思うよ。』

と答える。


まきは少し俯き、

『やっぱり寂しいです。

先輩が三ヶ月で卒業なんて……。

もっと早く会えていたらとか、同級生だったらどんなに良かったかって思います。』

と本音を口にした。


まり姉もありさも、その言葉に少し表情を和らげる。


まきは続けた。

『まり先輩は、いつも周囲に目を配ってくれて、困っていたら声を掛けてくれました。

夏休み終盤なんて、部長不在の中、自分が持っていない資格の問題の解き方や考え方を必死に教えてくれた姿には、本当にビックリしました。

ありがとうございます。』


まり姉は照れくさそうに笑い、

『そんな大したことしてないよ。』

と肩をすくめた。


しかし、まきは首を横に振る。

『私にとっては大したことでした。』


そして今度はありさを見る。

『ありさ先輩は、正直、部活も違ったので最近までほとんど知りませんでした。』


ありさが、

『うんうん。』

と頷く。


『でも話してみたら優しいし、明るいし、面白いし、印象が変わりました。』


ありさは嬉しそうな顔になった。

だが、次の言葉で固まる。


『あと、とても目立ってました。』


『え?』


『すごく目立ってました。』


『二回言った!?』

ありさが思わずツッコむ。


まきは真顔だ。

『だって本当に目立ってたんです。

料理対決の時、食事を運んだ時なんて、ゾクゾクしていました。』


兄とまり姉が吹き出した。


あ、わたしと同じ感想を持ってた人がいたんだ。

でも本人を前にして言えるのは凄い。

まき、意外と度胸あるなぁ。


ありさは顔を赤くしながら、

『もう、その話は終わりで!』

と抗議した。


まきは、

『本来は部活を引退された時に言うべきだったんですけど、なかなか言い出せなくて……。』

と頭を下げた。


しばらくして、まきの家に到着する。


まきは、

『少し待ってて下さい。妹を呼んできます。』

と言って家の中へ入っていった。


少しして、みきを連れて戻ってくる。


みきは兄を見るなり、

『全然返事くれないとは聞いてましたけど、既読にもならないとは聞いてないんですけど。』

と不満そうに訴えた。


兄は苦笑を浮かべ、

『試験の結果、良かったんでしょ?

まきちゃんから聞いたよ。

みきちゃんが頑張った成果が出て、俺も嬉しいよ。』

と声を掛けた。


みきは少し照れた。


そして、まり姉とありさが、

『姉妹そっくりだね。』

と感心する。


みきは軽くお辞儀をして、

『初めまして。みきと言います。よろしくお願いします。』

と挨拶した。


続けて、

『姉ちゃんとはよく似てるって言われますけど、最近は少しずつ違いも出てきてると思います。』

と付け加える。


まきが、

『みき、それどういう意味?』

と少し不満そうな顔をする。


みきは笑みを浮かべ、

『良い意味だよ。』

と返した。


まきはみきへ、

『こちらが、まり先輩。そしてこちらが、ありさ先輩だよ。』

と紹介した。


みきがありさを見ると、唐突に、

『でかいですね。触っていいですか?』

と聞いた。


ありさが、

『え?』

と困惑している間に近づき、みきはありさへタッチした。


まきは慌てて、

『みき、ダメでしょ! 私だってずっと我慢してたんだよ!』

と言って、みきに加わる。


3人がじゃれ合っている様子を見て、まり姉と兄は微笑んでいた。


そんな中、ふと兄がまり姉へ視線を向ける。


その視線に気付いたまり姉が、

『何? 私そんなに無いけど!』

と先に牽制する。


兄は柔らかく微笑み、

『俺は、まりちゃんが一番だと思ってるよ。』

と告げた。


まり姉は少し照れながら、

『何言ってるの。』

と小さく笑った。


3人で、しばらくじゃれ合った後、

まきは少し寂しそうな表情で、

『先輩達、本当にありがとうございました。』

と頭を下げた。


兄は、

『こちらこそ楽しかったよ。』

と笑う。


まり姉は優しく、

『また困ったら連絡してね。』

と声を掛けた。


その言葉に、まきは何度も頷いた。


そして別れの間際。


まきは兄に近づき、頬にキスをして、

『私、先輩のこと諦めてませんから!』

と、兄の耳元で囁いた。


不意を突かれたまり姉とありさは、驚いている。


『私が他にいい人を見つけるまでに、先輩から私へ告白しないと後悔しますからね。』

まきはそう宣言すると、可愛く笑った。


兄は少し笑いながら、

『まきちゃんは可愛いから、大人になってもモテモテで大変だろうなー。

次にまきちゃんに会える日までに失望されないよう、俺も頑張るね。』

と応じる。


そして、まきの耳元で、

『まきちゃんと一緒に生活した日々、とっても楽しくて幸せだったよ。』

と囁いた。


さらに兄は、まきの額へそっとキスをした。

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