バイオハザード編Ⅴ 地獄の殺意増し鬼ごっこと一切の容赦もない鬼畜ども
前回からほぼ時間経過してません。
「()」のカッコはよく聞こえない声とか小声の表現です。
次回埋め草編です。
「待てコラァ!!逃げるな卑怯者!!逃げるなぁ!!」
「なんとでも言いやがれ!!俺にプライドなんてもんねぇんだよ!!」
今日は、俺の休日だったはずの日。
それなのに俺はなぜか仕事に駆り出され、何故か命懸けで真凜から逃げていた。
ほんとなんでだよ畜生!!
俺は身体強化、機動強化、瞬足、動作模倣など持てる全てのスキルを使って逃げているが、真凜の元々の身体スペック差と電気を使った身体強化と加速で、少しづつだが距離が詰められている。
「あークッソどうしたら…!あっ、ほら後ろ、UFO!」
キツい!
自分で言っておいてなんだがこんなの今どきバカでもひっかからねぇ!
「えっUFO?!」
引っかかったァ!!
ダメ元で言ったことがったが、真凜はまんまと引っかかって振り返った。
「ッシャアバカめ!食らえ!束縛!!」
「甘い!!」
後ろを向いていた真凜は俺の詠唱に反応して即座に振り返り、束縛スキルに電撃を当てて打ち消した。
「はっ?!なんでお前そんなの出来んだよ!!」
「アハハハハ!!さすがのあんたでも知らないようね!!いい?スキルっていうのはイメージで発生する脳の電気信号?でなんかこう上手いことなってんのよ。だからこの前までニートしてた人のスキルなんて、電撃で余裕で上書きできるってわけよ!!」
こいつ、理屈も分かってなさそうなくせに厄介な!!
だがしかし!
「術式合成、魔術・護謨生成×呪術・過硬化×複合スキル・能力保護!発動、対真凜牢獄!!」
俺は走りながら術式を構築してゴム製の小部屋を生成、真凜を捕えた。
「バカめ!俺は仮にも大学でスキルの研究してたんだ。その程度の弱点対策ねってねぇわけがねぇだろうが!!」
「(いだっ!ちょっと急にこんなの出すんじゃないわよ!顔面ぶつけたじゃない!何が対真凜牢獄よふざけた名前付けちゃって!!こんなもの、私の愛銃で…)」
捕まった哀れな奴がなんか言っているが、反響してよく聞こえない。
「なんつった?よく聞こえねぇわー。あ、一応言っておくけどそん中で銃は使わねえ方がいいぞ?多分跳ね返るから」
「(ギャアァァァァ!!弾丸が!弾丸が跳ね返っ…危なっ!ってっ!!痛いかすった!!脚ちょっと切れたんですけど!!)」
よく聞こえねぇが、まぁ大丈夫そうだな。
余裕もできたし、転移の呪符で家まで…
「キュイ!キュイ!」
俺が格納術式の中から呪符を出していると、プルファが何かを伝えたそうに鳴いた。
「何だ?今ちょっと下級的速やかに逃げないとだから急ぎじゃなければ…」
プルファは牢獄の方を向いて鳴いていたので、そちらを見てみると牢の壁には内側からチェーンソーの刃のようなものが出てきて、壁を切り裂いていた。
そして壁は完全に切り刻まれ、真凜がそこから出てきた。
「は?!お前なんだそのアイテム?!」
チェーンソーではない。
いや、刃は普通にチェーンソーなのだが、持ち手の部分が小さすぎる。
まるで、チェーンソーの刀のようなアイテムを、真凜が構えていた。
「フハハハハ。私には電撃と銃しか無いと思ってたようね。残念。長物の武器も使えるのでした!銘は電磁。電気操作で動く剣だからそう名付けたわ。さぁ、お遊びはここまでだ!」
「呪符転移」
「は?!ちょっ!!」
なんか真凜が長々と喋っていたので、俺は普通に余裕を持ってそこから家に転移した。
てか、チェーンソーみたいな剣で名前が電磁か。
あいつほんとギリギリを攻めるの好きな。
まぁ何はともあれ、第一関門は突破した。
腐ってもあいつがうちの3番手な訳だし、これは3日逃げ切るのなんて割とヌルゲーだな。
わはははははは
「いらっしゃいませー」
…はは…は………
…は?
「隕石正拳ォッ!!」
「キュウアァッ!!」
俺が状況を理解できていないうちに、何故か転移先にいた不法侵入者が殴りかかってきた。
しかし、即座にプルファが氷の壁を生成して防御。
壁は砕け散ったが、無事防ぎ切ることができた。
「っぶねぇ…。助かったよプルファ」
「キュイ!」
プルファは嬉しそうに返事した。
よし、一旦落ち着こうか。
俺は転移で自宅に飛んだはずだ。
うん、確かに飛んだはずだ。
なのに…
「いずれ魔法少女となる者、アイビスピンクの名にかけて、この私に無駄骨折らせた相手を見逃すわけにはいかない!さぁ、大人しくやられなさい!」
不法侵入者こと刻は、再び俺に殴りかかってきた。
なんで、なんでこいつがここにいるんだよ!!
ここ俺ん家!なんなら俺の部屋!
「この不法侵入者が!!どうやって入ったんだてめぇ!!」
俺は刻の猛攻を障壁やら反撃やらで防いでいるが、それでもかなりギリギリだ。
「分からない?あんたんちナンバーロックでしょ?それで、こっちには萌樹さんがいるんだから、家に入るのなんて容易いんだよ。ところでさ、56562ってなんの番号?」
クッソあんのクソ姉貴マジで処すぞ!
セキュリティモラルどうなってんだよ!
あーもう!修理が面倒だが仕方ない!
『パリーン!』
あのまま戦りあっても俺は2分と経たずに負けるだろう。
なので、俺は部屋の窓を蹴破って外へ逃げ出した。
外にはまだゾンビどもがうじゃうじゃいるが、あそこにいるよりは100倍安全だ!
「コラ待ちなさい‼︎私に屈辱を味合わせた報い、ここで果たさせてもらおう‼︎」
「馬鹿野郎‼︎そこで魔法打つんじゃねぇ‼︎」
刻は部屋から逃げる俺に向けて魔法を乱射した。
しかし、あいつの魔法が狙い通りに飛ぶはずもなく…
「ギャァァァ‼︎部屋ァ‼︎俺の部屋がァ‼︎」
俺の部屋は、刻のノーコン魔法を喰らいまくってズタボロになっていた。
「フザケンナこの下手くそ‼︎ノーコン‼︎お前俺の部屋に何てことしてくれやがる‼︎今日俺どこで寝ろってんだ‼︎」
「誰がノーコンだ!細かいこと気にしないでよ!あんたがちょこまか逃げ回るのが悪いんでしょ⁈」
「俺真っ直ぐ逃げてるだけだわ‼︎」
刻はいい加減魔法で仕留めることを諦めたのか、割れた窓から飛び出して俺を追ってきた。
まずい、あいつ身体能力と超能力の実力だと真凛より手強い!
あとゾンビ共マジで邪魔だな!
「プルファ!ゾンビ共を風で道路の端に追いやれ!そんで詠唱圧縮!{術式合成!魔術・束縛×複合スキル・並列演算×空間探知×索敵×自動詠唱×自動照準}!発動!自動過重束縛!」
「キュアァァ!!」
俺はプルファにゾンビ共を道路端に追いやらせ、ひたすら束縛をかけていった。
こんな状況で仕事する余裕は本来ないのだが、逃げるのに邪魔すぎるからしょうがない!
「この程度で私を止められるとでも思ってるの
?!強制落撃!」
そしてその束縛スキルは未だ追いかけてくる刻にも放っているのだが、全部直前で落とされている。
畜生こいつら、こんな時だけ厄介な!
「マジでしつこいわ‼︎大粘道‼︎」
俺は背後の道路に粘液を張り、足を踏み入れた瞬間動きを封じる道を築いた。
しかし、刻はそれを難なくかわし、不触操作で爆速で飛んできた。
「あんた馬鹿じゃない?飛べる相手の足場を封じたところで意味ないってわかるでしょうに‼︎」
やばいどうする!
こいつ余裕で真凛より厄介だぞ⁈
もっかい転移…だめだ移動中は格納術式使えねぇから呪符が出せねぇ!
プルファの天候操作…もダメだ発動が遅くて当たんねぇ!
遠距離の直接攻撃は全部落とされるし、地面操作も飛んでる相手じゃ効果無い!
終わってんだろどうしろってんだ!
それからも、俺は手当たり次第に刻にスキルをぶち込んでいった。
障壁による進路妨害:殴りで障壁をかち割られる。
ブーメラン軌道の攻撃:ノンルック裏拳により防がれる。
プルファとも協力して飽和攻撃:全部超能力で落とされる。
現状出せる最大出力の攻撃:片手で弾かれる。
「ハハハハハ‼︎神速の終幕の実力もこの程度か!」
あいつ絶対魔法少女じゃないだろ!
もう言動が完全に敵のそれなんだよ!
次、なんか次の手を…!
「…?あぁ、もうほんとに手詰まりなんだ。もうちょっと楽しませてくれると思ってたけど、買い被りすぎだったかなっ!」
俺がどうにか対抗手段を考えていると、周囲にあった道路標識が急に引っこ抜けて突っ込んできた。
「は?!お前そこまで超能力使えたのかよ!」
標識の数は2本や3本程度ではない。
道路中の標識、総数20本強が、全て意思を持つように攻撃してきた。
なんだこれ!
俺はあのインディーRPGに出てくる超鬼畜弾幕スケルトンでも相手にしてんのか?!
「自動回避!自動障壁!照準誘導!射撃反射!演算加速!」
イケてる!
スキルフル活用でギリギリどうにかなってる!俺すげぇ!
でもキッつい!
ゾンビ縛り上げながら逃げながら20本の標識の攻撃からの回避と防御って、どう考えてもタスクが多すぎる!
辛い!苦しい!キツいと叫びたい!
「キツい!!マジきつい!!」
「アハハハハ!!アーハハハハハ!!」
大爆笑で追っかけてくるあいつ怖すぎるんだけど!!
よく考えろ!!
あいつの弱点…いや、強くないところだけでもいい!!
アニメやゲームだと、こういう全ステ格上の奴にはどう戦ってた?!
「これで終わりだ!!指標流星群!!」
刻は標識を自身の前に集めて、マシンガンのようにそれを打ち出した。
そしてその流星群というには綺麗さにかける容赦ない攻撃は、鬼のような速度で俺に連続で突っ込んできた。
これ絶対生きて返す気ないだろ!
「過硬岩障壁!」
俺は飛んでくる標識に対し、反射的に岩の障壁を生成した。
何やってんだ俺!
こんなの壁を避けて飛んでくるだけだろ‼︎
『ビュゥゥゥン!』
ほら来たぁ!
あーもうどうしたら!
『ダダダダダダダダッ‼︎』
俺はギリギリで殺意の高い標識をかわした。
そしてすぐさま2撃目3撃目がくると思い警戒したが、どうしたことか道路に突き刺さった標識は動かなかった。
「チッ、仕留め損ねたか。だけどまだまだァ‼︎」
そして、刻が岩の障壁を乗り越えてくると、再び標識が動き出した。
…あれ、これもしかして、目視できないと攻撃できない系か?
つまり、あいつ感知スキル使えないのか?
見えた、隙の糸!
「プルファ!地面に向けてありったけの氷柱を出してくれ!」
「キュイ!」
言った通りプルファは足元に5m程の氷柱を生成、俺たちは空中に打ち上げられた。
「バカめ!もらった!八方流星群!」
「照準誘導!」
俺が墓穴を掘ったのかと思ったのか、刻が全方位から一点狙いの攻撃をしてきた。
しかしそんな舐めプにやられる俺では無い。
俺は氷柱に照準誘導をかけ、標識を難なく回避した。
氷柱は砕けたが、それで良い!
「続けて飛行術式!過熱蒼炎!」
標識が全部回避できたのを確認すると、俺は少し宙に飛んで、氷柱に火力を底上げした炎魔法を放った。
そして氷柱は一瞬で蒸発し、煙幕を生み出した。
「ちょこざいな!小手先の技ばっかり使って!」
刻は文句を言いつつも標識は飛ばしてこない。
小手先で結構!
予想通り、あいつは視界さえ防いでしまえば敵じゃねぇ!
「(複合スキル・完全隠遁。続けて術式合成、魔術・土人形生成×呪術・色彩操作×複合スキル・形状模倣×照準誘導×自動駆動×自動回避×自動障壁。発動、土影武者)」
俺はこの隙に小声でスキルを詠唱して、即座に近くの路地裏に隠れた。
使ったスキルは2つ。
ひとつは周囲の光を操作して姿を消すスキル。
そしてもう一つは…
『タッタッタッタッタ…』
「足音丸聞こえだよ!私からそう簡単に逃れられると思うな!」
計画通り。
刻は俺が放ったニセ麻義を追って、すごい速度で飛んでいった。
もう一つのスキル、それは、土でできた俺の分身体を作るスキルだ。
ただの土人形だと侮ることなかれ、こいつは自動で逃亡、回避、防御、ヘイト寄せまでできる優れもので、色も形もほぼ同じにしてるから10分はバレないだろう。
「空間探知、範囲最大。…よし、半径500m以内にはもう隊の連中はいないな」
これだけ距離があれば、どうあっても呪符で転移する方が早い。
…ひと段落…ってところか。
「…っはぁぁぁぁぁぁ…。危なぁ!マジ死ぬかと思ったぁぁ…」
俺は一気に疲れが出て、崩れるように座り込んだ。
流石にスキルを並行して使いすぎた。
もう脳がショートしそうだ。
「てか大体、なんだよ殺意の高い標識って!ここまで道路標識に追い詰められたの初めてだよ!トラウマになるわ!」
安心しきるとどんどん愚痴が出てくる。
マジでなんなんだあいつら!
俺そんな悪いことしたかな⁈
「キュウ?」
疲れきった俺を心配したのか、プルファが顔を覗き込んで鳴いた。
あぁ…アニマルセラピーってこんなに効果あったんだなぁ…
「っはぁぁぁぁぁぁぁっ。…さて、これからどうすっかなぁ…」
家はもうダメだ。
いつあいつらが襲撃に来るか分からない。
ホテルや漫喫…もダメか。
この見た目じゃ入れないし、第一こんな状況では営業していないかもしれない。
野営…はできなくも無いけど、時期はまだ冬だし、何よりゾンビがそこら中にいる。
強敵に追われている身で、別の要因で死にましたなんて言ったら洒落にならん。
近所に親戚はいない。
隠れ家なんてものも無い。
…あー、やっぱりあいつんとこしか思いつかないなぁ。
……あの外道、絶対素直に助けてくれないから嫌なんだけどなぁ…。
「…あーあ、やっぱりそれ以外思いつかねぇわ。しゃあない。行くぞプルファー」
「キュイ!」
俺は、誠に遺憾だがあの腐れ縁の外道を頼ることにした。
俺の数少ない友人にして、人の不幸を大爆笑で楽しむクズ。
あの、二階堂今を。




