バイオハザード編Ⅲ アホ故のアイデアと補正の無い主人公
状況説明も一通り終わって早速任務に来ました。
「なぁ、こういうアイデアって、足りない力を工夫でどうにかする俺みたいなやつが考えるやつじゃないかなぁ」
ゾンビにショットガンを撃ちまくっている真凛を見ながらそうぼやいた。
真凛が出したアイデア。それは、マジックスクロール系のアイテムを使おうというものだった。
というのも、某日本の原点たるRPGを漫画化した作品に出てきた、魔法を弾丸に込めて撃ち出すマジックアイテム。そういうものがリアルにないかと調べたことがあったそうだ。
一応、そういう、魔法を肩代わりするアイテムは存在する。
しかし、それは使い捨てな上に嵩張るという異能力代理演算装置の下位互換のようなもので、それ故一般的ではなく実用性もカスい。
デジカメがあるのに使い捨てカメラ大量に持ち歩くようなアホはいない。
いや、そんな奴はアホしかいないということだ。
だからみんな考えの外だったのだが…
「アハハハハハ‼︎アーハハハハハハハ‼︎‼︎」
自分のアイデアがうまくいったのが嬉しいのか、さっきから真凛はそれはもう楽しそうにゾンビに束縛スキルを封じた弾丸を撃ち込んでいる。
あいつが使っているのは弾丸タイプ。他の連中は手榴弾タイプや呪符タイプを使って戦っている。
製造ラインはなぜか研究室に元々あったものを使っているので共有格納術式で即座に転送され、残弾は気にしなくていい。
As a result,
俺たちはこの作戦で、かなりスムーズにゾンビの無力化を進めていた。
ちなみに、うちの隊員は2人1組で行動していて、今俺は真凛と一緒に動いている。
「はー、面白いくらいサクサクやれるわね。この調子なら3日もかけずに狩り終わるんじゃないかしら。終わったら報酬は期待できるわね!」
「お前そういうのはフラグって分かって言ってんだろ。…まぁ、実際相当楽になってんだよな。プルファも凍結能力で活躍してるし、結構ヌルゲーかも」
「キュイ!」
俺と真凜が気絶スキルや束縛スキルで頑張っている中、プルファも嬉々として降雨能力と凍結能力でゾンビを次々無力化している。
はっきり言って超順調だ。
「ふぅーっ、この辺はあらかた終わったかなぁ。弘零、次どこ行きゃいい?」
『あっら終わりましたか。…では、次は北の方…に向かってください。…そこには、ゾンビ化したレッドブルの群れ…がいるので、討伐を…お願い、します』
拠点で情報伝達をしている弘零が応えた。
弘零に繋がるワイヤレスイヤホン便利だなほんと。
Shiri使ってるみたいだわ。
「了解ー。真凜ー、次は北だとさ」
「分かったわ!っしゃオラァゾンビ共!全員まとめて私の贄になってもらおうか!」
「おいそっちは南だバカ」
それを聞いて真凜は何も言わずに回れ右し、ダッシュして北へ向かって行った。
「さて、俺も追いかないと。行くぞプルファ」
「キュゥイ!」
プルファはラストの一体に凍結能力をかけて無力化し、俺の方に走ってきた。
グループLAINに送られてくる他の連中の様子を見るに、ここ以外も順調そうだ。
時間の流れが違う人口異空間で薬の開発も進んでいるらしいし、この調子でさっさと終わることを祈ろ…
「痛っ」
心の中で何事もなく終わることを祈りつつ真凜の方へ向かっていると、足元に痛みを感じた。
嫌な予感を抱きつつ見てみると、そこには緑色っぽいネズミが1匹。
俺の足は予感通り、ゾンビ化したネズミに噛まれていた。
「はっ?え、まじ?」
フラグってのはどうしてこう回収されるんだ。
あれ、多目的機球は…あ、電源入ってねぇや。
待て待て待て落ち着け。
なんで俺がこんな目にあってんだ。こういうのはもっと死亡フラグ言いまくってるやつとか目に生気がない奴とかバトル好きな主人公みたいなのの周りにいるようなパッとしない奴に起こることで、それ俺だよ!
全部該当してんじゃねぇかフザケンナ!
大体なんでネズミまでゾンビ化してんだよ誰だよネズミに噛み付いた変態は!
ってそうじゃない早く何か対処しねぇと!
ダメだテンパって頭回らん無理だこれゾンビ化する。
嫌無理あれになるのはまじ嫌だ!
「…あれ?」
もう一分くらい経った気がするが、なんも変化がない気がする。
「頭ははっきりしてるし、遅くなった感じも筋力が上がった感じもしないな。スキル…も使える。なんでだ?…ってうわっ!」
スキルを使えるか試すために手を前に向けると、その手が青緑色っぽく変色していた。
慌ててスマホのカメラで自分の顔を確認すると、そこにはどこに出しても恥ずかしくない立派なゾンビの姿があった。
「うわきっしょ。見た目だけ変わってんだけど。でも他はなんともないし、毒耐性スキルなんて持ってたっけ?」
「あああ!!」
突然の大声に反射的に顔をあげると、真凜がこちらを見てめちゃくちゃ驚いていた。
「あんたゾンビ化しちゃったわけ?!ダメよそんなの。目を覚ましなさいよ!!」
真凜が俺に駆け寄って両肩をつかみ、前後にブンブンと振った。
こいつにも仲間の感染を悲しむ情があったのか。
こいつの評価を少し上げないと…
「嫌よ、あんたが消えたら私の仕事増えるじゃない!!根性でどうにかしてよ!!起きて戦え!!」
「そんなこっだろうと思ったわ!!あと酔うからそのブンブンするのをやめろ!!見た目はこんなだけど、意識はしっかりしてるから!今んとこ平気だから!」
ダメだこいつ!
もう二度と評価上方修正しねぇ!
「…ほんと?なんともないの?そんな見た目になってるのに?」
「あぁ。なんでかは分からんがな。だからちょっと吉夜さんのとこに行って解毒してもらいたいんだけど…」
疑われるのももっともなので平気なことを伝えたのだが、しかし真凜は何も言わない。
様子を見ると、まだ疑っているような目でこちらを見ている。
「いや、今のあんたの言葉は信用すべきではないわね」
「は?」
大丈夫だっつってんのに、何を言ってんだこのバカは。
「さっき副隊長が、ゾンビは他の人に噛み付く本能のようなもので動いてるって言ってたでしょ?だから、元々小賢しいあんたがゾンビ化して、本能で言葉巧みに人様を騙して噛み付いてもおかしくないわ」
こいつは何寝ぼけたこと言ってんだ。
本能で言葉巧みに人を騙すってなんだよ。
「お前バカなこと言ってないで…」
「だから…」
真凜は俺の言葉を遮り、銃を構えた。
「あんたはここで狩っといた方がいいわね」
そう言って真凜は、満面の笑みで引き金を引いた。
「過硬障壁!」
弾丸に封じられた束縛スキルは俺の出した障壁に縛り付き、俺には届かなかった。
「は?!ちょっとあんた防ぐんじゃないわよ!」
そう不満を叫びつつ、真凜が再び銃を構えた。
「防ぐんじゃないわよじゃねぇよ防ぐわバカ!お前あれだろ。俺に反撃できる絶好のタイミングだと思って、大義名分の元に嬉々として狩ろうとしてるだろ!」
それに対して俺はさすがに身の危険を感じ、後ろに飛んで真凜と距離をとった。
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ!いいでしょちょっと動きづらくなるだけだから!こんな時くらい大人しくやられなさいよ!」
真凜はまだこっちに銃を撃ちまくってくるが、それは全て俺の障壁に防がれている。
「アホ言え!そんな私怨で捕まってたまるか!それに束縛スキルって締め付けられてる感が地味に痛ぇんだよ!こんなとこにいてられるか!俺は逃げるぜ!行くぞプルファ!」
「キュイ!」
正直負ける気はしないのだが、仮にもこいつは格上。
戦り合ったらどうなるか分からないので、俺は回れ右してその場から全力で逃げ出した。
「あ、こら待ちなさい!逃げるな卑怯者!!」
「逃げるわボケェ!俺はさっさと吉夜のとこに行かせてもらうからな!!」
「大人しく逃がすと思ってんの?!喰らえ!気絶…」
「散弾水銃!プルファ、凍結束縛!」
「キュイッ!キュゥゥッアァァァ!!」
俺とプルファはこの前作ったコンボ技で真凜の足を凍結。
一時的に身動きを取れなくした。
「なっ!!こら待ちなさい!!やっぱりあんたゾンビ共の手先だったのね。覚えてなさい、後で絶対縛り上げてやるわ!!…ていうか、せめてこれ解いていきなさいよぉぉ!!」
真凜の叫びを聞きつつ、俺たちは吉夜がいる方を目指して全速力で飛んで行った。
今更ですが、多分この編相当長くなります。




