育成編Ⅲ 世界的モンスター育成RPGと主人公以上に主人公適正のあるペット
やる気でなくてしばらく投稿できませんでした。
「じゃあまずは相手の能力予測!あいつは多分機動力、耐久力、攻撃力オール高水準で、糸と毒の遠距離持ち。って感じだろうな」
「キュイ!」
ずいぶんと絶望的な予測なのだが、本当に言葉は分かっているのかプルファはだいぶ元気に返事した。
「しかし、こういうやつは大体…囮像!」
俺は近くに、たまに使うヘイト寄せ像を生成した。
そして今度こそ狙い通り、大蜘蛛は像にひたすら攻撃を当てている。
「頭悪いんだよなぁー」
デコイ系を含む精神系のスキルは大体バカな奴ほどよく効く。
あの程度の低脳なら1分は持つだろう。
さて、じゃあこの間に作戦立案だな。
正直、今のうちにさっき試した協力コンボ技をぶち込ませれば確実に葬れるだろう。
しかし、俺のスキルも使ってるコンボ技ではプルファの育成にならない。
まぁ今の段階でも結構育成できた気がするが、できれば今回のうちにソロで最低限ボス戦可能なレベルまで育成しておきたい。
だってまた来るのめんどいし。
じゃああの、日本が誇る世界的モンスター育成RPGのアニメ版みたいな戦い方でやってみるか。
「プルファいくぞ!一回肩降りてソロで戦ってみてくれ!まずは雨降らし!」
「キュアァ!」
プルファは雄叫びを上げるように鳴き、大蜘蛛の上に雨を降らせた。
しかし大蜘蛛は雨程度では囮に気づく気配もない。
よし、これで氷と電気の効果が強化されたな。
「次!地面に凍結!」
「キュウアァ!」
プルファの凍結技で濡れた地面は凍りつき、大変お足元が悪くなった。
ここまでやっていい加減大蜘蛛も気づいたようで、こちらに向き直った。
そしてそのまま走り出さんとする勢いだったが、大蜘蛛は凍った足場に滑って盛大に転んだ。
ここまで順調!
「続けてコンボ入れろ!落雷!」
「キュゥイィッ!」
プルファは大蜘蛛に真上に雷雲を生成して雷を落とした。
その狙いはよく完全にクリティカルだったはずだが、そんな攻撃を食らっても何故かピンピンしている。
「硬っ!いくら意外と強いっつってもやっぱり火力はあんまり…いや、弱かろうが強かろうが雷ではあるんだし、なんで耐えられてるんだよ」
「キシャァァァ!!」
そんな俺の文句も聞かず、大蜘蛛は間髪入れずにプルファめがけて毒を放つ体勢に入った。
「させるか!プルファ!致命傷にならなくてもいい!とにかく反撃の隙を与えるな!」
「キュイッ!キュウゥアァァ!!」
『ドオォン!』
「キジャッ」
『ドオォン!』
「キジィッ」
『ドオォン』
「キジェエッ」
:
:
:
相手が重量級で発生が全体的に遅いのも幸いして、攻撃キャンセルをしつつ何回かチクチクと電撃を当てることができた。
…できたのだが、一向に倒れる…というかほぼ効いている気がしない。
しかし炎攻撃は雷撃以上に威力しょっぱいだろうし、これ以外にあまり攻撃手段がない。
どうしたもんか…
「キシャァァァ!!」
いい加減チクチク攻撃に痺れを切らせたのか、大蜘蛛がプルファに向かって突っ込んできた。
電撃も休まず当てているが、理不尽にも平気な顔して走っている。
「はぁっ?!プルファ!跳んでかわせ!」
「キュイ!」
プルファは斜め後ろに跳び、突進は回避することができた。
しかし、元々プルファがいたところを通り過ぎたあたりで大蜘蛛が糸を発射、的確にプルファを捕らえた。
「キュゥイィ!」
「ヤバっ!プルファ、糸燃やせ!」
「キュゥゥゥイィィィ!」
プルファは火を吐きはしたが、大蜘蛛が糸ごとプルファを振り回しているので糸に当てられていない。
ヤバいマジやばい!
あのまま叩きつけられたらかなりダメージ入るぞ!
「プルファ!なんか、なんでもいいからどうにか抜け出せ!」
「キュイッ?!」
自分でも無茶苦茶行ってんなとは思うけど焦ると頭が回らん!
マジでどうする!
「プルファ!えっと、雹、いや放電、いや凍結…」
「キュイィッ!」
俺がデタラメに指示を出している最中、プルファが風を吹かせた。
しかしそれはただの風ではなく、斬撃効果のあるかまいたち系の風、しかもそれは相当の数だった。
そしてその風は糸にあたり、糸は過剰なまでに粉々に切れて散った。
「…わぁお」
風刃は俺も使えるが、それより威力、効果範囲、数が遥かに多い。
まぁプルファは天候系が主力っぽいし、そりゃあ俺の器用貧乏スキルより強いか。
「…ははっ、さすがプルファだな。やっぱり俺の教え方が良かったのかな。よし、こっから反撃開始だ!」
「……………。」
俺の言葉に対して、プルファはこちらを見ていたが何も言わなかった。
やめてくれよその目は。
「…よし、じゃあプルファ!風刃!なるべく脚の節とかのくびれを狙え!」
「キュアァ!」
プルファは、糸が切られたことで再び走り出した蜘蛛の脚を目掛け、的確に風刃を放った。
さすがに足の間接にそこまでの防御力はないようで、風刃は大蜘蛛の脚を三本持っていった。
しかし、痛覚の無い虫故に攻撃が当たっても怯む気配がない。
どうする、回避させるか?
いや、あの巨体ならカウンターいける!
「懐に入り込んで腹の付け根に風刃!」
「キュイ⁈」
プルファは「何アホなこと言ってんだこいつ⁈」とでも言いたげな声で鳴いたがその直後に大蜘蛛に正面から突っ込み、俺が言った通りにやってのけた。
やっぱあいつバトルセンスたっけぇな。
しかし、それもあまり深くは入らなかったようで、そのまま通り過ぎたプルファに向き直った。
「飛び上がって上からさっきんとこにもっかい風刃!」
「キュイッ!キュゥアァ!!」
『ザシュッ』
風刃を放ってすぐ。流れるようにプルファが俺の前に華麗に着地し、大蜘蛛に向き直った。
それが当たったところからは血っぽい体液を流し、あからさまに重傷を負っている。
しかし、大蜘蛛は多少動きが重そうになりつつも素早く向き直ってプルファと対峙した。
「結構良い感じで入ったのにまだ足りねぇか。でもこのままいけば…」
「キシャァァァ!」
いい加減危機感を覚えたのか、急に大蜘蛛は口から毒を出しプルファめがけてそれを撒き散らした。
「甘い!風で蹴散らせ!」
「キュアァ!」
プルファは正面に風を吹かせ、毒を受け流した。
しかし大蜘蛛はそこにすかさず突っ込み、プルファにタックルをかました。
「ギュイィィ!」
「プルファァ!!」
トラック級の巨体に吹っ飛ばされて木に叩きつけられたプルファに、俺は慌てて駆け寄った。
「大丈夫かプルファ⁈」
「キュイィ…」
かろうじて意識はあるようだが、その声はとても弱々しかった。
そりゃあそうだ。
こいつも一応異界種なので見た目よりも耐久があるとはいえ、高機動紙装甲アタッカーに重量級の体当たりはきついだろう。
…流石に、こんな満身創痍の小動物を戦わせるほど俺も鬼畜ではない。
「悪かったなプルファ。あとは俺が…」
「キシャァァァ!」
と、俺が珍しく人道的なこと言ってるってのに大蜘蛛は空気を読まず毒を放ってきた。
クッソこれだから低脳は嫌いなんだ!
「空気読めカスが!過硬…」
「キュアァ!!」
俺が防御をしようと詠唱していると、よたつきながらもプルファが再び風で毒を蹴散らした。
「…マジ?お前まだやんの?」
「キュイ…!」
すごいな。
こいつ少年漫画の主人公か?
なんでペットが俺より主人公してんだ?
「分かったよ。でも死なれるとさすがに寝覚め悪いから無理すんなよ?!じゃあこっから第二ラウンドだ!」
「キュゥイッ!!」
プルファは意を決した目で地に降り立ち、大蜘蛛と対峙した。




