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Chaos〈カオス〉 〜こんなバグった世界だが、俺は意地でも平穏に暮らしたい〜  作者: 身勝手な鶏
2章:井の外の海は広く、個性は遥か地平線まで渋滞する
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育成編Ⅰ デカいクモの大群と明かされるプルファの真の実力

マスコット編Ⅴの続きです。

麻義は真凛に引きずられて討伐に来ました。

「…おい」

「あ、起きた?おはよー」


真凛に気絶させられて何分経っただろうか。

目が覚めると、俺は霧の濃い森の中で真凛にお姫様抱っこをされていた。

真凛は平然とスタスタと歩いていて、肩にはプルファが乗っている。


「お前、なんで俺をお姫様抱っこしてる訳?」

「体勢がちときつかった」

頼むからこの状態でそのセリフはマジでやめてくれ。


「お前は知らないかもしれないが、俺はこれでも生物学上は男なんだぞ?まさか街中でもこれやってた訳じゃねぇだろうな。あとさっさと下ろせ」

「運んでもらった分際で随分な言い草ね。あとここには直接降りたから街中は通ってないわ。安心しなさい。まぁ途中すれ違ったハイキングと人にはおかしな目で見られたけどね」

そう言いながら真凛は俺を下ろした。


「てめぇなんて事してくれやがる。俺割と体裁は大事にする方なんだからな?あと、勝手に俺を運んできた分際でよくそんな上から物をいえるな」

「だってあんた、こうでもしないと絶対来ないでしょ。ここまできたんだから諦めて付き合いなさいよ」

相変わらず腹立つなこいつ。

マジでまた埋めてやろうか。


「…しゃあないか。分かった分かった、戦ってやるからさっさと片付けて帰るぞ。狩るやつはクモ型のやつだったっけ?」

「さっさとって…あなたプルファの育成のために来てるって忘れてないでしょうね。敵のクモ型のやつは大して強くないらしいから、私たちが普通にやったら瞬殺しちゃってプルファの出番ないんだからね?………ん?クモ?」


真凛の顔が急に青ざめた。

その様子を見てプルファが頬を前足でペチペチしているが、それにも反応する様子はない。


「お前急にどうした?あとそいつ、外でも中でも裸足だから足あんま綺麗じゃねぇぞ?」

「…ねぇ麻義、ちょっと聞きたいんだけど、…クモって、あの目と脚が8つずつある虫みたいなやつ…だっけ?」

真凛が小刻みに震えながら尋ねた。


「そうだけど…まさかお前、クモ苦手だけどよく考えず勢いで受けちゃって、今になって怖気付いた、とかないよな」

真凛はだらだらと冷や汗をかきながら、その真っ青な顔を縦に振った。

よく見ると目元は少し涙ぐんでいる。


マジかよ。

なんてバカなんだこいつは。

普通ここまで来てそれ分かってないなんてことあるか?

クモなんてありふれた虫、馴染みがないわけでもないだろうし。


ほんと、なんてバカなんだこいつは。



『シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ』


呆れてこのバカを見ていると、横からシャカシャカと何かが近づいてくる音がしてきた。

しかしそれを聞く限り、数は10や20どころではない。


「ま、まさか…」

真凛も恐る恐るそっちの方に目を向けた。


やがて、そこにはぼんやりと赤い点がいくつも光っているのが見えてきた。


ここまでくるともう間違いない。


「「「「「キシャー!」」」」」


やはりこっちに来ていたのはクモだった。

それぞれの大きさは全長1mくらい。

そしてパッと見た感じ、その数約50。

後ろにまだまだきているところを見ると下手したら100以上いるかもしれない。

魔法魔術学校の近くの森に入った、額に傷のあるメガネの学生とその友達の気持ちがよく分かるなぁ。


「ギャァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

「キュイ⁈」

「なっ、おい待て!」


真凛が鼓膜を破くような悲鳴をあげて、肩に乗っていたプルファ諸共全速力で逃げ出した。

足元が帯電しているところを見ると、キック力を増強するシューズのような電気での身体強化もしているようだ。


「おい、お前はもっと逃げるという行動に躊躇(ちゅうちょ)したらどうだ!プルファの育成に来てるってのにそいつ連れてってどうすんだよ!」

「無理無理無理あいつは無理マジ無理ほんと無理!キショい多いデカい最悪!お願いだから麻義がやって!この世から一匹残らず駆逐してぇ‼︎」

「もうそれは良いからプルファ置いてけ!だから一回止まれぇ!」


「キシャー!」

俺たちが走った先にクモが回り込んできた。

「ギャァァァァ‼︎‼︎死ねぇぇぇぇ‼︎‼︎」

真凛がそいつらに向けて全力で電撃を当てた。

その、なんの調整も施されていない電撃はクモどころか木も地面もえぐって、正面を更地にした。

「やりすぎだバカ!プルファ、今すぐそいつから降りてこっちに来い!その暴走車の近くにいると怪我するぞ!」

「キュイ!」

プルファはすぐに真凛から降りて、俺の肩に乗った。


「もう無理嫌だ帰りたいぃィィィィィ‼︎‼︎‼︎‼︎」

「おい待てバカそっちは…!」

「アァァァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

「クモどもが来た…方向…」

真凛は俺の静止も聞かず、半狂乱したままクモが多くいるであろう方向へ走っていった。


「…ま、いいか。別に死にはしないだろ。じゃあ戦るぞプルファ!」

「キュゥイ!」

俺は、真凛はとりあえず放っておいて育成を優先することにした。




瞬間豪雨スコール!よしプルファ、雨を凍らせろ!」

「キュゥアァ!」

俺はクモ共の上に雨を降らせ、その雨を凍らせるように指示した。

「追加で過速化(ファスター)!喰らえ、人為降雹槍(アーティフィシャルヘイル)!」

「ギジャァァ…!」

クモ共は身体を雹に貫かれ、次々と息絶えていった。

「よっしゃ狙い通り!この調子で色々試すぞ、プルファ!」

「キュゥイ!」


プルファは使える属性は多いが、その威力はあまり高くない。

だから実用レベルにまでするには技×技でコンボを繋げて威力を量増しするのが効果的だろう。

属性コンボは色々使えそうなの思いつくし、片っ端から試してみるか!


こうして、俺たちはクモ共を狩りつつ戦い方を色々と試していった。



〜A few minutes later 〜



「うーん…色々試せたけどどれも効率悪いな」

「キュイ?」


今のところ試したのは、

・雨 (麻)×凍結 (プル)×加速 (麻)の「人為降雹槍(アーティフィシャルヘイル)

・水 (麻)×電気 (プル)×火 (プル)×対スキル結界 (麻)の「水成領域爆発(スラウンド・ハイドロエクスプロム)

・アルコール (麻)×火 (プル)×風 (プル)の「過剰爆炎(オーバードバーニング)

・雨 (麻)×電気 (プル)の「伝導感電(エレクトリックパンデミック)

・雨(麻)×凍結(プル)の「凍結束縛(フリーズバインド)

など。

どれも実用可能なレベルにはなったが、やはり発生が遅い。


プルファについて分かったのは、やはり氷属性の技が最も強く、次に電気属性が強いといった感じだった。

なので水系のスキルと相性がいいのだが、いちいち俺と協力してやっていても、コミュニケーションの分発動が遅く効率が悪い。


しかし、プルファの技をそのままぶつけてもまだ威力があまり高くないので決め手にはならない。


あーもどかしい!



『シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ』


こんな感じで色々思考を巡らせてる間にも、まだ根絶される気配のないクモ共は襲いかかってくる。


全く、あの真凛(バカ)はいったいどこで何やってんだ。


「うざったいなほんと!瞬間豪スコー…!」

「キュゥア!」


俺がまた雨を降らそうとすると、突然肩のプルファが鳴いた。

同時にクモの上には大雨が降り出し、そこに追い打ちをかけるようにプルファが濡れたクモ共を凍らせた。

俺はまだスキル発動できてなかったし、まず間違いなくプルファがやったのだろう。


以前俺が試した時、プルファが出せた水の量はせいぜいコップ一杯分くらいだった。

だから水系はあまり実用的ではないと思っていたのだが、これはどうしたことだろうか。


天候系の技が使えるってことか?


「お前、天気をどうこうするの得意だったりするか?」

「キュイ!」

プルファが「うん!」とでもいうように返事した…気がする。


試してみる価値はあるか!


「よしプルファ、あっちの群れの上に雨を降らせろ!続けて電撃だ!」

「キュゥア!」


これマジで、冗談抜きでおつかい討伐いけんじゃねぇか?


俺はソロでクモを駆逐していくプルファを見ながらそう思った。


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