マスコット編Ⅴ 予想外のハイスペックと理想的配分の合計種族値525
Ⅳの何日か後。初めは討伐業務中です。
プルファを飼い始めて数日が経った。
この何日かで、こいつについて色々わかってきた。
まず、まぁ前から予想していたことだがプルファはかなり知能が高かった。
第1に、明らかに日本語を理解している。
「お座り」とか「待て」とかどころじゃない。
普通に会話できるし、喋れはしないが返事は抑揚付きで「キュイ」とか「キュゥ」とかで鳴くので何となく分かる。
第2に、多分ある程度文字も理解している。
日本語がスラスラ読める訳では無さそうだが、とりあえずカタカナとひらがなは確実に理解しているっぽかった。
第3に、記憶力も普通にいい。
試しにローマ字を教えてみたらなんと3日でマスターした。
下手したら真凛よりも賢いかもしれない。
試していないが、多分教えれば算数くらいならできそうな気がする。
知能面はまあこんなもん。
属性系能力はというと、威力こそ小さいが火、風、雷、氷、水属性の能力は確認できた。
特に氷が強めで、40℃の風呂が5秒で凍りついた。
まぁその日は風呂が使えなくなったので近所の温泉まで行かないといけなくなった訳だが。
そして身体能力もそれなりに高い。
特に機動力が相当高い。
あと、ふわふわする程度だけど軽く飛べる。
結論。
こいつ、多分育てかた次第で相当なバケモンにできるわ。
正直仕事の手伝いってのは半分冗談のつもりで、適当な手伝いくらいできれば良いかなぁくらいに思っていたのだが、こいつは本格的に使えるかもしれない。
こいつの種族がなんなのかとか気にならんくもないが、まぁ今はどうだって良い。
こいつは大事に育てていこう。
「キュゥイ!」
俺の視線を察知でもしたのか、肩に乗るプルファが応えるように鳴いた。
…こんな、ぽっと出の小動物にあるまじきハイスペックを持つプルファだったが、しかし、こいつにも重大な問題があった。
こいつめっちゃ食うんだよ。
重さにして一日15kg。
自重の10倍だ。
なんと物理法則を無視した食事量だろうか。
肉を買い与えるとすると、肉が1円/g換算でも一日15kgでは1万5千円。
食費月45万とか洒落にならん。
つまり、俺はどうしなくてはならないか。
「超加速飛石槍!」
俺は、弘零に食えそうな討伐対象を斡旋してもらい、そいつを狩るために率先して仕事をしていた。
決してプルファのために優しさで仕事をしている訳じゃない。
俺はそんな人情派でもお人好しでも聖人でもない。
俺は、こいつが強くなったら俺の代わりに仕事をしてもらおうと割とマジで考えている。
幼体?の状態でこの知能と能力だ。
育てた末に従魔だと分かる状態で狩りに行かせれば、多分それなりの成果を上げて帰ってくるようにもできるだろう。
ワンチャン、あの伝説の狼の魔獣と変異スライムと小さいドラゴンと最強種のドラゴンを連れてる、孤独の料理人みたいな荒稼ぎも夢じゃないのではなかろうか。
そうすれば、俺はテイマーになったということで愚姉にも言い訳が効くし、働かずに大金を得られるのでは。
いわばこれは出資だ。
未来で働かないためなら、今俺は喜んで働こう。
「さて駄肉ども、速やかにプルファの覇道のための糧となってもらおうか!」
俺は、珍しくやる気で牛の魔物の群れに殺意増し流星群を叩きつけた。
全ては、俺の平穏のために!
〜A few minutes later〜
「いや、さすがに無理でしょ」
討伐が終わった後、拠点にて。
俺の完璧な計画を聞いた真凜があっさり否定した。
「そんなことないだろ。諦めたらそこで試合終了なんだぞ」
「ちょっと、私の癖パクらないでよ。あと、この小さい子に仕事を押し付けようとするのは流石に引くわよ」
普段からほぼパクリでセリフ形成してるような奴がなんか言ってる。
「大きさとか関係ねぇから。アニメとかじゃ最強キャラはあんまデカくないって相場が決まってるってお前も知ってるだろ。魔王になった転生スライムとか、何度か星の危機を救ってるずんぐりピンクとかさ。それに、そいつの能力今5属性使えんだぞ?電気属性しかないお前よりそれだけで格上だから」
「その理屈だと私最弱クラスになるんですけど」
「違うのか?」
「よしあなた表に出なさい?単属性の力見せてやるわよ」
真凛が俺に向けて素振りのパンチをした。
属性云々っつってたのに物理で戦る気満々かよ。
「まぁまぁそこらへんにしてください。あと麻義さん、真凛さんはこれでもうちの隊の三番手ですから、決して弱くはないんですよ?」
「そういうことよ。…待って今これでもって言った?」
副隊長が言うならまぁ間違いってこともないんだろうが、正直全く信じられない。
てかこの前刻にズタボロに負けてたし、あれで手加減してたとも思えねぇんだよなぁ。
「でも舐められたままってのも癪ね。いつか隊員全員で隊内戦やってみんのも良いかもしれないわね」
「そうか頑張れよ。俺はやんねぇからなそんな面倒いこと」
「あ、やるなら強制参加だからね」
またか。
もういいよその人権侵害。
「俺はプルファの育成しないといけないからそんな暇は無いんだよ」
「はぁ?育成って言ったって何するのよ。雑魚倒させてレベリングでもする訳?現実はそんな甘くないわよ?」
お前が現実を語るか。
「…そういえば、知り合いに異界種のトレーナー兼育て屋の方がいるのですが紹介しましょうか?」
副隊長がプルファの頭を撫でながら言った。
比較的安全だとわかっているのか、プルファは割と副隊長に懐いているし、なんだかんだで副隊長も動物は好きそうだ。
「何それ、この星にそんな職業があるなんて初耳なんですけど。ていうか、そんなレア職の人の知り合いがいるってどういう人脈してんの?」
「あ、それは俺の伝手にも似たような職の人がいるんで大丈夫です。それに、とりあえずは自分で育てるつもりですしね」
「え?何私の人脈が過疎ってんの?」
真凛は1人で戸惑って1人で落ち込んでいた。
別に、俺は特別人脈が広い訳じゃない。
謎に小中のクラスメイトに大成した専門職がやたら多いだけで、むしろ俺の友達なんてかなり少ない方だ。
しかし、その話をするとぼっちを煽られそうなのでマジで言わないでおこう。
「…じゃあさ、私にも育成手伝わせてよ。大丈夫。モンスター育成なら任せてちょうだい!この子は多分進化持ちだから、最終進化はノーマルでH102、A150、B45、C35、D55、S138とかだといいわね。まぁそれは育成しても変えようがないけど」
「なんで物理アタッカーなんだよ。理想なら氷でH35、A20、B60、C170、D60、S180の特殊だろ」
「あの、なんの話をしているんですか?」
「ポケ廃人にしかわからない話ですね。なんの生産性もない話なので聞き流してください」
「はぁ…」
副隊長は歯切れ悪そうに返事をした。
「でも、育成手伝いってのは良いな。俺の負担も減るだろうし、お前が乗り気なら手伝ってもらおうか。あ、もちろん特殊アタッカーな?」
「やったぁ!あなた意外と話がわかるじゃない!こうしちゃいられないわ、早速特訓よ!弘零、副隊長、手頃な仕事ちょうだい!」
は?今行くの?
『あっそれなら、ちょうど良いのがあり…ます。笛吹に危黄級と想定される、蜘蛛型の異界種の目撃情報、があって…。まだ被害は出ていないので緊急性は、低いので後回しになっていた、んですが…それはどうでしょう、か』
「良いわね。じゃあ副隊長は任務受理の報告お願い」
「分かりました。やっておきますね」
え?行くの確定?
「よし行くわよ麻義!プルちゃん!」
「え、嫌だよ」
「Shut up! Here we go!」
「だから嫌だって。蜘蛛じゃ食えないだろうし、別に今すぐじゃなくてもいぃっ⁈」
「お眠りィィ。気絶電撃!」
真凛は、どうやったのか俺の常時発動のスキル耐性を掻い潜り、俺にスタンガンのようなスキルを食らわせた。
「プルちゃんおいで」
「キュウイ!」
「それじゃあ行ってくるわね、副隊長、弘零。晩御飯までには帰ってくるわ」
「行ってらっしゃい。危険度は低いとはいえお気をつけて」
『あっ、何か情報が入ったら、連絡します。』
「頼んだわ!」
薄れゆく意識の中で、真凛は俺を片腕で抱えて拠点を出ていった。




