マスコット編Ⅱ 蛇型ボス妖怪と頭隠して尻隠さず
マスコット編Ⅰの続きです。
異界門の出現ポイントまで来ました。
「ヒャッハー!猪突猛進、猪突猛進!…痛っ!コラあんた、この私を不意打ちとはいい度胸ね。もう生きて帰さないから!」
異界門出現地点にて。
真凜は真正面から来た攻撃に直撃し、不意打ち呼ばわりした上で反撃していた。
このバカはなんで攻撃を避けないのだろうか。
「あーもう!ゴツいやつばっかりで可愛いの全然いないじゃない!一体私のマスコットはどこにいるの?!」
刻は当たらない魔法を振りつつ、近くに来た奴は各種格闘術で確殺していた。
またいつもの派手な衣装にチェンジはしているが、相変わらず戦い方が魔法少女のそれじゃない。
「あのなぁ、あの木彫りの熊も近所の奴はウルトラレアって言ってただろ?そう簡単にウルトラレア見つかったら苦労しねぇよ」
そして俺はというと、後ろの方で2人の死角からの攻撃を障壁でカバーしつつ、刻の魔法を射撃反射で他のモンスターに当てつつ、弾幕を抜けてきた取り巻き処理をしていた。
なんか、俺だけ仕事量多くない?
「しっかし、強いの全然いないわねー。今のところほとんど瞬殺できちゃってるし、ちょっと不完全燃焼なんだけど」
この前カエルから迷わず逃げてたやつがなんか言ってる。
「それは私も同意見。でもこういう時ってさ、大概ボスみたいな奴が一体いるじゃん?だから今回もそのうち…」
「おい、物騒なこと言うなよ。ほんとに出てきたらどうすんだ」
最近フラグ回収が早すぎるからマジでそういうこと言わないでほしい。
「出てきて欲しいって言ってんでしょ。こんな雑魚じゃわざわざ3人で来る必要なかったじゃない」
「雑魚ならさっさと終わらせて帰れるからいいじゃねぇか」
「嫌に決まってるでしょう?!肩透かし食らったままで終われるもんですか」
『ギャァァァァ!!』
言い合いながらもモンスター共を駆逐していると、羽を持ったデカめの蛇みたいなやつが飛び上がり、叫ぶようなけたたましい声で鳴いた。
蛇はその羽を大きく羽ばたくと、津波のような水を生成、こちらに押し寄せてきた。
「真凜、100000V!」
「私は電気ねずみじゃないっての!」
そう言いつつも真凜は波に電気をぶつけると、波は電気分解をして一瞬で気化した。
「危ねー。…おい、ほんとにボスキャラ出ちまったじゃねぇか。どうしてくれんだよ」
「ワハハハハ!出たわね大ボス!苦難上等!好むものなり修羅の道!」
「やったぁ!まだ物足りないんだからあんたは楽しませてちょうだいよ!」
戦闘狂2人を横目に見つつ、俺はあの飛んでる蛇に毎度おなじみGoggleレンズに通した。
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化蛇。災緋級の中国妖怪。
主に空中もしくは淡水に生息し、青系の蛇の体に羽を持つ。
その体をひねらせることで三次元的に自在に飛び回り、動きが不規則で捉えにくい。
防御力はあまり高くは無いが機動力が非常に高い。
水系の能力を使用し、それが現れた土地には洪水がもたらされるとされる。
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…うわぁ
なんだこの高性能。
俺一人だったら絶対勝てる気がしない。
「「じゃーんけんぽいっ!あーいこーでしょっ!あーいこーでしょっ!あーいこーでしょ!」」
俺が化蛇のスペックに怖気付いている横では、バトル厨2人がどちらが戦るかのじゃんけんをしていた。
…もう勝手にしろよ。
「っしゃあ勝ったァ!」
刻が両拳を挙げて豪快なガッツポーズをした。
「待ってお願いもう一回!3回勝負よ3回勝負!ねぇ、あいつ可食部割とありそうだからキープしときたいの!」
また肉かよ。いい加減節約術を覚えたらどうだ。
「いや私、肉はいらないから!あんたと一緒にしないでよ!あげる!あいつ倒したら死骸はあげるからすがりついてこないでよ!」
蛇肉キープの言質が取れた真凜は心底満足したように、死に物狂いで刻に抱きついていた手を離して異界門の方に向き直した。
ほんと清々しいまでに情けないな。
「さて、じゃあこいつらには私の贄になってもらいましょうか!」
真凜がドヤ顔で右手に持っていたアサルトライフルを構えた。
「ちょっと、リーダー面しないでくれる?!それと、センターは私がいいんだけど!」
「センターが誰かは別にどうでもいいがお前らがリーダーは絶対やめた方がいいと思う」
「うっさいわね後輩共!私が最古参なんだからセンターなのは当然でしょう?!それじゃあ、私は雑魚処理してるから刻はあの蛇の相手ね!麻義は閉門しつつその援護任せたわ!」
真凜はボロクソに言われてもなおリーダー面を続けて指示を出した。
ところで、俺に対しての指示無茶苦茶なこと言ってるって分かってんのかこいつ。
「相っ変わらず理不尽すぎんだろお前!……まぁいいよグダリたくないし!複合スキル・過硬化、防幕、防御付与、最硬障壁!よし、周りの建物とかは防御力上げたぞ!でも完全に無傷で抑えられる訳じゃないからなるべく魔法は打つなよ、刻!」
「はぁ?なんで真っ先に私?!大丈夫、しっかり当てればいいんでしょ!」
「使うなっつってんだよ!あ、ほら化蛇そっち行ったぞ!お前も行け!」
「っ〜〜〜〜!あんた覚えときなさいよ!」
と、やられ役の敵みたいなセリフを言いながら刻は化蛇を追いかけていった。
「よし、それじゃあ俺は異界門閉じてっから、取り巻き処理は任せたぞ!」
「任せないさい!ヒャッハー!無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」
そして俺は門を閉じるべく異界門の近くに向かったが、後ろではとても楽しそうに真凛が雑魚をアサルトライフルで駆逐していた。
「…まぁ大丈夫そうだな。そんじゃ、さっさと始めますか」
他はもう任せても大丈夫そうだったので、俺は俺に襲いかかってきた奴は自動反撃で仕留めつつ、閉門術式の詠唱をしていった。
~A few minutes later ~
「ふぃー終わったぁー」
2人と別れてから2分後。俺は無事門も閉め終え、ちょっと休憩しようと道路脇の柵に腰をかけていた。
2人の様子はというと、真凛は頭になんか噛み付いているが他は問題なく戦っていて、刻もしめっているがまぁ大丈夫そうだ。
参戦…するべきなんだろうけど面倒いな。うん、却下。
まぁすぐ終わるだろうし、それまで旧レジェの星4でも進めてるか。
ということで俺はサブ垢を進めようとスマホに目を…
「…なんだこいつ」
目を向けようと視線を落とすと、用水路の溝になんか挟まってた。
小動物っぽいそれは尻と尻尾だけを出して頭からすっぽりとハマっていて、後ろ足を地につけて頑張って出ようとしている。
…まぁいいか。
俺は、とりあえず無視して星4を進めることにした。




