第5節 ツーマンセル
「なあリンジー、ヤボイのヤツがどこに隠れているのかまだ見つけられねえのか?」
「ダメだ・・・。皆仕返しを恐れているのか、ホントに知らないのか、全然情報が集まってこない」
ネーベルリンツのメンバーが集まった場でバフが問いかけるが、リンジーから返ってきた答えは歯切れの悪い言葉ばかりであった。
あの日のエンプキスによるネーベルリンツ襲撃からすでに三日が経とうとしていたが、リンジーの情報網ではヤボイの居所を探し当てることは未だできずにいた。翌朝皆と合流したニールは他のメンバーの無事を知って安心したが、あの男がこれで手を引くとは到底考えられず、問題を長期化させずに解決するにはヤボイを探し出して倒すという目的のため全員で手がかりを探していたのだった。とはいえ用心深い彼がそう簡単にはシッポを掴ませないというのもわかってはいたのだが・・・。
ストリートチルドレンのグループは拠点となるアジトを持たないのが大半を占める。(というか、金を持っていないので持てないと言った方が正確かもしれない)なので溜まり場的なものを作って、集合場所にするというのが一般的ではあるのだが、この溜まり場を持たない、もしくは知られていないエンプキスというグループには元から謎が多かった。
ある程度の構成メンバーは知られているが、彼らがなにか行動を起こすときには先日の襲撃の時のように、グループの人員もしくは他グループからの応援が急に増えるので、エンプキスというグループの全体像が見えにくいのだ。
「こうなりゃ、まずは聞き込みでヤツらの活動範囲を絞っていくしかないな」
リンジーの案はこうだった。
ヤボイを含めて把握できている主要メンバー数人の目撃情報を当たっていく。目撃情報が近いところ重複する件数が多いところが彼らの主な活動範囲と判断して、その地点で重点的に聞き込みをして探っていく。ただし気を付けなくてはならないのは、彼らの活動範囲ということならどこにエンプキスの友好的関係者がいるかも分からない。ニセの情報を掴まされたり、最悪の場合には襲撃される可能性もありうる。なので安全性を考慮すると、基本的に二人一組つまりツーマンセルでの行動が不可欠になると。
「考えてるだけじゃ、何も変わらない。さっさとそれでいこうぜ」
考えるよりも行動派のバフはさっきから話し合いに辟易していたので、さっさと動き出したくて仕方がなかった。だが一人で行動することに慣れているリンジーは誰かと一緒では逆に動きにくいという事だったので、ニールとエッツォ、バフとジマの組み合せでエンプキスの情報を集めていくことにしたのだった。




