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悪逆王の無茶ぶりがすべて村の発展に変換される件について 〜実は我が村、地下帝国と化して王国経済を乗っ取り中〜  作者: チラミン


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#42 神界・魔界・地上界 合体統合! 全次元最大『カルマ・ユニバーサル・リゾート』構想

天界の主神ゼウスが泣きながらクロワッサンを頬張り、アレンの『影の天秤』商会へ正式に全権委任状を提出してから数日。 世界の歴史上、いまだかつて誰も見たことがない前代未聞の超巨大プロジェクトが動き出していた。


地上界、天界、そして魔界。 数千年にわたり、宗教的対立や不毛な戦争、そして凄惨な過酷労働を繰り返してきた三つの世界が今、ひとつの「巨大な経済ネットワーク」として結ばれようとしていたのだ。


「――皆様、お集まりいただき感謝いたしますわ」


地下帝国の中心にそびえ立つ、ガラス張りの超高層カンファレンスタワー。 その最上階にある大会議場には、世界の歴史を塗り替えるに相応しい、あまりにも凄まじい顔ぶれが揃っていた。


上座には、ゆるい半袖シャツ姿で冷たいコーラを飲む大家アレンと、膝の上で丸くなる白いポメラニアン(神話級魔獣)のシロ。 その隣で、真新しいスカイリゾートの名誉役員スーツを身に纏い、幸せそうに特製パフェを突っついている天界の主神ゼウス。 さらに、豪華なアロハシャツを着こなして南国フルーツジュースを飲む魔界の魔王バアルと、その傍らで真剣にメモを取る老執事デモゴル。 そして、アレンの傍らに寄り添うリリア、胸筋を誇示するように仁王立ちするオリビア、もこもこ部屋着でリラックスしている元監査官のセラフィナの姿があった。


「本日お集まりいただいたのは、他でもありません。アレン様のカンストしたカルマポイントを活用した、最終事業計画の発表のためです」


壇上に立ったクロエが、分厚いバインダーを抱えて優雅に一礼した。 彼女が指を鳴らすと、会議場の中央に巨大な三次元ホログラムマップが浮かび上がる。


上空に輝く雲の上の『天界』。 地上に広がる豊かな森とテーマパークを擁する『地上界』。 そして、暗く険しい地下深くに眠る『魔界』。


「現在、我が商会は三界の全土地および主要インフラの9割以上を所有・管理しております。ですが、世界ごとに分断された状態のままでは、移動のコストもかかり、物流や観光の効率が非常に悪いですわ」


「確かにそうだな」と、魔王バアルがジュースのストローを咥えたまま頷いた。 『我が魔界の魔物たちが天界の観光地へ行こうにも、次元の結界を破るだけで多大な魔力を消費してしまうからな』


『うむ……我が天界の天使たちも、地上へ降りるだけで遠征手当(自腹)がかかっていたのだ……』と、主神ゼウスもパフェのクリームを拭いながら溜め息をつく。


「ええ。そこでアレン様が発案されたのが、こちらの構想です」


クロエがメガネのツルをクイッと押し上げると、ホログラムマップが光を放ち、三つの世界が光のラインで縦一線に結ばれた。


「三つの世界を貫く超高次元・超高速魔導新幹線――【次元貫通型スカイ・レール】の開通。ならびに、三界を一つの巨大な複合アミューズメントエリアとして統合する――【全次元最大『カルマ・ユニバーサル・リゾート』構想】ですわ!」


「「「ユニバーサル・リゾート……!?」」」


主神と魔王、そして老執事デモゴルの声が重なった。


「具体的には以下のように分業化いたします」


クロエは淡々と、しかし圧倒的な説得力をもって説明を続けた。


1.【天界エリア(天空スパ&スカイエリア)】 澄み切った空気と雲の上の絶景を活かした、超最高級エステ、温泉療養所、そして絶景カフェエリア。支配人には元筆頭監査官のセラフィナ様、ならびに名誉役員として主神ゼウス様が就任。


2.【地上エリア(イハカ温泉&サファリパーク&エルフ自然保護区)】 絶叫アトラクション、大自然グランピング、グルメ街を中心としたファミリー向け総合レジャーエリア。リリア様およびセレスティア様が中心となって運営。


3.【魔界エリア(ダーク・ダンジョン&サファリ・ナイト)】 凶悪なダンジョンを完全改装した、世界初・体感型巨大お化け屋敷と、魔物たちの生態を安全に観察できるサファリパーク。支配人には魔王バアル様、財務統括にデモゴル様が就任。


「これらすべてのエリアを、新幹線(スカイ・レール)を使えばわずか15分で相互移動可能といたします。チケットは全界共通の『カルマ・フリーパス』を発行。人間、エルフ、天使、悪魔……すべての種族が、国境も次元も越えて自由に観光を楽しめるようにいたしますわ」


「す、すごすぎる……!」 老執事デモゴルが震える手で眼鏡を拭い、感涙にむせんだ。 「これなら、我が魔界の魔物たちも『恐怖の侵略者』ではなく『世界を喜ばせるエンターテイナー』として、正当な給料をもらって胸を張って生きていけます!」


「ふふっ、天界の天使たちも、下界の美味しいものを食べて、休日は魔界のお化け屋敷でキャーキャー言って遊べますね!」 セラフィナも六枚の羽を嬉しそうにパタパタと広げた。


「でもクロエ、そんな三つの世界を繋ぐ大工事、どれだけの費用がかかるんだ……? 天界と魔界の結界を貫通させるだけでも、国家予算の数千倍では済まないぞ?」 主神ゼウスが心配そうに尋ねると、アレンはコーラをゴクリと飲んで、フッと微笑んだ。


「大丈夫だよ、主神さん。ポイントならカンストして余りまくってるからね。さっき『超大型・次元貫通レールセット(全自動敷設機能付き)』をポチッと買いちゃったから」


「「「ポチッと買ったぁぁぁぁぁっ!??!?」」」


次の瞬間。


――ズズズズズズズズズトンッ!!


全次元に心地よい地響きが駆け巡った。 アレンがポイントを投じた瞬間、天界の雲を突き抜け、地上の大穴を通り、魔界の最深くへと繋がる、純白と黄金に輝く美しい超巨大な線路とプラットフォームが、一瞬にして全自動で完成したのだ。


窓から外を見下ろした一同は、息を呑んだ。


空には美しい虹の架け橋がかかり、天界からは天使たちが笑顔で手を振りながら降りてくる。地上からはエルフや人間たちが最新の魔導列車に乗り込み、魔界からは身なりを整えた魔物たちが案内係として観光客を温かく出迎えている。


かつて泥沼の戦争や過酷な重税、過労死に苦しんでいた三つの世界が、一人の元村人が投じた圧倒的な「資本とホワイトな環境」によって、完全にひとつの笑顔溢れる楽園へと変貌を遂げたのだ。


「……見事なものですわね、アレン様」 クロエがアレンの隣に立ち、感慨深げに窓の外を見つめた。


「うん。誰も血を流さないで、みんなが楽しく暮らせるなら、ポイントの使い道としてはこれが一番だよ」 アレンが優しく微笑むと、隣にいたリリアがぎゅっとアレンの手を握りしめた。


「アレン様、本当に……本物の神様以上の奇跡ですね。私、アレン様の近くでこの景色を見られて、世界一幸せです!」 「ハハッ、大げさだなあ、リリアは」


膝の上のシロが「ワン!」と満足そうに鳴き、周囲の仲間たちの温かい笑い声が会議場に広がる。


全次元統合『カルマ・ユニバーサル・リゾート』の誕生。 歴史上類を見ない、巨大なホワイトスローライフ帝国の完成に向かって、アレンたちの歩みはいよいよ最終章(株主総会)へと向かっていくのであった。



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