待状09 -家庭教師サークルの小さな世界 19
湯志傑が目を覚ました時、居間にはすでに薄っすらと粥の香りが漂っていた。彼は目をこすりながらソファから起き上がった。身体に掛けられていた薄手の毛布が腰元へと滑り落ちる。昨夜、警備の番をしながらここに腰掛けていたのだが、いつの間にかソファの扶手に寄りかかったまま眠りこけてしまっていたのだ。
台所の方からトントンと小心地よい音が聞こえてきたので、彼が首を突っ込んで覗いてみると——程晉陽が調理台の前に立ち、手際よく何かを刻んでいた。その隣のコンロでは、宋知行が鍋の中身を愛おしそうにかき混ぜており、蓋の隙間から立ち上る湯気が香ばしいピータンの香りを運んでくる。
湯志傑はぐっと背伸びをして欠伸をひとつ漏らすと、台所のドア枠に寄りかかりながら声をかけた。「今日の朝飯は何だ? ついでに昼飯も作ってくれるのかい?」
宋知行は顔を上げ、手に持ったおたまを止めずに答えた。「昨夜はお疲れ様でした。実に簡単なピータンとお肉のお粥ですよ」彼は一息置き、落ち着いたトーンで付け加えた。「正直なところ、残っている食材も多くありませんから。お昼は玉子焼き焼き餅ですね」
湯志傑は顎に手を当て、台所の中を見回した。確かに調理台の上に置かれた食材はわずかだ——卵が数個、小さな袋に入った小麦粉、ネギが数本、そして小ぶりの豚の薄切り肉。これが彼らの所有する全在庫だった。彼は冗談めかした表情を収め、真真面目な口調に切り替えた。「食材の少なさって……まさか残された時間の暗示なんじゃないか?」
周囲を見回し、何かを審察するように呟く。宋知行は彼の視線を追い、しばし沈黙してから口を開いた。「最初の日にあんなにたくさん料理を作るべきじゃなかったんじゃないかとも話していたのですが、昨晩戻る前にマネージャーと食材の件について話した際、彼はまったく反応を見せなかったのです」
宋知行は程晉陽へと視線を送った。程晉陽の顔色はどこか硬く、包丁を握る手が止まっていた。彼は言葉を引き継いだ。「最も重要なのは……昨日の夕飯に、お弁当の容器(プラスチックの空き箱)が出なかったことだ」
湯志傑は呆然とした。気まずそうに頭を掻き、申し訳なさそうな色を浮かべる。「まさか二人が気づいていたとはな。老劉と相談して、みんなを早くから不安にさせたくなかったから黙っていたんだが」
程晉陽は振り向かず、再びまな板の上に包丁を規則正しく落とし始めた。「僕たちはゴミの処理も担当しているからね。当然気づくよ」
その背中を見つめながら、湯志傑はこの話題をごまかしきれないと悟った。彼は腕を組み、平静なトーンで語り始めた。「だが昨日、以前の滞在者が残したノートを読んだんだが、お弁当箱が出なくなるのは『四日目』のことだと書かれていた。なのに俺たちは二日目にしてもう出なくなっている……新しい人間がこの副本に入るたび、失敗を重ねるごとに難易度が跳ね上がっているんじゃないか?」
宋知行も程晉陽も驚いた様子は見せなかった。彼らもノートに目を通しており、同じ可能性を察していたからだ。台所に束の間の静寂が訪れ、鍋の中で粥がグツグツと泡立つ音だけが響いていた。
宋知行は手元の残った食材を数え直しながら、独り言のように呟いた。「奕さんは何も言いませんし、事情を知らないのかもしれませんが……彼女も密かに解決を急がねばならないと感じている気がします」
それを聞いた湯志傑は思わず程晉陽を盗み見、口元を小さく緩めた。「お前、昨日の夜は『もっと長く副本に留まっても構わない』なんて言ってなかったか?」
程晉陽の手がピタリと止まった。振り返りこそしなかったものの、耳の根元があからさまに赤く染まっている。普段見せない気まずそうな声で弁明した。「……彼女に会えるのがこの副本の中だけだったから、思わず本音が漏れただけだよ」
湯志傑は一瞬固まったが、すぐに事態を把握した。目を丸くし、「なるほどな」とばかりに膝を叩いた。「ならさ、副本の外で実際に逢う約束でもしてみたらどうだ?」
その言葉が落ちた瞬間、宋知行と程晉陽が同時に振り返った。二人の瞳が露骨に輝いている。胸の中に秘めていた言えずじまいの願望を、見事に射抜かれたかのようだった。二人はほぼ同時に頷いた。
「僕も混ぜて!」入り口から突如として陳硯之の声が飛び込んできた。宝物でも見つけたかのように興奮している。彼は足早に台所へ入ってくると、隠しきれない笑みを浮かべた。「実際に会う話ですか!? 僕、S市に住んでるんです! 皆さんもですか!?」
湯志傑は首を横に振り、申し訳なさそうに言った。「悪いな、俺はH市だ」
宋知行も二人が包み隠さず話しているのを見て、正直に明かした。「私はB市です」
程晉陽が顔を上げ、驚きを露わにした。「僕もB市だよ」
陳硯之の顔が一瞬で引きつった。入り口に立ち尽くし、おもちゃを取り上げられた犬のように肩を落として不満げに呟いた。「お二人(宋知行と程晉陽)がやけに仲良しなのは百歩譲るとして、同じ街に住んでるなんてずるいですよ……不公平だ!」
湯志傑はあきれ顔で彼を見た。「お前とは少し離れているが、今の時代なら交通手段なんていくらでもあるだろ。落ち込むほどのことじゃない」
程晉陽は少し考え、探るように慎重な口調で言った。「携帯番号を交換しておかないか? 僕の記憶力なら、暗記できるはずだ」
宋知行も明らかにその提案に賛同し、頷いた。「私も交換しましょう」
陳硯之の瞳が再び輝きを取り戻し、口を開こうとしたその時——
「あなたたち、本当に暇ね……」
女性の声が突然割り込んできた。平淡で、かすかな冷ややかさを帯びたトーンだった。
陳硯之は即座に嬉しそうに振り返った。その声に含まれた温度差にまったく気づいていないかのように。「番号交換の話をしてたんですよ! 奕さんも交換しますか!?」
于奕孺はドア枠に身を預け、四人の顔を順番に見渡した。表情に大きな変化はなく、相変わらず落ち着き払った口調で言った。「電話番号?」
彼女は一拍置き、何かを推し量るように間を置いた。そして発せられた声は小さかったものの、台所全体の空気を一瞬にして凍りつかせた。「あなたたちだけで交換しなさい。私はまだその段階じゃないわ。この副本、今日中に解決しなければ手遅れになるわね。このままじゃ災厄の発生源(禍源)になってしまうわ……だから後で、全員で一斉に『辞職』するわよ」
陳硯之は電話番号の交換を拒絶されたショックを感じる間もなく、続く言葉に完全に打ちのめされた。口をぽかんと開けたまま、一呼吸置いてようやく声を搾り出した。「じ、辞職……!?」
于奕孺は彼を一瞥し、ごく当たり前のことでも話すかのように冷然と言い放った。「そうよ。もう奴らのごっこ遊びに付き合うのはやめにするの」
台所に一瞬の静寂が落ちた。湯志傑は組んでいた腕を解き、程晉陽の手の中の包丁は宙で止まり、宋知行の粥を混ぜる手も鈍くなった。四対の視線が一斉に于奕孺へと注がれたが、彼女の表情は饒舌に物語っていた——これは相談ではなく、「通告」なのだと。
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湯志傑は、于奕孺の言う「辞職」が全員での一斉行動だとは思ってもみなかった。顔から笑みが消え去り、滅多に見せない不安を声に滲ませた。「正気か? 一歩間違えれば、即座に敵と全面対決になるぞ」
于奕孺は彼を見やり、口元をごく浅い冷笑で歪めた。その笑みは一瞬で消え去ったが、台所の温度をさらに数度下げるには十分だった。「『怪異(詭)』が私たちを生かして返す気でいると思うの? 副本があって、ルールがあって、その上『魔』まで潜んでいる……最初からハメるための罠(請君入甕)じゃない」
湯志傑は口を開きかけたものの、反論の言葉が見つからなかった。顔色を暗く沈み込ませる。水底に沈められた木切れのように、表面は静かでも内側は水で満たされているかのようだった。
隣に立つ陳硯之は、眉間のシワをどんどん深くしていった。彼は耐えかねて口を開いた。純粋な困惑を声に込めて。「……でも、この副本には『正神』の監視(護衛)がついているんじゃなかったんですか? どうしてこんな事態を放っておくんですか?」
于奕孺の顔色が複雑に変化した。彼女はとしばし沈黙し、どこまで打ち明けるべきかを測っているようだった。やがて重々しい口調で語り始めた。「修行そのものは『神頼み』ではないからよ。一般的な神職者は神に仕え、信徒は忠誠と供物を捧げ、神が人間界の罪業を処理する……だがこのシステムもまた人の心の上に成り立っているもので、神もそれに合わせているに過ぎないの。結局のところ一般の信徒には、神職者が真に忠実かどうかなど判別できないわ。だから神職者が奉っているのが神なのか魔なのかさえ、単なる記号に過ぎない……重要なのはその手法と実力(術力)よ」
彼女は湯志傑の返答を待たず、顎で彼を指し示した。「道教の修行は、本質的には幾世にもわたる功徳と修為の積み重ねよ。人はなぜ修行するのか自分でも分かっていないけれど、自然とそこへ行き着くものなの。『道家』と『道教』は似て非なるものよ」
湯志傑は鼻をこすった。彼はしばらく沈黙した後、珍しく素直な口調で自らの経緯を語り始めた。「俺が修行を始めたのは、お袋が東南アジア旅行で怪しいものに当たって(憑依されて)、帰ってきたら別人のようになってしまったからなんだ。ちょうど老劉と知り合ってな、あいつも家族のトラブルで術を学び始めた口だった。俺が急に師匠(先生)を探し始めたのを見て、打ち明けてくれて助かったよ。その後、お袋は師匠に治してもらい、俺も流れで弟子入りしたってわけだ」
陳硯之はそれ聞いて目を輝かせ、思わず食い下がった。「普通はお祓いが終わればそれで終わりじゃないですか? どうして自分も修行しようと思ったんですか?」
湯志傑は彼をジロリと睨み、図星を突かれた気まずさを覗かせた。「お前、本当に野次馬根性が凄いな」彼は一息置き、結局答えた。「……最初にお袋を抑え込めなかった時、本気で怖かったんだよ。あんな思いは二度とごめんだと思った。それに老劉も一緒だったし、師匠も俺に才能があると言ってくれたから学び始めたんだ」
陳硯之は追及を止めたものの、瞳の中の好奇心は失われていなかった。
于奕孺は静かに言葉を引き取った。「だから私たちは『神職者』ではないの。宗教的な存在意義ではなく、あるのは『相伝』と『自己修行』よ。前者は弟子を取ることが多いけれど、後者は私たちのようなタイプが多いわね」
台所に静寂が戻った。宋知行は火を弱め、粥の湯気はおとなしくなった。程晉陽は包丁を置き、手を拭いた。一時的に動作を止める口実を見つけたかのようだった。
その時、ずっと廊下で聞き耳を立てていた劉張三が耐えかねて声を上げた。壁に背をもたせかけ、腕を組みながら、完全に無視されたことへの不満を漏らす。「おいおい、俺を無視するなよ。さっきからみんな俺に視線を投げてただろうが! 全員で台所に押し寄せて、暑苦しくないか? 居間に戻って話そうぜ」
于奕孺は首を傾げて彼を一瞥し、口元をわずかにほころばせた。ようやく彼の存在を認識したかのようだ。彼女は反論せず、真っ先に居間へと歩き出した。他の面々も後に続き、台所には鍋の中で静かに泡立つ粥だけが残された。
宋知行は台所を出る間際に火を消した。粥はすでに十分煮込まれていたが、玉子焼き餅はまだ手をつけていない。彼は壁の時計に目をやった——七時過ぎ。その数字を胸に刻み、皆の後に続いて居間へ入った。
劉張三はすでにソファの上に身を投げ出し、脱ぎ捨てられた上着のように脱力していた。洗面は済ませたらしく、髪にはまだ湿気が残っていたが、寝起き特有の物怠さを声に混じらせて言った。「さっき阿傑が修行を始めた理由だけ聞こえたんだが、なんで急にそんな話になったんだ?」
傍らに立つ湯志傑は、思わず己の顎をさすった。彼はまだ顔も洗っておらず眠気が残っていたが、会話の内容のおかげで頭は冴え渡っていた。「硯之の『奕様』が一斉辞職を提案したんだよ。反動(しっぺ返し)が来ないか心配でな。だが奕の言う通りだ……この副本は最初から俺たちを生かして返す気がなさそうだ。養殖場(家畜)みたいにな。だから質問魔の陳の坊主が『どうして正神の護る副本でこんなことが起きるのか』と聞き出し、それで修行の本質について話していたところだ」
劉張三は大体の経緯を理解した。彼はまず于奕孺へ視線を向け、慎重に確認した。「……勝算はあるのか?」
于奕孺は頷き、淡々と言い放った。「留まれば留まるほど、怪異(詭)は強くなるわ。速戦即決の方がずっと安全よ」
劉張三の眉間にシワが寄った。一拍置き、言葉を選びながら胸中の懸念を口にした。「……だがそれじゃあ武力突破(力ずく)だ。事件の根源(元凶)を突き止めることはできんぞ?」
于奕孺は肩をすくめた。怒りも防衛的な態度も見せず。「誰が気にするのよ。私には関係ないわ」
劉張三の顔色が沈んだ。彼はぐっと言葉を飲み込もうとしたが、抑えきれずに言い張った。「俺はお前ほど強くないから文句は言えん。だが……それが良い解決法だとは思えない」
居間の空気が一瞬でピンと張り詰めた。陳硯之はその微妙な緊張感を察知し、身を乗り出して仲裁に入ろうか迷った。しかし、于奕孺は怒らなかった。むしろ彼女はカラカラと朗らかに笑い飛ばしたのだ。その笑顔には一切の偽りがなかった。「あら。確かに良い方法ではないわね。でも覚えておきなさい——己の身の丈に合わない大役は背負わないこと。人間、分相応(身の程を知る)に生きるべきよ」
湯志傑は劉張三の表情と于奕孺の佇まいを見比べた。そして意を決したように重々しく告げた。「彼女を信じようぜ。俺たちには『魔詭本』の経験がないんだ」
劉張三は黙り込んだ。俯き、ローテーブルの端の点を見つめながら、その言葉の重みを噛み締めているようだった。数秒後、彼は溜息を吐いて頷いた。こだわりを捨てた素直な声で言った。「……すまん、苦労をかけるな」
于奕孺は腕を組み、口元をわずかに吊り上げた。「安心しなさい、最終的に面倒を引き受けるのは私なんだから。大したことじゃないわ」
そう言い捨てると、彼女は陳硯之の方を振り返り、いつものマイペースなトーンに戻った。「電話番号の交換をしたかったんでしょう? 交換しなさいな。現実世界であの二人(劉張三と湯志傑)と交流を持つのは、あなたたち三人にとってもプラスになるわ」
劉張三は顔を上げ、不審そうに尋ねた。「電話番号の交換……?」
湯志傑は頷き、笑いながら程晉陽を指さした。「この坊主が乗り気なんだよ。実際会ってみるのも悪くないさ。子健(チーキンの友人)の奴も最近離脱しがちだし、新しい仲間が必要だったところだ」
劉張三は固く閉ざされた部屋のドアをチラリと見た。声のトーンを落とし、確信めいた直感を口にする。「……あいつ(古珞鸒)は会いたがらないと思うぞ」
程晉陽も頷き、静かに同調した。「僕もそう思います」
陳硯之は驚いた。劉張三と程晉陽を交互に見比べる。「古さんのことですか? どうしてそう思うんですか?」
劉張三は考え込むような顔をした。「直感だよ。あいつは現実で会わない方がいいと考えているはずだ。まあ、聞くだけ聞いてみるのは悪くないがな……男なら主導権を握って当然だ」
于奕孺はすでに洗面所へと向かって歩き出しており、この話題には興味がないようだった。彼女の背中が廊下の角へと消え、足音が遠ざかっていく。彼女が去ったのを確認し、陳硯之は低声でぼやいた。「さっき、奕さんにも電話番号の交換を断られちゃいました」
劉張三は驚かなかった。観察に基づく確信を込めて言った。「あの二人は、本気で修行に取り組んでいるタイプだ。自分の意志というより、何かに突き動かされているような感じだな。さっきの奕の声……凄まじかったぞ。恐怖という意味ではなく、退路を断った者の決意みたいなものを感じた」
湯志傑は手をポンと叩き、重苦しい空気を明るく吹き飛ばした。「よし、俺の番号を書いてやるからしっかり覚えとけよ。俺も老劉も貧乏だから、もし会うことになったらお前らがこっちまで来てくれよな」
劉張三はあきれ顔で彼を見た。「お前、いつからそんなに打ち解けてんだよ……もう会う気満々かよ」
しばらくして、顧長安が玄関から入ってきた。
湯志傑は驚いた顔をした。「外出していたのか?」
顧長安は頷き、程晉陽と宋知行を示した。「二人は知っていたよ」彼は目を覚ました面々を見渡し、淡々と言い添えた。「いくつか下の階を見てきたのだが……この時間帯にしては、すでに人が配置されているのを確認した」
劉張三はあからさまに驚いた。眉をひそめ、呆れ顔を向ける。「おいおい、大胆な真似をするな……で、何か分かったのか?」
顧長安は嫌なことを思い出したように顔色を曇らせた。一拍置いてから、先ほどより低い声で告げた。「……NPCのように見えたが、極めて奇妙だった。何と言ったらいいか……不可解な気配だ」
湯志傑は宥めるように言った。「通り過ぎるだけで監視されているような感覚だろ? だが今のところ実害はない。いきなり襲いかかってくるわけでもないし、俺たちに何か仕掛けてくる様子もないさ」
顧長安は理解を示して頷いたが、問いを重ねた。「ではなぜ、そのようなNPCが存在するのだ?」
劉張三は手を振り、身も蓋もない告白をした。「俺たちにも分からんよ。ぶっちゃけ、今まではミッションさえこなせばそれで良しとしていたんだ。つまり主催者を見つけることだな。だが必ず成功するわけじゃない……俺たちが先に見つけることもあれば、他のチームが見つけることもある。もちろん、見つからずに終わることもざらにあるさ」
彼は頭を掻き、気まずそうに認めた。「俺たちはベテランの部類に入るが、できることなんて高が知れている。以前のスコアなんて、古さんが加入してからのスコアとは比べものにならんよ」
古珞鸒のことに思いを馳せ、劉張三は付け加えた。「前回、古さんと奕がいなくて、俺と阿傑、それに鄭、潘、駱の三人だけだった時の副本なんて、本当に小規模な感じだったからな」
その時、ドアの開く音が響いた。
古珞鸒がまだ完全に目が覚めていない様子で、目をこすりながら部屋から出てきた。髪は少し乱れており、足取りは普段以上に重い。まだ眠気の底から引き揚げられていないようだった。




