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待状09 -家庭教師サークルの小さな世界 10



翌朝、古珞鸒(グー・ローユー)は自然に目が覚めた。今回の回復の早さに自分でも少し驚きつつ、ふと隣を見ると、ベッドはすでに空になっていた。


ベッドを抜け出し、扉を開ける。まだ完全に覚めきっていない視界の先に、まず飛び込んできたのはリビングの中央だった。于奕孺(ユー・イールー)がソファに腰掛け、膝の上にノートを広げている。かなり前から起き出していたようだ。そして彼女の対面では、男たちが一列に並んで腕立て伏せをしていた。その動きはまるで同じ指令によって同期されたかのように寸分の狂いもない。程晉陽(チェン・ジンヤン)のペースは安定している。宋知行(ソン・ジーシン)の動作は決して速くはないものの、このところ継続して鍛錬してきたことが窺える正確さだ。顧長安(グー・チャンアン)のフォームには身体にしみついた習慣が見て取れ、陳硯之(チェン・イエンジー)の姿勢はまだぎこちないものの、必死に食らいついていた。その列の端には劉張三(リウ・ジャンサン)、湯志傑(タン・ジージエ)、唐衍之(タン・イエンジー)の姿もあった。


古珞鸒はドア枠に身を寄せたまま立ち尽くした。「……?」

頭がまだぼんやりとしたまま、一列に並んだ男たちと于奕孺の間で視線を往復させ、事態が飲み込めずにいた。


于奕孺が顔を上げ、パッと笑顔を咲かせた。「あら? 起きたの?」

それから男たちの方を向き、声を落とすことなく言った。「気を緩めないで。恥ずかしがる必要はないわ、続けて。」


古珞鸒は首をかしげ、腕立て伏せに励む男たちを一通り見回した。声にはまだ寝起きの低さが残っている。「これは……どういう状況?」


于奕孺はソファの上で、どこか誇らしげに胸を張った。「魂だって修行できるでしょう? だから、まずは基礎練習をさせているのよ。」


その言葉にハッとさせられたように、古珞鸒の唇がかすかに動いた。深い笑みではないものの、確かな納得がそこにはあった。「なるほどね……そう来たか。」

彼女は昔を懐かしむように呟いた。「知っている人は少ないけれど、確かにね。身体に運動記憶を刻み込んでこそ、副本(ダンジョン)の中で魂魄を強化できるのよ。」


その言葉を聞いて、于奕孺は大きくうなずいた。「だから言ったのよ、目を覚ましてからも鍛えなきゃダメだって。そうしないと自分の中の『気』が逃げてしまうから。」


古珞鸒は反対しなかった。「よく知っているのね、ご苦労様。」

彼女はキッチンの方にちらりと視線を送り、声を少し和らげた。「朝食の準備かしら? お粥が食べたいのだけれど。」


床から陳硯之の息の上がった声が飛んできた。「宋兄さんがもう作ってくれましたよ。昨夜、古さんがほとんど食べていなかったから、今朝は腹が減るだろうって。」


于奕孺はノートから視線を上げ、容赦のない口調で注意を飛ばした。「この中で一番体力がないくせに、一番口が達者ね。黙って腕立て伏せを続けなさい。」


陳硯之は苦笑いを浮かべ、それ以上は何も言わずに身体を沈め、次のセットに取りかかった。


古珞鸒の視線が宋知行の上で止まる。少しの間を置いてから、彼女は短く口を開いた。「ありがとう。」


宋知行は顔を上げ、彼女の表情と様子を確かめるように見つめてから応えた。「気にするな。」


朝の体力測定を兼ねた鍛錬が一区切りつき、于奕孺は解散の許可を出した。劉張三はすぐには立ち去らず、彼女の脇に立って尋ねた。「俺の忍耐力というか気力は、魔詭本(まきほん)のような場所でどれくらい持ちそうなんだ?」


于奕孺はノートをパタンと閉じ、淡々と言い放った。「おそらく、すぐに眠気が襲ってくるか、頭が重くなってくるでしょうね。あそこの濁気は強烈だから。」


少し離れた場所にいた湯志傑がそれを聞きつけ、不服そうな表情を浮かべた。「じゃあ『種(たね)』と呼ばれる連中は、生まれつきそういう副本に適した体質だってことか?」

一拍置いて、彼は付け加えた。「陳硯之ですら俺たちよりマシだなんて……あいつはただの『附属種』だろう?」


于奕孺は首を横に振った。「あの子はあなたたちより少し耐性があって、粘り強いだけよ。いくら附属種とはいえ、半分の『種』であることには変わりないのだから。」


二人の会話を耳にした古珞鸒は昨日の件を思い出し、すぐに于奕孺へ確認を入れた。「彼らにはもう説明したの?」


于奕孺はうなずいた。「耐性についての話ならね。濁気に抗うための要だし……それに今の拡散スピードを見る限り、じきに一般人にも影響が出始めるわ。」

彼女は言葉を切り、陳硯之へ視線を向けた。「硯、覚えているわね? 後は頼んだわよ。」


陳硯之は背筋を伸ばし、大役を任されたかのように嬉々として答えた。「お任せください! まだ起きてこない女性陣三人には、僕からしっかり説明しておきます!」


宋知行が古珞鸒の傍らに歩み寄ってきた。彼女がまだ何も口にしていないことを確認すると、自然な仕草で問いかけた。「お粥は食べたか?」


古珞鸒は案の定、首を横に振った。「みんなの訓練を見ていたから、まだなの。」


宋知行は薄く笑みを浮かべると、余計なことは言わず、そっと体を引いて座るよう促した。古珞鸒は少し気まずそうにし、気を遣わないでと言いかけたが、宋知行はすでにコップ一杯の水を彼女の前に置き、昨夜整理したノートを彼女の手元へと押しやっていた。彼の中ではすでに手順が決まっているようだった。「まずは水を飲んで、これに目を通してくれ。昨夜新しくまとめた資料だ。」


予想通り、それを聞いた古珞鸒は動きを止め、視線をノートへと落とした。最終的に小さくうなずき、お礼を言って腰を下ろした。ノートを開くと、文字は整っており、何より情報が明確に階層化されていた。ただ思いつくままに書き殴ったものではなく、入念に整理された上で記録されたものだと一目で分かった。数ページ繰りながら、段落ごとに分類された情報に目を通す。各クラスの臨界点が明確にマーキングされており、どのクラスが崩壊の危機に瀕し、どのクラスがまだ安定しているかが一目瞭然だった。警備員や修繕工が注意すべきポイントも独立してリスト化されている。


今日起こり得る出来事を、あらかじめ推論し尽くしたかのようだった。彼女はもう一枚ページをめくり、自分の見立てと一致しているか、何か見落としがないかを吟味した。キッチンからは、出汁の効いた米粥の香りが漂い始めていた。


間もなくして、宋知行が二つの皿を手に戻ってきた。一碗のお粥と、その脇に添えられたゆで卵。彼はその殻を丁寧に剥き、古珞鸒の目の前へと差し出した。

古珞鸒は一瞬あっけにとられ、慌てて受け取りながら礼を言った。一口かじりつきながら、心の中で密かに呟く。

(この優しさの中に、微妙な強引さ……?)

それでも彼女は黙って卵を食べきった。現実に自分が生活力皆無というわけではないが、忙しくなると自分の世話が後回しになるのは事実だった。ただ、他人に面倒を見られているような自分の姿に、少しばかり気恥ずかしさを覚えていた。


宋知行は長居せず、彼女が碗の粥を普段より少し多めに口にしたのを確認して、ようやく安心したように息を吐いた。


やがて奥の部屋から動きがあり、鄭愷苑(ジョン・カイユエン)、潘穎嫆(パン・インロン)、駱馥琪(ルオ・フーチー)の三人が次々と姿を現した。


陳硯之はすでにキッチンの入り口に立ち、自然な調子で声をかけた。「宋兄さんがお粥を煮てくれたよ。自分たちの分はキッチンで盛ってね。」


駱馥琪は宋知行にちらりと視線を送ると、親指を立てて、寝起きながらも心からの賛辞を贈った。「あなた、本当にいい男ね。」


宋知行は返事をせず、古珞鸒の方を盗み見るように視線を落とした。彼女が駱馥琪の言葉に同意するようにうなずいているのを見ると、静かに口を開いた。「食べ終わったら、お代わりもあるからな。」


駱馥琪が潘穎嫆と鄭愷苑にお粥がいるか尋ねようとした瞬間、陳硯之がすかさず割り込んだ。「あ、結構です!」


彼女はポカンとした。「え?」


陳硯之は唐衍之の肩をポンと叩き、大真面目な顔で言った。「君が彼女たちの分を盛ってあげて。」

彼はゴホンとひとつ咳払いをして、抜かりがないことをアピールするように言った。「僕は奕様から言われた大仕事を片付けてくるから。」

その表情は、まるで国家の存亡がかかった任務にでも挑むかのように真剣だった。


隣にいた劉張三が思わず吹き出した。「最初会った時は知らなかったが、お前、本当にお調子者だな。」


唐衍之の視線が駱馥琪の上で一瞬止まり、彼はごく自然な口調で言った。「三人とも座っててくれ。僕が持ってくるから。」


駱馥琪はうなずき、お礼を言った。


そこへ鄭愷苑が遠慮なく椅子の端に腰掛け、ハキハキとした声を上げた。「ありがとありがと! ついでによろしくね!」


潘穎嫆も続いて席に着き、陳硯之をじっと見つめながら呟いた。「空気が読める男ね。」


陳硯之はその場に立ち、真剣な面持ちで返した。「いえいえ、冗談じゃないんです。今朝、奕大人から『種』について説明を受けまして、皆さんにちゃんとお伝えするよう言われているんです。」

彼の口調にはふざけた様子はなく、真重要な任務を遂行している最中のようだった。


陳硯之が説明を始める前に、鄭愷苑が真っ先に反応した。驚く風でもなく、負けず嫌いな色を隠そうともせずに言った。「今のところ、彼らが少し先を行っているだけでしょ。すぐに追いついてみせるわ。」

彼女の視線は、露骨に程晉陽、宋知行、顧長安の方へと向けられていた。


潘穎嫆は表情を変えずに言った。「話しなさいよ。私たちは、彼らの素質が人より強いってことくらいしか知らないんだから。」


駱馥琪も直球で言った。「私は彼らが私より強いってこと以外、何も分かってないわ。だから説明してくれるかしら。」


陳硯之は頭をかいた。「みんな、まったく何も知らないわけじゃないんだね。」

気を取り直して、彼は言葉を続けた。「『種』のルーツにはいくつか種類があるんだ。前世で修行を積んでいた者、かつて民衆から鬼神や仙神として祀られていた者、あるいは天庭(天界)で役職に就いていた者。さらに珍しいケースだと、生まれながらの『先天神霊』というのもいる。」

彼は一同を見渡した。「一般的に、かつて天庭で役人や下働きをしていた魂は『附属種』に分類される。奕様の話では、僕はおそらくこのタイプらしい。」


鄭愷苑は興味深そうに耳を傾けた。「ほうほう、続けて。」


ちょうど唐衍之が三人分のお粥を運んできて、鄭愷苑、潘穎嫆、駱馥琪の前にそれぞれ置いた。そして自然な動作で駱馥琪の隣の空席に腰掛け、一緒に話を聞く体勢を整えた。


彼女たちが真剣に聞く姿勢を見せると、陳硯之は時間を無駄にすることなく話を再開した。「奕様が僕たちを少しテストしてみたんだ。彼女が言うには、『種』のタイプによって強さの質が違うらしい。多くの人は能力が平均的だけど、特定の能力だけに特化したタイプもいるんだって。」

細部を取りこぼしていないか頭の中で確認してから、さらに続ける。「でも全体として言えるのは、『種』として生まれ変わった魂は、邪悪なものに対する防御力が総じて高いということ。彼女の見立てでは、程晉陽は万能型で単独行動向き。宋知行は術法系の防衛に長けていて、顧長安は攻撃と防御が一体となったタイプらしい。」

彼は一息つき、自分のパートの締めくくりとして言った。「で、僕みたいな『附属種』は……逃げ足が速くて、逃げながら防ぎ、隙を見て反撃するのが得意なタイプなんだとか。」


鄭愷苑は彼を一瞥し、思わず評価を口にした。「似合ってるわね。」


潘穎嫆も真面目な顔でうなずいた。「確かに。」


最後に駱馥琪が慰めるような視線を送ったが、口から出た言葉は容赦なかった。「能力が人を表しているわね。」


ふたりからの容赦ない評価を受け、陳硯之の顔に情けない陰りが差した。「問題は、僕自身が走るのが得意だと思ってないことなんです……奕様の言った通りになるには、相当鍛え直さないと。」


鄭愷苑はその哀愁を無視して追及した。「で、他の人は? 彼女、何か言ってた?」


陳硯之は一瞬きょとんとした。まさかその質問が飛んでくるとは思っていなかったらしい。「他の人……?」


鄭愷苑は箸を置き、直球で尋ねた。「『種』でも『附属種』でもない、普通の人たちのことよ。種じゃなくても、鍛えて戦わなきゃいけないんだから。」


そう説明されて、陳硯之は慌てて合点がいったようにうなずいた。「ああ、それね! 奕様が言ってたよ——唐衍之は武術の鍛錬にすごく集中してきた魂で、何世にもわたって軍人や用心棒のような仕事をしていたらしいんだ。」

彼は唐衍之に視線を向けた。本人が口を開く様子もなく、不快感を示してもいないのを確認して続けた。「今世でも似たような仕事をしているから、彼の防御力はすごく高い。耐久力に至っては、下手に『種』を名乗る奴らよりも上なんだって。それははっきりとした累世(前世からの積み重ね)の傾向だって言ってた。」


鄭愷苑はバンと机を叩いた。「いいわね、そういう話が聞きたかったのよ。」


隣の潘穎嫆も身を乗り出した。「他には?」


陳硯之は記憶を掘り返した。「劉張三さんと傑さんは、法術の修行経験があるから感応力(センサー機能)が強いらしい。その分、防御や耐久面では唐衍之ほど目立たないけど、術の扱いや臨機応変さでは勝っているんだって。」

彼は少し声を落とした。「ただ、本人たちもその力がどうやって働いているのか、まだよく分かってないみたいだけど。」


粥の碗が空に近づく中、鄭愷苑は箸の先で碗の縁を軽くなぞりながら、何か聞き逃した情報がないか整理しているようだった。


潘穎嫆が碗を置き、陳硯之を見つめた。「まだある?」


陳硯之は心の中で最後の確認をした。「奕様が言っていたのは——男女は体質が違うから、累世で選べる方向性も違うし、集団としての性差もあるから、修行の方法を完全に同じにはできないってこと。『ただ術だけを修めて外界の理を無視していると、唐僧の肉(妖怪に狙われる極上の獲物)みたいになって、邪修や外道に狙われやすくなる』って注意してた。」


三人が話を聞き終わり、お粥もほとんど平らげた頃、斜め向かいに座っていた劉張三が意を決したように口を開いた。彼の視線が鄭愷苑、潘穎嫆、駱馥琪の間を行き来する。「三人とも、どう思った?」


鄭愷苑は彼に目を向けたが、口は挟まず、続きを促した。


劉張三も回りくどい言い方はしなかった。「あんたたちから見て、『種』、『附属種』、そして『非種』の違いって、そんなにデカいと思うか?」


鄭愷苑と潘穎嫆はほぼ同時にうなずいた。動きは小さいものの、迷いのない所作だった。その答えは最初から出ていたかのように。「デカいわね。」


劉張三は眉をひそめ、思案するように首をひねった。「じゃあ、それを見分けるのは簡単だと思うか?」


鄭愷苑は少し考えてから言った。「誰が『種』かを見分けるって意味なら……一概には言えないわね。」一拍置いて、彼女は続けた。「正直、時間が必要だと思う。」


潘穎嫆も困惑の表情を浮かべ、自分の中の基準と照らし合わせながら口を開いた。「状況によるわ。相手がわざと能力を見せつけてくるなら分かりやすいけど、隠そうとされたら見分けるのは至難の業よ。」


鄭愷苑は視線をテーブルの向こう側、程晉陽、宋知行、顧長安の方へと向け、確信に満ちた口調で言った。「私にとって、『種』と『非種』の違いは……『ポテンシャル』と『底力(蓄積)』の違いみたいなものね。」

彼女は思考を整理するように間を置き、それから唐衍之の方へと視線を移した。「非種だけど能力がある人は、『経験値』で戦っている感じ。世慣れたベテランというか、何世も経験して裏も表も知り尽くしているからこその、いぶし銀のような味があるわ。」


そして、彼女はトーンを少し落とし、推論をまとめるように言った。「『附属種』は……非種との区別が一番難しいけれど、状況判断が得意で、大きなミスを犯しにくい印象ね。正しい選択肢にすっと乗っかるのが上手いというか。」


陳硯之は少し頭を下げ、どこか照れくさそうに呟いた。「……ありがとうございます。」


鄭愷苑は容赦なくジト目を向けた。「あなたのことを褒めたわけじゃないわよ。分類の例え話をしただけ。」


だが陳硯之は打たれ強く、ヘラヘラと笑いながら受け流した。「でも、間違ってないと思いますよ。僕は本当に運がいいんです。じゃなきゃ、二回目の副本で古さんと奕様に出会えるわけないでしょう? 劉さんたちなんて、副本で三年も迷走してようやくふたりに行き着いたんですから。」


劉張三が「このクソガキが!」と悪態をついた。からかわれた悔しさが隠しきれていない。「調子に乗りやがって!」


鄭愷苑はうなずいた。「確かに、太い脚(強力な味方)にたかるセンスだけはズバ抜けてるわね。今や大腿骨の専用アクセサリーよ。賢い選択だわ。」


湯志傑は背もたれに寄りかかり、諦めを含んだ溜息をついた。「俺たちは踏んだり蹴ったりだな……座ってるだけで飛び火してくる。」

彼はコップを置き、于奕孺の方へ視線をやった。「奕様が言ってたろ……『魚と熊の手に両立なし』だって。感応力が強い者は防御が弱くなり、その逆も然り。だからこそ、チームワークが一番安全な方法なんだって。」

彼はふと首をひねり、自信なさげに付け加えた。「でも俺、感応力も大して強くないのに、防御が老劉より高いとも思えないんだよな……。」


劉張三は何も言い返さず、ただ口元をぴくりと動かしただけで、黙ってお粥の残りを口へと運んだ。

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