待状06 - 特別事例:妄想の庭- 07(エピローグ)
**後日談**
**程晉陽**
目を覚ました後、彼はすぐには起き上がらなかった。ただそこに横たわり、天井にある見慣れたひび割れに視線を投げていた。自分が現実に戻ったのかどうか確かめるためではない。別のことを考えていたのだ。
あの男たちのことを考えていた——仮面をつけたあの男たちは、後でそれを外したのだろうか? なぜ彼らは彼女だけを呼び寄せたのか? なぜ彼女は大人しく彼らについて行ったのか? 彼女は彼らに何と言ったのだろう?
自分はその場にいなかった。聞くことも、見ることもできなかった。招待状に刻まれた「天官賜福、百無禁忌」というあの一行だけが、まるでドアの隙間に挟まれたメモのようにリザルト画面の端に残り、自分のあずかり知らぬ場所で何かが起きたのだと告げていた。
彼は起き上がり、灯りもつけずにベッドのヘッドボードに身を預けた。自分が気に病んでいることの荒唐無稽さは分かっていた——彼女が何をしようと、誰と話をしようと、何を語ろうと、自分には口を挟む資格などない。彼女は何かを約束したことなど一度もないし、彼の関心を求めたことすらなかった。
それでも、考えてしまうのだ。
彼女は彼らにも何か印を残したのだろうか。かつて自分や宋知行に残した時のように。彼女は彼らにも笑いかけたのだろうか。自分に時折見せる、あの笑みのように。そして彼らもまた、自分と同じように副本が終わった後もずっと、彼女声を覚えているのだろうか。
答えは出なかった。分かることといえば、最後に残された「天官賜福、百無禁忌」というあの一言が、彼の人生において最も胸に引っかかる祝福になったということだけだ。——結局、彼は彼女に何も伝えられなかったのだが。
スマホを取り出し、その八文字の意味を検索した。道教の吉語。神々の賜福。あらゆる災厄と禁忌を打ち払う言葉。彼はそれを長いこと見つめ、それから二度と手に取らないように机の上に置いた。
彼女がその言葉を口にした時、自分はその場にいなかったことを覚えている。だが、それが彼女の残した言葉であることだけは確かだった。自分に向けられたものではなかったとしても、絶対に覚えておくべき言葉なのだと感じていた。なぜなら彼女は、決していい加減な言葉を口にする人間ではないからだ。
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**宋知行**
宋知行が目を覚ました時、その手にはまだスマートフォンが握られていた。いつ手に取ったのかも分からない。ただ、目覚めて最初にやったことが、あの一行を調べることだった。「天官賜福、百無禁忌」。彼はその意味を調べ、本当にあの文字が招待状に浮かび上がっていたのか確かめるように、何度も、何度も読み返した。
彼は疑問を口にしなかった。古珞鸒が「いいわ」と頷いたからだ。彼女が承諾した以上、それは彼女の選択であり、自分はそれを尊重すべきなのだと考えていた。だが——だからといって、気に病んでいないわけではなかった。
なぜあの七人は、彼女だけを呼んだのか。
なぜ彼女は、自分の見えない場所へ彼らと二人きりで行くことを受け入れたのか。
彼女は庭園で何と言ったのだろう。自分が聞くことの出来なかった言葉、永久に知る由もない対話。
そしてあの祝福は、彼女が彼らに残した告別の印だったのだろうか。
「夢が覚めるわ」と言った彼女の声を覚えている。そこには未練など欠片もなく、すでに終わった出来事を淡々と告げるような響きがあった。だが、終わったのが彼女の任務だったのか、それとも彼女の心の引っかかりだったのかは分からない。
宋知行は椅子の背もたれに寄りかかり、ノートの新しいページを開いた。
そこに一行書き記す。「天官賜福、百無禁忌」。
そしてその脇に一本の線を引いた。未だ答えの出ない問いを、一旦そこに保留しておくかのように。
彼女に問い質すことなどできるはずもなかった。彼女は自分に対して何の釈明も負っていないのだから。
それでも彼は気に病み続ける。口を挟む資格などないと知りながらも、その欠片を大切に心の中に拾い集め、それらが自然とひとつの形を結ぶ日を静かに待つ人のように。




