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【一旦完結】ジャガーバルト家の義妹  作者: もにーる
第五章 『生誕』編

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17.『神の宝珠』

キリの悪い所でぶった切ってしまったのでもう1話投稿。

本日2話目、ご注意下さい。

前話の続きとアレの話です。


『仮に時間が等倍で流れていたとして、私がタイムスリップしてたとして、ダンジョンから出られたとして、…勇者オーカが再び人族のいる所に帰ってきたなんて物語は読んだ事が無いんだ』

『あ………』

『桜華くんと一緒にいるという事は、私からすれば700年前の時代にいる事になるんだと思う。…確認は出来ないからこれも推測だけど、確率は高いんじゃないかな?って。勇者とドラゴンが一緒になって攻略出来ないダンジョンって、あまりにも無理があると思うんだ。私の左目の力もあるしね』


 人族最強である勇者のジョブを持つ桜華。産まれて間もないとは言え、最強種の系列に属するリュート。

 リュートが左目の力をもっと扱えるようになれば、更に安全にダンジョンを進むことが出来るだろう。言うなれば無双状態のゲームで、更に攻略サイトを見ながらプレイするようなものだろうか。


『時間がかかって、…もし桜華くんが寿命を迎えたとしても、長寿なドラゴンが700年かけて出られないダンジョンなんてさすがに無いでしょ。進んでみない事には分からないけどね』

『寿命………』

『もしね?もし。そしてダンジョンから出られたなら、私は侑人に接触しようと思ってる。けど、マギカネリアで3カ月過ごした侑人に、私が接触してきた記憶なんてない。もし仮に何らかの形で、誰かしらに会うのを邪魔をされたなら暴れるだろうけど、そんな騒ぎも聞いた事がない。もちろん私が命を落としてる場合だって考えられるけど』

『………』

『結論の出ない話なんだけどね? 外に出てみないと分からない。話した事は無駄で、ここでの1年が外では1400年過ぎるのかもしれない。もっと過ぎるかもしれない。逆に某漫画みたいに、ここでの1年が外では1日しか経たないのかもしれない。予想の1つのように、ここと外が等倍で過ぎているのかもしれない。このダンジョンが、時間の概念から隔絶された場所なのかもしれない。私と桜華くんのダンジョンに入った時代が違うから、出られた時にはそれぞれ…別々の時代に出る可能性だってある。逆に全く関係のない時代に出るかもしれない』

『…考えだすとキリがないね』

『まぁね。あれこれ言ったけど、答え合わせは出てみないとダメって事。死なないように注意して、一緒にここから出て答え合わせをしよう』

『そう…だね、2人でここを出る事で、歴史が変わるって可能性もあるしね』

『お、希望に溢れてるね。その説でいこう』

『ふふ、出てみるまで分からないって言ったばっかりじゃん』

『あはは、希望は持っててもいいでしょ? でも、どんな事が起こるか分からないからこそ、様々な可能性を考えて強くなろう』

『うん。…リュート、改めて指切りしない?』

『お、しよっか。パーティー結成の儀式だね』

『ふふ、そうだね。改めてよろしく』

『よろしく、桜華くん』


 ダンジョンからの脱出を願い、指切りをするリュートと桜華。ここに竜人と勇者のパーティーが結成された。


『………』

『………』


 にこやかに見つめ合う2人。


『………ごめんリュート、…首輪の緊急解除のパターン何だったっけ…』

『………、あははは! ちょっと長くて濃い話だったもんね、もう一度見るから問題ないよ。異変を感じたら魔力を流すのは止めてね?』

『了解、よろしくお願いするよ』

『それじゃ確認しながら伝えるね。………よし、まずは火───』


 締まらないパーティー結成となったが、2人の仲はその分縮まった。

 無事に呪縛のネックレスは外され、桜華は半年振りの解放感を噛み締めた。


 ちなみに、指切りだけではパーティーの結成とはならない。桜華がステータス画面からパーティー申請を送り、リュートが承諾した事で正式にパーティーを組む事が出来た。

 お互いの視界の左上にお互いの情報が現れ、『おぉ!ゲームっぽい!』とリュートがはしゃぎ、桜華はその姿を見て和んでいた。



『あ、この状態でステータス見てみたら左目の事載ってるかな?』


 パーティーが無事に結成された後、リュートの思い付きが発動した。


『…あり得るかも』

『ちょっと試してみる。………ふむ、………ん? ………んん!? なん…え?』


 相変わらず独り言が多いのは、おっさんから少女になっても治らないらしい。しかし、左目の力を使って見るステータスは、思わず声が出てしまう程の情報が詰まっていた。


『………』


 桜華は邪魔をしないようにと声を掛けずにいたが、リュートのステータスに何が見えているのか気になって仕方がなかった。


(なんだこれ…隠しステータス? カリスマに運、身長に体重も…。それにこれは、ステータス値の内訳? …見え過ぎにも、チートにも程があるでしょ。左目は…多分これだな、『神の宝珠』。神ときたか…、通常時には見えない仕様になっててもおかしくない…のかな)

(権限レベル6までの操作が可能…権限レベル6と言われましても? え~、敵対者へのアシスト…情報の閲覧…ジョブ経験値の確認…スキル熟練度の確認…スキルへの干渉…魔道具への干渉…生物への干渉…遠視…、うん…ぶっ壊れって事は分かった。これで全部ってわけじゃないし、そりゃ扱いが難しくても当然か。…こんなものの制御よく出来たな俺)


 ゲームバランスェ…。


(『神の宝珠』とやらに出来る事は載ってても、これ自体の情報は見られないのか。…権限レベルってのが引っかかってるのかな? これより上って…、考えたくもない)

(スキルは通常の説明文が載ってて、左目で見ると更に詳細が分かる…と。『鑑定』なら…変わらないか。『鑑定』で見れるのは物質、…スキル熟練度が上がっても人物の情報までだな。左目のせいで『鑑定』スキルが空気…。よく見えるのは有難いけども)

(あとは…う~わ、ログが経験値取得出来なかったお知らせで埋まってる。勿体無いって思っちゃうのは性分かねぇ。…こっそり最適化完了のお知らせもあった。リュートとシステムさんの残してくれた記録が埋まっちゃっ…なんだこれ?お気に入り登録? …こんなブラウザみたいな機能もあるの? 残せるんなら残すけどね!ありがとうございます!)

(…ん?添付? …こんなの無かったよな、左目のお陰で見えてるのか。生体………は!? …端末? ………これは、………ダメか、…って事は、呼び出すにはどうすれば…、強くイメージすると…これか?)


 黙々と真剣な表情でステータスを操作するリュートと、それを見守る桜華。せっかく首輪の制限が解けたというのに放置プレイである。

 が、桜華は後に、この時邪魔をしなかった自分自身に感謝する事になる。


(スキルの方に出てくるのか、名前がそのまんま…分かりやすくていいと言えばいいか? 組み込まれちゃっ…いや、一先ずこっちは解決したとしよう。問題は───)

(どうしても知ってるイメージから引っ張ってきちゃう…仕方ないか。上手くいけば問題無いし、分かりやすさ重視で───)

(まさかイメージがここまで再現されるとは…、キーボードとマウス…はタッチ操作で…、こっちを関連付け…出来た、読み込み…おっけ、…けどこのままじゃ───)


 時々手を止めながらも真剣な表情は変わらず、


(組み込めるか? いや、出来るはず…現に桜華くんも美鈴さんも持ってるんだから。視点を変更、透視は出来…るみたいだな。心臓付近…これか、石というより宝石みたいだ。情報の更に詳細な───)


 小声になったリュートの呟きは全く聞き取れず、


(この段階で情報を見れるのは助かる。問題のある箇所は…うわぁマジか。こっちを参考に…おっけ、後はないかな? 一応見直しをして───)


 しかし確実に何かを作り上げていた。


 桜華から見たリュートは、明らかにステータス画面のサイズを超えて操作をしている。

 桜華にその画面は見えていないが、リュートが手を伸ばして何かを触る仕草、キーボードを叩くような指使い、視線の幅と動き、それらが見えないはずの画面やキーボードを錯覚して見せていた。


(呼称…呼称? これ自体に名前を付けろって事か、…他に浮かばないしアレでいいかな? 『変化』は既にあるし、何よりイメージはピッタリだし。最後に具現…あ)

『ごめん桜華くん、ほったらかしにしちゃった』

『あ~いや、大丈夫。何をしてたのかは気になってたけどね』

『あはは…、夢中になっちゃった。多分驚くと思うよ? もうちょっとだけ待ってね』

(それにしてもすごいな…。プログラミングなんてやった事どころか基本的な知識も持って無いのに、イメージが補完してくれてたのか? 原理が分からないってそれはそれで怖いけど…やってみよう、『創造』『クリエイト』)

『お…おぉぅ!? MPがゴリゴリ減って、ヤバッ枯渇するかも!』

『…は!? 何したの!』

『スキル創った!』

『創…なんてチート? じゃない、魔力止められないの!?』

『ダメっぽい! MPどんどん持ってかれてる!』

『マジかよ、『魔力譲渡』一応使っておく』

『ありがと。MP削れる速さが異常に…ごめん、ちょっとクラクラしてきた』

『多分気絶す…しちゃったか』

(…MPの消費も治まってる? 持っていかれてたって事は、気絶で魔力が止まったわけじゃなさそうだな。丁度消費したのか、それとも全MPを消費するタイプのやつだったのか…。下手したら枯渇で気絶した後も生命力が搾り取られるから、良かったと言えば良かったけど)


 体の緊張が抜けると同時に、桜華は一つ息を吐いた。

 桜華は視界の左上を確認し、パーティーメンバーであるリュートの情報を確認した。


(…ちょっとHP削れてるか? 割と危なかったっぽいな。…まぁ、このままMPを回復させ続けてれば目を覚ますのは早いだろう。…にしても一体何を創ったんだよ、侑人さん?)


 桜華に『魔力譲渡』を受けながら、座ったまま気絶してしまったリュート。神の権限というものを甘く見ていたのか、迂闊に魔術の創造という力を行使してしまったが故に、MPをごっそり持っていかれたのだった。

 『創造』だけでも魔力を大量に消費するが、その上すぐに()()()()()()()()()()()()『クリエイト』も使った。…枯渇しても仕方ない事だろう。


 1つだけ訂正をしておくが、リュートは焦って喋った為に言い間違いをしていた。創造したのはスキルではなく魔術である。

 『神の宝珠』の権限内にはスキルの創造も存在している。が、もしそちらで創造していた場合、桜華の危惧した通り生命力まで持っていかれていただろう。

 魔術という土台の上に創り上げる事と、新しくスキルとして創り上げる事は、似てはいるが使われるエネルギー量が全く違う。前者を作曲と例えるなら、後者は作曲の為に楽器から作るようなもの。…だろうか、…やはり自信が無いので忘れてほしい。


 ともかく、リュートはMPが枯渇してしまうといううっかりをしてしまったが、気付かぬところでちゃっかり命拾いもしていたのだった。


『…ふふ、暴走とは違ったけど、しっかりフラグ回収するんだから。リュートの姿に、強さに、左目にも、ず~っと驚かされっ放し。私、今度は何で驚かされるのかな? ビックリ箱さん?』


 リュートに触れながら『魔力譲渡』を使っていた桜華くんは桜華ちゃんにジョブチェンジし、気絶しているリュートの後ろに回り込み、母が子を抱くような形で…微笑みながらビックリ箱の目覚めを待った。


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