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神に抗いし者  作者: あbc
第一部 孤独な少年と能力
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9/40

第九話 転校生

月曜日。


休日が終わり、神聖能力学園はいつもの賑わいを取り戻していた。


____


教室では朝から話し声が飛び交う。


「昨日ゲームセンター行った?」


「行った行った!」


「課題終わった?」


「まだ……。」


マイルも席で英語の小テストの単語帳を開いていた。


「マイル、おはよう!」


光が元気よく教室へ入ってくる。


「おはよう。」


「昨日楽しかったね!」


「うん。」


そこへ蓮も教室へ入ってきた。


「おはよう。」


「おはよう、蓮。」


「数学の課題は終わったか?」


「昨日のうちに。」


「そうか。」


蓮は当然のように自分の席へ座った。


その時だった。


ガラッ――。


先生が教室へ入ってくる。


「席につけ。」


教室が静かになる。


「今日は一人、転校生を紹介する。」


教室中がざわついた。


「転校生?」


「この時期に?」


先生が廊下へ向かって言う。


「入ってきなさい。」


静かに扉が開く。


一人の少年が教室へ入ってきた。


整った制服。


落ち着いた表情。


どこか感情を読み取れない瞳。


少年は黒板に名前を書く。


神村 信徒


「神村信徒です。」


「よろしくお願いします。」


短く頭を下げる。


教室から拍手が起こる。


「イケメンじゃん。」


「なんか大人っぽい……。」


女子たちが小声で話す。


先生は教室を見回した。


「神村の席は……。」


先生の視線が止まる。


「マイルの後ろだ。」


「はい。」


信徒はゆっくり歩き、マイルの後ろの席へ座る。


すれ違う一瞬。


マイルは妙な感覚を覚えた。


(……なんだろう。)


初めて会うはずなのに。


どこか見られているような。


そんな違和感。


⸻


昼休み、


光がさっそく信徒の席へ向かう。


「神村くん!」


「学校案内しようか?」


「ありがとうございます。」


「お願いします。」


「マイルたちも一緒にどう?」


「もちろん。」


こうして四人は校舎を歩くことになった。


光が食堂や図書館を紹介する。


「ここが図書館!」


「能力に関する本もたくさんあるんだよ!」


信徒は静かに本棚を見渡した。


「充実していますね。」


蓮が口を開く。


「お前、能力は?」


信徒は一瞬だけ間を置く。


「能力無効化です。」


その場の空気が変わった。


「能力無効化……?」


光が驚く。


「そんな能力あるんだ……。」


「はい。」


「一定時間、触れた相手の能力を使えなくできます。」


「ただし、その間自分も能力を使えません」


もちろん嘘だった。


本当はもっと細かい条件がある。


しかし監視任務に支障が出ない範囲で説明している。


蓮が少し笑う。


「面白い能力だ。」


「俺とは相性が悪そうだ。」


「そうかもしれません。」


信徒も小さく頷く。


そのやり取りを見ながら、マイルだけは信徒を見ていた。


(……何だろう。)


(この人。)


(何か隠してる。)


⸻


5限目、


能力訓練。


今日は二人一組で能力を確認する授業だった。


先生が名簿を見る。


「神村。」


「はい。」


「転校初日だから、今日はマイルと組め。」


「……はい。」


マイルも立ち上がる。


「よろしく。」


「よろしくお願いします。」


二人は向かい合う。


「では軽く能力を使ってみろ。」


先生の指示。


マイルは身体強化を発動する。


信徒は右手をゆっくり前へ出した。


「失礼します。」


軽く肩へ触れる。


その瞬間、


身体強化が消えた。


「……!」


マイルは驚く。


(能力が……。)


信徒は一歩下がる。


「これが私の能力です。」


先生も満足そうに頷いた。


「十分だ。」


「今日はここまで。」


誰も気付かなかった。


能力が消えた一瞬。


信徒はマイルの表情だけを見ていたことに。


(動揺した。)


(やはり何かある。)


⸻


その夜、


神殿。


信徒は神の前に立っていた。


「報告します。」


「対象への接触に成功。」


「能力無効化も問題なく認識されました。」


神は静かに微笑む。


「よくやった。」


「これで彼をもっと近くから観察できる。」


「はい。」


「引き続き監視を続けます。」


神は最後に一言だけ告げる。


「決して情を移すな。」


「彼は敵だ。」


「……承知しました。」


信徒は迷いなく答える。


しかし、


神殿を出る直前、


脳裏に浮かんだのは。


______


昼休み、


光が笑いながら、


「みんなでお昼食べよう!」


_____


と言った光景だった。


信徒は小さく首を振る。


「……任務だ。」


そう言い聞かせるように、夜の闇へ消えていった。

次回第十話

 昼休みの距離


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