第四話 初めて選んだ力
神聖能力学園。
入学から二週間。
生徒たちは能力訓練にも慣れ始めていた。
⸻
「今日は実戦形式の訓練を行う」
教師の声が響く。
「能力は人を傷つけるためだけのものではない」
「守るためにどう使うかを学べ」
訓練場には一年生全員が集まっていた。
マイルは周囲を見る。
蓮は相変わらず注目の的。
重力操作という圧倒的な能力。
誰もが彼を強者として見ている。
光は治癒能力を使い、他の生徒の小さな怪我を治していた。
「光って本当に優しいよね」
「治癒能力って便利だな」
そんな会話を聞きながら、マイルは思う。
(俺には……何ができるんだろう)
自分の能力。
神に抗いし者。
強い能力を選べる力。
でも、
それは本当に人を守る力なのか。
まだ分からなかった。
その時、
「警報!!」
突然、校内に響く音。
全員が振り向く。
「訓練用能力装置が暴走しています!」
本来、生徒の能力を測定するための機械。
しかし、何らかの原因で制御不能になっていた。
「生徒は避難!」
教師が叫ぶ。
だが、
その場所にはまだ数人の生徒がいた。
「危ない!!」
巨大なエネルギーが放出される。
マイルは走った。
考えるより先に。
「マイル!」
光が叫ぶ。
装置の前には一人の生徒。
足がすくんで動けない。
マイルは飛び込む。
しかし、
身体強化では足りない。
衝撃を完全には防げない。
その瞬間、
頭の中に声が響いた。
《能力変更条件を確認》
《現在取得可能能力》
表示される。
火炎操作。
水流操作。
応急治療。
計算能力向上。
そして、
まだ選んだことのない能力。
《結界生成》
一瞬、
マイルは考える。
もっと強い能力なら勝てる。
重力操作。
時間停止。
空間操作。
でも、
今必要なのは、
「勝つ力じゃない」
「守る力だ」
マイルは選ぶ。
【結界生成】
その瞬間、
透明な壁が生まれる。
ドォォォン!!
衝撃が結界を叩く。
「……!」
マイルは歯を食いしばる。
重い。
苦しい。
激しい頭痛がする。
でも、
後ろには人がいる。
「守る……」
「俺は……守るために使う」
結界が少しずつ強くなる。
その様子を見ていた蓮。
「……」
驚いていた。
身体強化。
それだけの能力者なら、
こんな判断はできない。
(こいつ……)
数秒後、
教師たちが装置を停止させる。
マイルはその場に座り込む。
「大丈夫!?」
光が駆け寄る。
「怪我は?」
頭が痛い。
だが、
「大丈夫」
マイルは笑う。
光は少し不思議そうな顔をした。
「マイル」
「さっきの能力」
「身体強化じゃないよね?」
マイルの表情が固まる。
しまった。
光は続ける。
「……でも」
「聞かない」
「マイルが言いたくないなら」
その言葉に、
マイルは少し驚く。
なぜ、
なぜこの人は疑わないのか。
⸻
その夜、
マイルは部屋でノートを開いた。
新しく書き加える。
【能力取得履歴】
結界生成
取得日
「初めて分かった」
「この力は……」
「強い能力を手に入れるためじゃない」
「必要な力を選ぶための能力なんだ」
⸻
その頃、
神村信徒。
彼はメモを書いていた。
【対象マイル】
本日、能力使用を確認。
使用能力:
結界生成。
しかし、
一つ疑問があった。
身体強化能力者が、
なぜ結界生成を使える?
だが、
信徒はすぐに考えを止める。
「考える必要はない」
「私は監視するだけだ」
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神。
画面を見る。
「結界生成……」
「違う」
「それは彼の本当の能力ではない」
神は初めて、
少しだけ表情を変えた。
「まさか……」
「父の力が……」
目覚め始めているのか。
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次回第5話
強さの意味




