番外編 夏休み③
こんにちは。あbcです。
番外編夏休みに出てくる能力などは全て10日間以上経過しているか、直近3日以内の出来事です。
とうとう夏休み編もあと一話で完結の予定です。
これからもどうぞよろしくお願いします。
夏休み。
昼過ぎ。
マイルのスマートフォンが鳴った。
「誰だ?」
画面を見る。
光からだった。
『マイル、今日暇?』
「暇だけど」
すぐに返信が来る。
『じゃあみんなでプール行こう!』
「プール?」
『うん!』
『蓮と信徒くんにも聞いてあるよ!』
マイルは笑う。
「分かった」
⸻
数時間後、
市内の大型レジャープール。
「暑い……」
マイルが空を見上げる。
「夏だからね!」
光は楽しそうだった。
「早く行こう!」
蓮も笑う。
「今日は何も事件が起きないといいな」
「なんでそんなこと言うの?」
光が笑う。
信徒も少し苦笑する。
「最近、色々ありましたからね」
「……確かに」
マイルは頷く。
海。
夏祭り。
そして、
夏祭りで起きた奇妙な事件。
「今日は普通に遊ぼう」
マイルが言った。
「賛成!」
⸻
四人はプールで遊び始めた。
ウォータースライダー。
流れるプール。
水上アスレチック。
普段の訓練とは全く違う時間。
「マイル、こっち!」
光が手を振る。
「今行く!」
マイルが走る。
「お前ら元気だな……」
蓮が呆れたように笑う。
信徒は少し離れたところから二人を見ていた。
(こういう時間も……悪くない)
⸻
夕方。
四人は休憩スペースで飲み物を飲んでいた。
「疲れた……」
マイルが椅子に座る。
「マイル、体力ないね」
「能力使えばもっと動けるけど、今日は使わない」
「なんで?」
「せっかく遊びに来たんだから」
光が笑う。
「それもそうだね」
その時。
「……あれ?」
信徒が立ち上がった。
「どうした?」
蓮が聞く。
信徒はプールの入口を見る。
そこに、
昨日の夏祭りで見た少年がいた。
「あの人……」
マイルも振り返る。
「昨日の……」
少年は周囲を確認しながら歩いている。
そして、
こちらに気づいた。
「!」
少年が走り出す。
「待って!」
マイルたちも立ち上がる。
⸻
「なんで逃げるんだ!?」
マイルが追いかける。
少年は施設の裏側へ走っていく。
「待ってくれ!」
少年は振り返らない。
「昨日のことを話したいだけだ!」
その瞬間。
少年の前に、
一人の男が現れた。
「……!」
少年が止まる。
黒い服。
昨日の事件で黒い箱を渡した男と同じ服装だった。
「見つけたぞ」
「……!」
男は少年へ手を伸ばす。
「もう一度、協力してもらおうか」
「嫌だ!」
少年が逃げようとする。
しかし、
男が能力を発動する。
地面から鋭い金属片が飛び出した。
「危ない!」
マイルが走り込む。
「結界生成!」
ガキィン!!
結界が金属片を防ぐ。
男が驚く。
「能力者……?」
マイルは少年の前に立つ。
「お前、何者だ?」
男は答えない。
「昨日の箱もお前が作ったのか?」
「……」
男が後退する。
「どうやら、ここにいるとは知らなかったな」
「待て!」
マイルが追う。
男は能力を使い、
周囲の金属製の柵を動かす。
「金属操作……!」
蓮が前に出る。
「重力操作!」
ズンッ!!
男の動きが鈍る。
「今だ!」
マイルが水流操作を発動する。
「水流操作!」
水が地面を走り、
男の足元を覆う。
「くっ……!」
男がバランスを崩す。
しかし、
次の瞬間。
男の姿が消えた。
「……え?」
マイルが周囲を見る。
「どこへ行った?」
信徒が静かに言う。
「逃げましたね」
「速いな……」
蓮が辺りを見る。
「でも、あいつ何者なんだ?」
⸻
少年はその場に座り込んでいた。
「大丈夫?」
光が近づく。
少年は頷く。
「……ありがとう」
「昨日も助けてもらった」
マイルが聞く。
「昨日の男は何者なんだ?」
少年は少し迷った。
「分からない」
「ただ……」
「能力者を探してるみたいなんだ」
「能力者を?」
「ああ」
少年は話し始める。
「俺に黒い箱を渡した時も言ってた」
「『能力者の反応を調べる』って」
マイルの表情が変わる。
「能力者を調べる……?」
信徒も黙っていた。
(何か目的がある……)
しかし、
まだ情報が足りない。
⸻
その夜。
四人は帰宅する。
「今日はプールだけの予定だったのに……」
マイルが苦笑する。
「結局事件に巻き込まれたね」
光も笑う。
「でも、誰も怪我しなくてよかった」
蓮が頷く。
「それにしても、あの男……」
「能力者を探してるってのが気になるな」
信徒は何も言わない。
ただ、
マイルを見る。
(この男が探している能力者の中に……)
(マイルも含まれている可能性がある)
⸻
一方。
夜の建物。
逃げた男が誰かと話していた。
「申し訳ありません」
『失敗したのか?』
「はい」
『少年は?』
「逃げられました」
電話の向こうから沈黙。
そして、
『……まあいい』
「?」
『今回の目的は、別に少年ではない』
男が顔を上げる。
『能力者の反応を確認できた』
『それだけでも十分だ』
男は理解する。
「では……」
『次の段階へ進める』
通話が切れる。
男は窓の外を見る。
「……能力者の反応」
その視線の先には、
神聖能力学園があった。
次回
夏休み④




