番外編 夏休み①
皆さんこんにちは
あbcです。本編ですが、AIとの設定の見直し、構成の制作などで時間がかかると判断し、本編の第二部は9月1日からとさせていただきます。
こちらの都合で申し訳ございません。
その代わりと言ってはなんですが、番外編として夏休みのお話しを作ってみました。是非お楽しみください。
夏休み。
神聖能力学園の校舎は、いつもより静かだった。
蝉の声だけが、校庭に響いている。
その頃――
マイルは自宅でソファに座っていた。
「……暇だ」
夏休みに入ってから数日。
毎日のように訓練していたマイルだったが、今日は珍しく予定がない。
スマートフォンを見る。
すると、
ピコン。
メッセージが届いた。
光
『マイル、今日暇?』
マイルはすぐに返信する。
『暇だけど』
数秒後。
『じゃあ遊びに行こう!』
「……急だな」
さらにメッセージが届く。
『蓮と信徒も誘ったよ!』
マイルは少し笑う。
『分かった』
⸻
数時間後。
駅前。
「マイル!」
光が手を振っている。
その隣には蓮と信徒。
「お待たせ」
「遅い!」
「まだ集合時間前だろ」
蓮が笑う。
「今日はどこ行くんだ?」
マイルが聞く。
光が得意げに答える。
「海!」
「海?」
「夏休みなんだから、海でしょ!」
「まあ……確かに」
信徒も頷く。
「たまには訓練以外のことをするのも良いですね」
「信徒、最近ちょっと人間らしくなったな」
蓮が笑う。
「どういう意味ですか?」
「最初のお前なら、海なんて絶対行かなかっただろ」
「……否定はできません」
四人は笑った。
⸻
海。
「着いたー!」
光が走り出す。
「待てって!」
マイルたちも後を追う。
海辺では多くの人が遊んでいた。
能力を使って水を操る者。
風を起こして遊ぶ者。
身体能力を強化して泳ぐ者。
能力者が当たり前に存在する世界。
それでも、
今日だけは戦いとは関係ない。
「マイル!」
光が水をかける。
「うわっ!」
「やった!」
「光!」
マイルも水をすくって反撃する。
「ちょっ、やめて!」
「先にやったの光だろ!」
蓮は少し離れた場所で笑っている。
信徒も、
「……ふふ」
小さく笑った。
⸻
午後。
四人は海の家で休んでいた。
「疲れた……」
マイルが机に突っ伏す。
「泳ぎすぎなんだよ」
蓮が言う。
「だって楽しかったし」
光も笑う。
「また来ようよ」
「次は遊園地でもいいな」
「いいね!」
信徒も頷く。
「皆さんが行くなら、僕も」
「じゃあ決まり!」
その時。
海の方から、
「誰かー!」
叫び声が聞こえた。
四人が振り返る。
「何?」
光が立ち上がる。
海岸の少し先。
一人の小さな男の子が困った顔で立っていた。
「どうしたんだ?」
マイルが近づく。
「お兄ちゃん……」
「お父さんがいなくなっちゃった」
「……!」
光の表情が変わる。
「迷子?」
男の子が頷く。
「一緒に探そう」
マイルが言う。
「うん!」
⸻
四人は海岸を探し始める。
「どんな人?」
「白いシャツ……」
「帽子をかぶってる?」
「うん!」
蓮が周囲を見る。
「この辺にはいないな」
信徒が砂浜の反対側を見る。
「向こうを探してみましょう」
四人で歩いていると、
マイルがふと足を止める。
「……ん?」
「どうした?」
蓮が聞く。
「さっきから、同じ男がこっちを見てる」
少し離れた場所。
黒い帽子をかぶった男が立っていた。
男はマイルたちと目が合うと、
すぐに視線を逸らした。
「怪しいな」
蓮が言う。
「追ってみる?」
光が聞く。
マイルは少し考える。
「いや」
「まずは男の子のお父さんを探そう」
「うん」
⸻
しばらくして。
「いた!」
光が叫ぶ。
海の反対側。
白いシャツの男性が走ってくる。
「○○!」
男の子が父親へ駆け寄る。
「ごめんな……!」
父親は何度も謝る。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
マイルが笑う。
事件は無事解決した。
……と思った。
しかし。
蓮が小さな声で言う。
「なあ」
「何?」
「さっきの男、まだいるぞ」
マイルが振り返る。
そこには、
先ほどの黒い帽子の男。
男はマイルを見ていた。
そして――
小さく笑う。
「……?」
次の瞬間。
男は人混みの中へ消えた。
「……何だったんだ?」
マイルは首を傾げる。
光が言う。
「もしかして、私たちのことを見てたのかな?」
「分からない」
信徒は黙っていた。
その男からは、
敵意のようなものは感じなかった。
むしろ――
「……誰かを探していた?」
信徒が呟く。
「え?」
「いえ、何でもありません」
⸻
夕方。
帰りの電車。
光は窓の外を眺めている。
「今日は楽しかったね」
「うん」
マイルも笑う。
蓮は眠そうにしている。
信徒は静かに座っていた。
今日の出来事は、
神も。
朔夜も。
マイルの血筋も。
関係ない。
ただの夏休みの一日。
……のはずだった。
マイルはスマートフォンを見る。
そこには、
今日撮った四人の写真。
「またこういう日があるといいな」
光が笑う。
「あるよ」
マイルも笑った。
そして四人を乗せた電車は、
夕焼けの街を走っていった。
次回
夏休み②




