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神に抗いし者  作者: あbc
第一部 孤独な少年と能力
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36/40

番外編 夏休み①

皆さんこんにちは

あbcです。本編ですが、AIとの設定の見直し、構成の制作などで時間がかかると判断し、本編の第二部は9月1日からとさせていただきます。

こちらの都合で申し訳ございません。

その代わりと言ってはなんですが、番外編として夏休みのお話しを作ってみました。是非お楽しみください。

夏休み。


神聖能力学園の校舎は、いつもより静かだった。


蝉の声だけが、校庭に響いている。


その頃――


マイルは自宅でソファに座っていた。


「……暇だ」


夏休みに入ってから数日。


毎日のように訓練していたマイルだったが、今日は珍しく予定がない。


スマートフォンを見る。


すると、


ピコン。


メッセージが届いた。


光


『マイル、今日暇?』


マイルはすぐに返信する。


『暇だけど』


数秒後。


『じゃあ遊びに行こう!』


「……急だな」


さらにメッセージが届く。


『蓮と信徒も誘ったよ!』


マイルは少し笑う。


『分かった』


⸻


数時間後。


駅前。


「マイル!」


光が手を振っている。


その隣には蓮と信徒。


「お待たせ」


「遅い!」


「まだ集合時間前だろ」


蓮が笑う。


「今日はどこ行くんだ?」


マイルが聞く。


光が得意げに答える。


「海!」


「海?」


「夏休みなんだから、海でしょ!」


「まあ……確かに」


信徒も頷く。


「たまには訓練以外のことをするのも良いですね」


「信徒、最近ちょっと人間らしくなったな」


蓮が笑う。


「どういう意味ですか?」


「最初のお前なら、海なんて絶対行かなかっただろ」


「……否定はできません」


四人は笑った。


⸻


海。


「着いたー!」


光が走り出す。


「待てって!」


マイルたちも後を追う。


海辺では多くの人が遊んでいた。


能力を使って水を操る者。


風を起こして遊ぶ者。


身体能力を強化して泳ぐ者。


能力者が当たり前に存在する世界。


それでも、


今日だけは戦いとは関係ない。


「マイル!」


光が水をかける。


「うわっ!」


「やった!」


「光!」


マイルも水をすくって反撃する。


「ちょっ、やめて!」


「先にやったの光だろ!」


蓮は少し離れた場所で笑っている。


信徒も、


「……ふふ」


小さく笑った。


⸻


午後。


四人は海の家で休んでいた。


「疲れた……」


マイルが机に突っ伏す。


「泳ぎすぎなんだよ」


蓮が言う。


「だって楽しかったし」


光も笑う。


「また来ようよ」


「次は遊園地でもいいな」


「いいね!」


信徒も頷く。


「皆さんが行くなら、僕も」


「じゃあ決まり!」


その時。


海の方から、


「誰かー!」


叫び声が聞こえた。


四人が振り返る。


「何?」


光が立ち上がる。


海岸の少し先。


一人の小さな男の子が困った顔で立っていた。


「どうしたんだ?」


マイルが近づく。


「お兄ちゃん……」


「お父さんがいなくなっちゃった」


「……!」


光の表情が変わる。


「迷子?」


男の子が頷く。


「一緒に探そう」


マイルが言う。


「うん!」


⸻


四人は海岸を探し始める。


「どんな人?」


「白いシャツ……」


「帽子をかぶってる?」


「うん!」


蓮が周囲を見る。


「この辺にはいないな」


信徒が砂浜の反対側を見る。


「向こうを探してみましょう」


四人で歩いていると、


マイルがふと足を止める。


「……ん?」


「どうした?」


蓮が聞く。


「さっきから、同じ男がこっちを見てる」


少し離れた場所。


黒い帽子をかぶった男が立っていた。


男はマイルたちと目が合うと、


すぐに視線を逸らした。


「怪しいな」


蓮が言う。


「追ってみる?」


光が聞く。


マイルは少し考える。


「いや」


「まずは男の子のお父さんを探そう」


「うん」


⸻


しばらくして。


「いた!」


光が叫ぶ。


海の反対側。


白いシャツの男性が走ってくる。


「○○!」


男の子が父親へ駆け寄る。


「ごめんな……!」


父親は何度も謝る。


「ありがとうございます」


「いえいえ」


マイルが笑う。


事件は無事解決した。


……と思った。


しかし。


蓮が小さな声で言う。


「なあ」


「何?」


「さっきの男、まだいるぞ」


マイルが振り返る。


そこには、


先ほどの黒い帽子の男。


男はマイルを見ていた。


そして――


小さく笑う。


「……?」


次の瞬間。


男は人混みの中へ消えた。


「……何だったんだ?」


マイルは首を傾げる。


光が言う。


「もしかして、私たちのことを見てたのかな?」


「分からない」


信徒は黙っていた。


その男からは、


敵意のようなものは感じなかった。


むしろ――


「……誰かを探していた?」


信徒が呟く。


「え?」


「いえ、何でもありません」


⸻


夕方。


帰りの電車。


光は窓の外を眺めている。


「今日は楽しかったね」


「うん」


マイルも笑う。


蓮は眠そうにしている。


信徒は静かに座っていた。


今日の出来事は、


神も。


朔夜も。


マイルの血筋も。


関係ない。


ただの夏休みの一日。


……のはずだった。


マイルはスマートフォンを見る。


そこには、


今日撮った四人の写真。


「またこういう日があるといいな」


光が笑う。


「あるよ」


マイルも笑った。


そして四人を乗せた電車は、


夕焼けの街を走っていった。

次回

夏休み②

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