↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神に抗いし者  作者: あbc
第一部 孤独な少年と能力
PR
28/40

第二十七話 新たなる力

朝、


神聖能力学園。


マイルは目を覚ますと、机の上のノートを開いた。


現在の能力状況を確認する。


身体強化:使用不可 残り6日


結界生成:使用可能 残り1日


水流操作:使用不可 残り5日


火炎操作:使用不可 残り2日


マイルは小さく息を吐いた。


「……結構使えないな」


それでも、焦りはなかった。


今までにも何度も能力を使えない期間を経験している。


そしてマイルには――


まだ神に抗いし者がある。


「今日は新しいのを試してみるか」


⸻


教室、


「おはよう、マイル!」


光が手を振る。


「おはよう」


蓮もマイルの方を見る。


「今日はどの能力だ?」


「まだ決めてない」


「また新しい能力か」


「うん」


信徒は黙って聞いていた。


(身体強化、水流操作、火炎操作……)


(現在、複数の能力が使用不能)


信徒は表情を変えない。


しかし、内心では状況を正確に把握していた。


(それでも、彼にはまだ選択肢が残されている)


マイルはノートを閉じた。


「放課後に決めるよ」


⸻


昼休み、


四人はいつものように昼食を食べていた。


しかし――


校内放送が流れる。


『生徒の皆さんに連絡します』


『先日発生した生徒失踪事件について、現在も捜索を継続しています』


教室の空気が少し変わった。


光が箸を止める。


「……まだ見つかってないんだ」


蓮が頷く。


「ああ」


「先生たちもかなり探してるらしいけどな」


マイルは黙っていた。


以前なら、ただの学園の事件として考えていたかもしれない。


だが最近は違う。


学園周辺に現れる不審者。


謎の男。


そして――


行方不明になった生徒。


「……偶然なのかな」


マイルが呟く。


「何が?」


光が聞く。


「いや」


マイルは首を振った。


「なんでもない」


信徒はマイルを見る。


(……彼も気づき始めている)


しかし、


信徒自身も知らない。


あの生徒がどこへ連れ去られたのか。


神から与えられた情報は、


「監視を続けろ」


それだけだった。


⸻


放課後、


訓練場。


マイルは一人で立っていた。


「さて……」


目を閉じる。


頭の中に複数の能力が浮かぶ。


身体強化。


結界生成。


水流操作。


火炎操作。


そして――


まだ使ったことのない能力。


「これにするか」


マイルが選んだのは、


雷撃操作。


能力を選択した瞬間。


頭に軽い痛みが走る。


「……っ」


数秒、


痛みが消える。


マイルは手を前へ出した。


「雷撃操作」


――バチッ!!


青白い電撃が指先から走る。


「……!」


マイル自身がも驚く。


「速い……」


小さな電撃を放つ。


パァン!


訓練用の標的が一瞬で破壊された。


「……強い」


マイルは目を見開く。


その時、


「マイル!」


光たちが入ってきた。


「今の何!?」


「雷撃操作」


「雷!?」


光の目が輝く。


蓮も標的を見る。


「一撃で壊したのか?」


「うん……」


マイルは自分の手を見る。


「まだ全然使いこなせてないけど」


信徒は少し離れた場所から見ていた。


(雷撃操作……)


(新しい能力を選択したか)


信徒はそこで一つ気づく。


マイルが今まで使っていた能力とは違う。


明らかに攻撃性能が高い。


(もしこの能力を完全に使いこなせば……)


信徒は考える。


(かなりの戦力になる)


「もう一回やってみよう」


マイルは標的を並べる。


一体。


二体。


三体。


「雷撃操作!」


バチィッ!!


電撃が標的を次々と走る。


しかし――


三体目を狙った瞬間。


電撃が大きく逸れた。


「うわっ!」


マイルが慌てて止める。


「危なかった……」


蓮が言う。


「威力は高いけど、制御が難しいな」


「うん」


マイルは頷く。


「火炎操作よりも速い」


「でも、その分細かい操作が難しい」


光が笑う。


「じゃあまた特訓だね!」


「そうだな」


マイルも笑った。


⸻


その夜、


神殿。


信徒は神の前に立っていた。


「報告します」


「マイルが新たな能力を選択しました」


神が顔を上げる。


「能力名は?」


「雷撃操作です」


「……雷か」


神は静かに笑う。


「強力な能力を選んだな」


「はい」


「他の能力の状態は?」


信徒は答える。


「身体強化は使用不可」


「結界生成は使用可能ですが、使用期間は今日で終了」


「水流操作、火炎操作も使用不可期間中です」


神はしばらく黙る。


そして、


「つまり今の奴は」


「雷撃操作に頼らざるを得ない」


「そうなります」


神の口元がわずかに上がる。


「ならば――」


「その能力を試させてみろ」


信徒が顔を上げる。


「……何を?」


神は答えなかった。


ただ一言。


「学園の外で起きている事件を利用する」


⸻


同じ頃、


学園から遠く離れた場所。


暗い建物。


そこに――


先日、行方不明になった生徒がいた。


まだ解放されていない。


少年は不安そうに周囲を見回す。


「ここ……どこなんだ……」


その前に、


一人の男が立っていた。


「もう少しだ」


男は端末を見る。


そこには、


マイルの情報。


そして、


新しく追加された文字。


『雷撃操作』


男は静かに呟く。


「新しい能力を選んだか」


そして、


小さく笑う。


「これで……少しだけ計画を進められる」


⸻


一方、


学園の屋上。


朔夜は夜空を見上げていた。


「雷撃操作……」


マイルの能力の変化を把握している。


「今のマイルは、かなり能力が制限されている」


「だからこそ――」


朔夜は学園を見る。


「次に神が仕掛けてくる可能性が高い」


朔夜は拳を握る。


「……もう少しだけ待つつもりだったが」


「そうも言ってられないかもしれないな」


⸻


翌朝、


マイルはノートを開く。


現在の能力状況。


雷撃操作:使用中・2日目


身体強化:使用不可・残り5日


結界生成:使用不可・残り7日


水流操作:使用不可・残り4日


火炎操作:使用不可・残り1日


マイルはその一覧を見つめる。


「結界生成も今日で終わりか」


そして、


「明日には火炎操作も戻る」


マイルは雷撃を小さく指先に発生させる。


「それまでに……」


バチッ。


「この能力を使いこなす」


少年はまだ知らない。


その日の放課後、


学園で起きている事件が、


ついにマイル自身を巻き込もうとしていることを。


そして――


行方不明になった生徒が、


その事件の中心にいることを。

次回第二十八話

 雷の力

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。