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神に抗いし者  作者: あbc
第一部 孤独な少年と能力
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25/40

第二十四話 二つの力

朝、


神聖能力学園。


マイルは教室へ向かって歩いていた。


昨日から、マイルの中で一つだけ変わったことがある。


それは――


二つの能力を同時に使えるようになったこと。


⸻


【マイルの能力状況】


固有能力:神に抗いし者


現在選択中の能力


* 身体強化

* 水流操作


同時使用:2つ


身体強化:使用可能


水流操作:使用中


結界生成:使用不可期間中残り1日


火炎操作:使用不可期間中残り5日


⸻


「……二つ同時か」


マイルは自分の手を見る。


昨日から二つの能力が使えるようになっていた。


神に抗いし者の熟練度が上がったことで、


二つの能力を同時に扱える。


「ちゃんと使いこなせるようにならないとな」


⸻


「マイル!」


後ろから声がする。


振り返ると、光が走ってくる。


「おはよう!」


「おはよう、光」


蓮も後ろから歩いてくる。


「昨日のこと、まだちゃんと試せてないだろ?」


「昨日のこと?」


「二つの能力を同時に使えるようになったことだよ」


「ああ」


マイルは笑う。


「今日、訓練してみようと思ってる」


「俺も見たい」


「私も!」


少し遅れて信徒もやってくる。


「僕も参加します」


「よし、放課後な」


⸻


一時間目、


能力理論。


教師が黒板に問題を書く。


「今日は能力の熟練度についてだ」


マイルはノートを開く。


「能力は、使い続けることで扱い方が変化する」


「同じ能力でも、熟練度によってできることには差がある」


マイルはその言葉を聞きながら、自分の能力を考える。


(俺の場合は……)


普通の能力者とは違う。


「神に抗いし者」そのものの熟練度が存在する。


そして、


その熟練度が上がったことで、


二つの能力を同時に使えるようになった。


(もっと上がったら……)


三つ。


そこまで考えて、


マイルは手を止めた。


(まだ先の話だ)


⸻


放課後、


訓練場。


四人が集まる。


「じゃあ、やってみよう」


マイルが構える。


蓮が少し離れた場所に立つ。


「まずは身体強化だけ」


マイルが能力を発動する。


身体に力が満ちる。


「いつも通りだな」


「うん」


次に、


「水流操作」


手のひらから水が生まれる。


「そして……」


マイルは二つの能力を同時に維持する。


「身体強化+水流操作」


瞬間、


マイルの身体が地面を蹴った。


ドンッ!!


一気に加速する。


「速い!」


光が驚く。


マイルはそのまま水を前方へ放つ。


シュッ!!


水流が標的を貫く。


「……!」


マイル自身も驚いていた。


身体強化によって速度を上げながら、


水流操作によって攻撃を行う。


今までなら、


どちらか一つしかできなかった。


「すごい……」


マイルが呟く。


「これなら――」


次の瞬間、


水流の軌道を変える。


身体を強化したまま、


水流を曲げる。


標的の横を通り、


背後から直撃させる。


ドンッ!


標的が倒れる。


「やった!」


光が喜ぶ。


蓮も笑う。


「かなり強いな」


しかし、


信徒はマイルの表情を見ていた。


「……少し苦しそうですね」


「え?」


「二つの能力を同時に使った直後から、呼吸が乱れています」


マイルは自分の手を見る。


「……確かに」


身体強化。


水流操作。


二つの能力を同時に維持する。


思っていたよりも集中力を使う。


「まだ慣れてないだけだよ」


「そうかもしれません」


信徒は頷く。


しかし心の中では、


(神に抗いし者の熟練度が、さらに上がっている)


(この力は……)


(どこまで成長する?)


と考えていた。


その時、


訓練場の外から、


小さな音が聞こえた。


カン。


四人が振り返る。


「……?」


蓮が構える。


「誰かいるのか?」


返事はない。


マイルが外へ出る。


しかし、


誰もいない。


ただ、


壁の隅に小さな傷が残っていた。


「また……?」


マイルは傷を見る。


最近、学園の周囲で起きている不審な出来事。


少しずつ近づいてきている。


そんな気がした。


⸻


同じ頃、


学園から離れた建物。


朔夜は端末を見ていた。


画面には、


マイルの訓練記録。


「……二つ同時か」


朔夜は静かに呟く。


「やっぱり始まったな」


隣にいた人物が尋ねる。


「何が?」


「神に抗いし者の熟練度が、次の段階に入った」


「二つ同時に使えるようになったってことか」


「ああ」


朔夜は画面を閉じる。


「このまま成長すれば……」


「三つ目も可能になる」


その言葉に、


男は黙った。


「それって、そんなに危険なのか?」


朔夜は答えない。


ただ、


「神が動くには十分な理由になる」


とだけ言った。


⸻


神殿。


神は一枚の資料を見ていた。


そこには、


マイルの能力使用記録。


「身体強化」


「水流操作」


神は資料をめくる。


「……二つか」


信徒が報告する。


「はい」


「マイルは現在、二つの能力を同時に使用できます」


神はしばらく黙っていた。


「予想より早い」


「……」


「ならば、こちらも予定を変更する」


信徒が顔を上げる。


「何をするのですか?」


神は資料を閉じた。


「学園の外にいる者を使う」


「マイルを直接攻撃するのですか?」


「まだだ」


神は立ち上がる。


「まずは――」


「奴が何を守ろうとする人間なのかを見る」


信徒の表情がわずかに曇る。


「……友人たち、ですか?」


神は笑った。


「その通りだ」


⸻


夜、


マイルの部屋。


マイルはノートを開いていた。


身体強化。


水流操作。


二つの能力を同時に使える。


「……二つか」


ページの端に書く。


神に抗いし者――熟練度上昇


その下に、


同時使用:2


と書いた。


そして、


さらにその下へ、


最大3つ?


と書く。


マイルはペンを止めた。


「三つ使えるようになったら……」


まだ想像もつかない。


しかし、


一つだけ分かることがある。


この力は、


少しずつ変わっている。


その時、


スマートフォンが震えた。


マイルは画面を見る。


知らない番号。

(13話参照)


まただ。


マイルは電話を取る。


「……もしもし」


沈黙。


そして、


聞き覚えのある声。


『マイル』


「……お前か」


『二つの能力を使えるようになったな』


マイルの表情が変わる。


「……なんで知ってる?」


『それよりも、今は一つだけ伝えておく』


声が低くなる。


『近いうちに、お前の周囲で何かが起こる』


「何が?」


『まだ分からない』


「じゃあ、なんで電話した?」


少しの沈黙。


『……お前が誰を守るのか』


「……?」


『それを、神は見ようとしている』


ブツッ。


通話が切れる。


「……神が?」


マイルはスマートフォンを握る。


窓の外を見る。


暗い夜。


何も見えない。


しかし――


マイルは確かに感じていた。


何かが、


自分たちの日常へ近づいている。


そしてその日常には、


光。


蓮。


信徒。


大切になり始めた仲間たちがいる。


「……絶対に守る」


マイルは静かに呟いた。


その言葉を、


遠くの建物の屋上から朔夜が聞いていた。


「……そうか」


朔夜は空を見上げる。


「もう、そこまで来たか」


そして――


神もまた、


同じ夜空を見ていた。


「守りたいものがある人間は」


「必ず、選択を迫られる」


神の計画が、


静かに動き始める。

こんにちは。

作者あbcです。次回第二十五話の次は、番外編としてマイルのクラスメイトを作っていこうと思います。

それに関しまして皆様がぜひこの能力にして欲しいなどありましたら、感想またはコメントなどで教えてください。お待ちしております。今後とも神に抗いし者をよろしくお願いします。


次回第二十五話

 狙われる日常

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