第二十二話 次の一手
朝、
マイルは机の上のノートを開いた。
能力の一覧を確認する。
身体強化――使用不可、残り1日。
結界生成――使用不可、残り3日。
火炎操作――使用不可 残り7日
「火炎操作は、昨日で終わりか」
マイルは少し考える。
そして、
「次は……水流操作にしよう」
能力を変更するわけではない。
火炎操作の使用期間を終えたため、別の能力を選んだだけ。
激しい頭痛は起こらない。
「水流操作」
マイルの手のひらから水が生まれる。
「よし」
マイルは水を操りながら、感覚を確かめる。
「火炎操作とは全然違うな」
水を球状にする。
さらに細く。
一本の水の線へ。
「……面白い」
⸻
学園、
「おはよう!」
光が駆け寄ってくる。
「おはよう」
「今日の能力は?」
「水流操作」
「えっ、今度は水?」
「うん」
光が笑う。
「火の次は水かぁ」
蓮も興味深そうに見る。
「どんな使い方ができるんだ?」
「まだ分からない」
「今日から試してみる」
信徒は静かにマイルを見る。
(また新しい能力を選んだ……)
(能力が変わるたびに、戦い方も変わる)
⸻
一時間目
今日は体育。
「今日は能力を使った基礎運動を行う!」
教師が告げる。
生徒たちが一斉に能力を使い始める。
身体強化。
水流操作。
マイルは水流操作を使う。
「水を足元に……」
水を勢いよく後方へ流す。
「うわっ!」
マイルの身体が前へ押し出される。
「なるほど!」
光が笑う。
「マイル、今ちょっと転びそうだったよ!」
「分かってる!」
蓮が言う。
「水を移動手段にも使えるかもしれないな」
マイルは頷く。
「いろいろ試してみる」
⸻
放課後、
訓練場。
マイルは水流操作の練習を続けていた。
水を球状にする。
↓
細くする。
↓
分裂させる。
↓
再び一つに戻す。
「かなり細かい操作ができるな」
蓮が言う。
「でも、まだ速度が足りない」
マイルは水を高速で回転させる。
シュッ!
訓練用の標的に当たる。
「成功!」
光が拍手する。
「すごい!」
マイルも笑う。
その瞬間、
訓練場の照明が一つ消えた。
「……?」
四人が上を見る。
「停電?」
光が言う。
教師が確認する。
「おかしいな……」
もう一つ。
パチッ。
照明が消える。
そして、
訓練場の外から。
カン……
金属音。
マイルが振り返る。
「誰かいる?」
返事はない。
蓮が重力操作を構える。
信徒も周囲を見る。
「警戒してください」
しかし、
何も起こらない。
数秒後、
照明が復旧する。
「……何だったんだ?」
マイルは外を見る。
誰もいない。
⸻
夜、
神殿。
信徒が報告する
「本日、学園の訓練場で設備の一時的な異常が発生しました」
「マイルは?」
「無事です」
「能力は?」
「水流操作を使用しています」
神は目を細める。
「そうか」
「身体強化は?」
「まだ使用できません」
「結界生成は?」
「同じく」
神は少し考える。
「……あと少しだな」
信徒は聞き返す。
「何がでしょうか?」
神は答えない。
「もういい。下がれ」
「はい」
信徒は神殿を出る。
⸻
同じ頃、
暗い建物の中。
朔夜は一枚の資料を見ていた。
「水流操作……」
マイルが能力を変更したことを確認する。
「順調に能力を使いこなしているな」
その時、
端末に通知が入る。
『神側が学園への監視を強化』
朔夜の表情が変わる。
「……やっぱり動き始めたか」
資料を閉じる。
「だが、まだ俺は動けない」
⸻
その頃、
マイル。
「明日には身体強化が戻る」
マイルは少し笑う。
「水流操作と身体強化……」
「どう組み合わせるか考えておこう」
しかし、
マイルはまだ知らない。
その「明日」が。
⸻
学園で起きる小さな事件の引き金になることを。
第二十三話
目覚めた可能性




