第二十話 近づく影
朝。
マイルは目を覚ます。
カレンダーを見る。
身体強化――使用不可。
残り3日。
結界生成――使用不可。
残り5日。
火炎操作――
2日目。
「もう少しだな」
マイルは制服に着替える。
⸻
教室、
「おはよう!」
光がいつものように声をかける。
「おはよう」
「今日の放課後、訓練する?」
「するよ」
蓮が言う。
「火炎操作、かなり慣れてきたな」
「うん」
信徒はマイルを見る。
「最近、能力の使い方が変わりましたね」
「そう?」
「以前よりも慎重になっています」
マイルは少し考える。
「能力には使える期間があるから」
「だから、一回一回を大事にしてる」
信徒は頷く。
「合理的ですね」
⸻
昼休み、
4人は教室で昼食を食べていた。
「今度の休日、どこ行く?」
光が聞く。
「また遊びに行くの?」
蓮が笑う。
「いいじゃん!」
マイルも笑う。
「俺はどこでもいいよ」
信徒が少し考える。
「……なら、映画などはどうですか?」
三人が信徒を見る。
「信徒くん、そういうの見るんだ!」
光が驚く。
「意外だな」
蓮も笑う。
⸻
「この前見に行ってからハマってしまいました。」
マイルが笑う。
「じゃあ決まりだな」
信徒も笑った。
⸻
放課後、
訓練場。
マイルが炎を操る。
「火炎操作!」
炎が標的を包む。
しかし、
マイルはすぐに炎を消した。
「どうした?」
蓮が聞く。
「今のは強すぎた」
「なるほど」
マイルは炎を小さくする。
「能力って、強くすればいいわけじゃないんだな」
「必要な強さを選ぶ」
蓮が頷く。
「それは大事だな」
その時、
訓練場の扉が開いた。
「訓練中のところ悪い」
教師だった。
「マイル」
「はい?」
「少し確認したいことがある」
マイルは教師のところへ向かう。
「昨日の学園周辺の件だ」
「はい」
「防犯記録を調べたところ」
教師が一枚の資料を見せる。
「侵入者は学園内部に入っていない」
「……じゃあ、外壁にいたってことですか?」
「そうだ」
教師は続ける。
「だが、問題はここからだ」
資料には、学園の外壁周辺の地図。
「侵入者は」
「君たちが訓練していた場所の近くを通っている」
マイルの表情が変わる。
「俺たちを狙ってた?」
「まだ分からない」
教師は資料をしまう。
「しばらく注意しておけ」
「分かりました」
⸻
夜、
神殿。
神は資料を見る。
「……近づいてきたな」
神の前には、学園周辺の地図。
そこには、
マイルの行動範囲。
そして、
いくつかの印。
「この少年を守ろうとしている者がいる」
神は静かに呟く。
「ならば」
「こちらも動く必要がある」
⸻
一方――
朔夜。
夜の街を歩いている。
手には端末。
「神側が警戒を始めた」
電話の向こうから声。
『予定を早めるか?』
「いや」
朔夜は答える。
「まだ早い」
『だが、マイルが狙われる可能性がある』
「分かっている」
朔夜は空を見る。
「だからこそ、今は姿を見せない」
⸻
翌朝、
マイルは学校へ向かう。
火炎操作。
3日目。
身体強化。
使用不可、残り2日。
結界生成。
使用不可、残り4日。
⸻
マイルは歩きながら考える。
「今日で火炎操作は3日目か」
明日から。
火炎操作も使えなくなる。
だから、
「今日の訓練は、今までで一番大事だな」
マイルは学校へ向かって歩く。
その背後、
遠くの建物の上、
誰かが立っている。
マイルはまだ気づかない。
その人物は、
静かに少年を見つめていた。
そして、
小さく呟く。
「……もうすぐだ」
⸻
次回第二十一話
使えない力




