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神に抗いし者  作者: あbc
第一部 孤独な少年と能力
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18/40

第十七話 異変

朝、


神聖能力学園。


「マイル、今日の数学の宿題やった?」


教室に入るなり、光が聞いてきた。


「やったよ」


「見せて!」


「自分でやりなよ」


「ちょっとだけ!」


「昨日も同じこと言ってたじゃん」


「いいじゃん!」


その様子を見て、蓮が笑う。


「朝から元気だな」


「蓮も手伝ってよ」


「断る」


「冷たい!」


少し離れたところでは、信徒がその様子を見ていた。


以前なら、任務としてマイルを観察していた。


しかし最近は――


こうして4人でいることが、少しずつ当たり前になっていた。


⸻


一時間目


能力理論。


教師が黒板に書く。


「能力の熟練度と応用」


「能力は単純に強ければいいわけではない」


「重要なのは、状況に応じて使い方を変えることだ」


マイルは昨日の訓練を思い出す。


身体強化を使えなくなったことで、結界生成を使うしかなくなった。


だが、


(使えない能力があるなら、使える能力を強くすればいい)


ノートに書く。


結界生成――応用を増やす。


「マイル」


教師に呼ばれる。


「はい!」


「今の説明を自分の言葉で説明してみろ」


「能力そのものの強さだけじゃなくて、使い方が重要……です」


「正解だ」


光が小声で言う。


「珍しく真面目」


「いつも真面目だよ」


「そうかな?」


マイルは笑った。


_____


放課後、


訓練場。


「今日は結界をもっと細かく操作してみよう」


マイルが言う。


蓮が訓練用の弾を構える。


「準備はいいか?」


「うん」


ドンッ!


弾が飛んでくる。


マイルは結界を展開する。


しかし、


パキッ。


結界に亀裂が入る。


「くっ……!」


二発目。


ドンッ!!


結界が壊れる。


「まだ弱いな」


蓮が言う。


「正面から防ぐだけじゃなく、形を変えてみたらどうだ?」


「形を?」


「壁じゃなくて、弾の軌道を変えるとか」


マイルは考える。


「……やってみる」


三発目。


ドンッ!


マイルは結界を斜めに展開する。


弾が結界に当たる。


カンッ!


弾の軌道が変わった。


「おお!」


光が声を上げる。


弾はマイルの横を通り抜け、後方の壁へ飛んでいく。


「できた!」


マイルが笑う。


「結界は防ぐだけじゃない」


「攻撃の方向を変えることもできる」


信徒が言う。


「応用範囲が広い能力ですね」


「うん」


マイルは拳を握る。


身体強化を失ったことは。


もう、それほど気にならなくなっていた。


____


その頃、


学園の外。


一人の男が歩いている。

(十六話の黒い服の男)


男は学園を見上げる。


「……順調か」


その時、


「誰だ!」


警備員の声。


男は振り返る。


「しまった」


走り出す。


警備員が追う。


しかし、


男は路地裏へ入ると、姿を消した。


⸻


神殿


信徒が神の前に立つ。


「学園周辺で不審者が確認されました」


神が顔を上げる。


「特徴は?」


「昨日の男と同一人物の可能性があります」


「……そうか」


神は立ち上がる。


「監視を強化しろ」


「はい」


信徒は頭を下げる。


しかし、


一瞬だけ、


神の表情が変わったことに気づいた。


(……何か知っている?)


信徒はその疑問を飲み込む。


まだ、


神を疑うほどの理由ではない。


____


夜、


マイルは自室でノートを開いていた。


身体強化。


あと5日。


結界生成。


昨日から使い始めたばかり。


「あと5日か……」


マイルはカレンダーを見る。


「戻ったら、身体強化と結界生成を組み合わせてみたいな」


その時、


窓の外に何かが見えた。


「……?」


一瞬、


人影。


マイルは窓を開ける。


誰もいない。


「気のせいか……?」


しかし、


遠くの建物の屋上。


一人の男が立っていた。


朔夜。


マイルを見ている。


「……気づいたか」


朔夜は小さく笑う。


「まだ早い」


そして、


夜の闇へ消えていった。


____


翌朝、


マイルはいつものように学校へ向かう。


光と話し。


蓮と笑い。


信徒と並んで歩く。


何も変わらない日常。


だが、


学園の外では。


神が動き始めている。


そして、


マイルを守ろうとする者もまた。


静かに動き始めていた。


少年はまだ知らない。


自分の周囲に、


敵と味方、


その両方が集まり始めていることを。

次回第十八話

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