↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神に抗いし者  作者: あbc
第一部 孤独な少年と能力
PR
17/40

第十六話 七日間

朝。


神聖能力学園。


教室に入ったマイルは、自分の席に座る。


「おはよう、マイル!」


光が手を振る。


「おはよう」


「昨日の訓練、大丈夫だった?」


「もう平気」


「本当に?」


「うん」


マイルは笑う。


しかし、


マイルには一つ問題があった。


昨日、身体強化から結界生成へ変更した。


そのため、


身体強化はあと7日間、再取得できない。


「結界生成、ちゃんと使いこなせるようにならないとな」


マイルは小さく呟いた。


「何か言った?」


光が聞く。


「いや、なんでもない」


その時、


教師が教室に入ってくる。


「席につけ」


生徒たちが静かになる。


「今日は通常授業だ」


黒板に問題が書かれる。


能力理論ではない。


普通の数学の問題だった。


「……」


マイルは問題を見る。


「簡単だな」


「え?」


隣の光が驚く。


「もう解けたの?」


「うん」


「早っ!」


蓮が後ろから口を挟む。


「マイル、数学得意なのか?」


「まあまあ」


信徒も問題を解き終える。


「この程度なら難しくありませんね」


「信徒くんも早い!」


光が笑う。


四人は顔を見合わせる。


「なんか俺たち、勉強会みたいになってない?」


マイルが言う。


「いいんじゃない?」


光が答える。


戦いだけではない。


授業を受けて、


友達と話して、


笑って。


マイルにとって。


そんな時間は少しずつ大切なものになっていた。


_____


放課後、


「今日は結界の練習をしよう」


マイルが言う。


「付き合うよ」


蓮が答える。


「私も!」


光も手を挙げる。


「僕も参加します」


信徒も続く。


_____


四人は訓練場へ向かった。


「まずは小さい結界から」


マイルが手を前に出す。


「結界生成」


薄い光の壁が現れる。


「前より安定してる!」


光が言う。


「昨日の訓練で少し感覚が分かった」


蓮が木製の訓練用弾を発射する。


ドンッ!


結界が揺れる。


「まだ弱いな」


マイルは集中する。


もう一度。


「結界生成!」


今度は強固な結界が展開される。


ドンッ!!


弾を完全に防ぐ。


「成功!」


光が笑う。


マイルも笑う。


「少しずつだけど、強くなってる」


信徒はその様子を見ていた。


(能力変更によって身体強化を失った)


(だが、その代わりに結界生成を成長させている)


(……能力を失うことを恐れるのではなく)


(使える能力を最大限に活用している)


信徒は静かにマイルを観察する。


⸻


その頃、


神殿。


神は一人の兵士と向き合っていた。


「準備は?」


「完了しております」


神は頷く。


「ならば、学園の近くへ向かわせろ」


「目的は?」


神は答える。


「確認だ」


「マイルがどれほど成長しているのか」


⸻


翌日、


学園。


マイルたちは昼休みを過ごしていた。


「今日の放課後、どこか行かない?」


光が提案する。


「いいね」


蓮が答える。


信徒は少し考える。


「どこへ?」


「商店街!」


「……分かりました」


四人で学校を出る。


⸻


商店街、


「これ美味しそう!」


光が店を指差す。


「食べる?」


「食べたい!」


マイルは笑いながら二人を見ていた。


「平和だな」


蓮が言う。


「うん」


信徒も少し離れたところから二人を見る。


その時、


信徒の視界の端に。


一人の男が映った。


黒い服。


学園の生徒ではない。


信徒は一瞬だけ視線を向ける。


(……?)


男はこちらを見ていた。


しかし、


次の瞬間、


人混みに紛れて消えた。


「信徒?」


マイルの声。


「どうした?」


「いえ……」


信徒は男が消えた方向を見る。


「何でもありません」


⸻


その夜、


⸻


信徒は神に報告する。


「本日、学園外で不審な人物を確認しました」


神が聞く。


「特徴は?」


「黒い服装の男性」


「年齢は不明」


「こちらを見ていました」


神は少し黙る。


「……そうか」


「追跡は?」


「行っていません」


神は頷く。


「それでいい」


信徒は少しだけ疑問に思う。


(なぜ……?)


しかし、


その疑問を口にはしなかった。


神を疑う理由はない。


⸻


同じ夜、


学園から離れた場所。


黒い服の男。


彼は一人で歩いていた。


そして、


小さな端末を取り出す。


「……確認した」


「マイルはまだ気づいていない」


電話の向こうから声がする。


『分かった』


「だが、神側も動き始めている」


『……予定より早いな』


男は空を見上げる。


「どうする?」


少しの沈黙。


『まだ手を出すな』


「分かった」


男は電話を切る。


その手には、


古びた写真が握られていた。


そこに写っているのは。


マイルの祖先。


男は写真を見る。


「お前が戦う時は……」


「必ず俺たちが支える」


⸻


翌朝、


マイルは目を覚ます。


カレンダーを見る。


身体強化が使えなくなってから、


2日目。


あと5日。


「……長いな」


それでも、


マイルは笑う。


「その間に、結界をもっと強くすればいい」


少年は学校へ向かう。


その背中を、


誰かが見つめている。


神なのか。


味方なのか。


まだ、


マイルには分からない。

次回第十七話

 異変

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。