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神に抗いし者  作者: あbc
第一部 孤独な少年と能力
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13/40

第十三話 約束の日

土曜日、


朝。


マイルは鏡の前に立っていた。


「……これでいいよな」


普段より少しだけ髪を整える。


制服ではなく私服。


今日は映画の日。


スマホを見る。


集合時間まで、あと30分。


「早すぎるか……」


マイルは部屋を出た。


____


駅前。


「マイル!」


光が手を振っている。


白いシャツに、薄い色のスカート。


普段の制服とは違う姿に、マイルは少し戸惑う。


「お、おはよう」


「おはよう!」


「……」


「どうしたの?」


「いや、なんでもない」


マイルは少し視線を逸らした。


光は首を傾げる。


そこへ蓮が来る。


「早いな」


「蓮もね」


「遅れるよりいい」


そして、


「お待たせしました」


信徒が現れる。


「信徒くん!」


光が笑う。


「今日は私服なんだね」


「はい」


「なんか新鮮」


信徒は少し困った顔をする。


「そうでしょうか」


「うん!」


4人が揃う。


「じゃあ行こう!」


⸻


映画館。


チケットを買う。


「何を見る?」


光が聞く。


「これがいい!」


選んだのは、人気のアクション映画だった。


「戦闘ものか」


蓮が少し嬉しそうにする。


「面白そうだ」


マイルは苦笑する。


「蓮、映画でも戦い好きなんだね」


「強者同士の戦いには興味がある」


信徒が言う。


「私は映像作品をあまり見ません」


光が驚く。


「えっ、一回も?」


「ほとんどありません」


「じゃあ今日は楽しもう!」


⸻


映画開始。


巨大な怪物。


迫力のある戦闘。


観客から歓声が上がる。


蓮は真剣にスクリーンを見ている。


「……」


マイルは横を見る。


光も映画に夢中。


その横顔を見て。


マイルは少し笑う。


(こういうのもいいな)


その時、


ドンッ!!


映画館に大きな爆発音が響く。


マイルが反射的に身構える。


「……」


しかし、


映画の音だった。


「びっくりした?」


光が小声で笑う。


「ちょっとだけ」


「ふふっ」


マイルは少し恥ずかしくなった。


⸻


映画終了。


「面白かった!」


光が満足そうに言う。


蓮も頷く。


「戦闘シーンは良かった」


「そこ?」


マイルが笑う。


信徒は少し考えていた。


「……」


「信徒くん?」


「はい」


「どうだった?」


「……面白かったです」


「ほんと?」


「はい」


「どこが?」


信徒は黙る。


「……最後の場面です」


主人公が仲間を守るために戦う場面。


信徒はそれを思い出していた。


「仲間を守るために戦う」


「それが……理解できました」


マイルは少し驚いた。


「そっか」


4人は映画館を出る。


その後、


ゲームセンター。


今度はマイルがクレーンゲームに挑戦する。


「もう少し右!」


光が横から指示する。


「ここ?」


「そう!」


ガシャン。


失敗。


「惜しい!」


「もう一回!」


結局、


5回目。


景品が落ちる。


「取れた!」


光が喜ぶ。


「はい」


マイルは景品を光に渡した。


「え?」


「欲しかったんでしょ?」


「……いいの?」


「うん」


光は景品を受け取る。


「ありがとう」


その顔を見て。


マイルは少し照れた。


少し離れた場所。


蓮がその様子を見ている。


「……」


信徒も見ている。


「何を見ている?」


蓮が聞く。


「いえ」


信徒は答える。


「二人が楽しそうだと思っただけです」


蓮は少し笑う。


「そうだな」


⸻


夕方、


帰り道。


駅へ向かう途中。


「今日は楽しかったね」


光が言う。


「うん」


「また行こうよ」


「もちろん」


「次はどこがいい?」


「遊園地とか?」


「いいね!」


蓮も、


「俺も行く」


信徒も、


「私も」


4人で次の予定を話す。


その時、


マイルのスマホが鳴る。


知らない番号。


「……?」


電話に出る。


『もしもし』


返事がない。


ただ、


微かに。


声が聞こえた。


⸻


『……神に抗う者』


⸻


「……!」


マイルの表情が変わる。


『お前は――』


そこで、


通話が切れた。


「マイル?」


光が心配そうに見る。


「どうした?」


蓮も振り返る。


「……なんでもない」


マイルはスマホを握りしめる。


(今の……)


自分の能力を知っている?


ありえない。


能力は絶対に知られてはいけない。


知られれば、


自分は無能力者になる。


なんで?


「神に抗いし者」という名前を知る者なんて――


いるはずがない。


⸻


その頃、


暗い部屋。


一人の男がスマホを置く。


「……やはり」


「間違いない」


男の前には一枚の古い資料。


そこには、


「神に抗いし者」


その名前が記されていた。


男は笑う。


「ようやく見つけた」


⸻

第十四話

 十日間の秘密

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