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異世界最高のギルドをつくろう!〜手持ちのスキルが強力すぎて、気づいたら孤児院のQOLが最強になっちゃってるんですが〜  作者: さかなかさ
1章

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7話



「鑑定、lv2…?」




なんと、鑑定スキルのレベルが上がっているではないか。昨日の時点では何の表記もなかったので、寝てる間にレベルが上がっていたのだろう。


そういうシステムもあるのか、と驚く。しかしこれ、鑑定スキル持ち以外はレベルアップに気づかないよな。脳内でアナウンスでも流れてくれれば話は別だが。



果たして、どう変わっているのだろうか。



適当にその辺に生えている花に目をやりスキルを発動させる。視界に文字が浮かぶ。



名:ルシランタン 状態:開花



・リース王国東部から南部、また王都周辺に自生する。花期は夏。濃い青色の花弁は暗くなると空を向き、夜露をため込む。花言葉は「不屈」「忠義」。原産は大陸東部であり、リースには…




情報が、次々と頭の中になだれ込んでくる。



「うわわ、ちょ、ちょっと!」



慌てて花から視線を逸らす。すると、読み込みが途中で中断されたかのように、頭の中への情報は途絶えた。




「なるほどね、詳細な情報が追加されたってわけだ。」



なだれ込んだ情報で熱くなった頭をパタパタと手で冷まし、そう呟く。今まで、対象の状態を知ることはできたが、ここまでの情報が読み取れることはなかった。


チートスキルがよりチートになったと。これはもう、実質この世界のインターネットだ。



「ん…?でもこれ、なにかおかしいような…」




ふとよぎる違和感。頭の中に浮かんだもやもやの正体を言語化しようとしていると、




「おーい、ミリア!セリーシャが呼んでるよ!」



不意に向こうから孤児院の子どもの一人に呼ばれ、ハッとする。そうだ、今日はお皿のデザインの改善案を話し合う予定であった。




慌ててセリーシャの居る工房へ向かう。工房と言っても、ただの空き部屋の一つを借りたものだ。孤児院の端の方にあるため、少し距離がある。




渡り廊下を走り抜け、息を切らしながら工房の扉を開ける。



「ごめんごめん、お待たせ!待った?」



そう言いながら部屋に入ると、中央に置かれた長机の上に、新しいデザイン案が描かれたお皿たちがずらりと並んでいた。その周りをセリーシャとお手伝いの子供たち数人が取り囲み、ああでもないこうでもないと話し込んでいる。




「あ…ミリア、来た。…おはよう。」




やや小声で挨拶をしてくれたのは、セリーシャのお手伝いをしている子供のひとり、エルクーツクだ。歳はセリーシャより一つ下で、褐色の肌に暗い緑の髪の毛をしている。

内気な彼は絵を描くのが得意で、今回のデザイン案を依頼させてもらっていた。



今日は珍しく、と言ってもほとんど微差ではあるが、少し表情が明るい。おそらく、完成したデザイン案を私たちに見せるのを楽しみにしていたのだろう。




「ミリアおはよう!今ね、デザインの候補がなかなか決まらなくて…エルクーツクのデザイン、どれも良いものばかりだから困っちゃうよね。」



私に気づいたセリーシャがそう声をかけてきた。


…そしてその後ろで、エルクーツクの口角が一瞬、ほんの少しだけ持ち上がったのを私は見逃さなかった。可愛い子供だ。納期を守れて偉いぞ。



エルクーツクの作ってくれたデザインを見て回る。図形のような模様や、ポップに描かれた動物のイラストなど、その作風は多彩だ。この孤児院は才能の宝庫なのかもしれない。




その中で、一つ気になるデザインがあった。




「エルクーツク、これは…?」



「あ、それ…本に書かれてた、奇麗な絵を描いてみたんだ。」




お皿の中心には二重の円が描かれ、その中に描かれていたのは、直線と曲線を複雑に組み合わせた幾何学模様だった。




エルクーツクの読んだという本。孤児院の蔵書棚にでもあったのだろうか。本人は理解していないようではあったが、これはおそらく…




「これ、魔方陣だ。すごいよエルクーツク、それもこんなに奇麗に…」



すかさず鑑定を掛ける。



名:薄明りの魔方陣 状態:低


・魔力を込めるとほのかな光が周囲を照らす。水場や、空気の薄い場でも使えるため、冒険者道具のカンテラに刻まれる事が多い。偉大なる法陣作家、グランスクが単純化、魔力効率化に成功したことで広く一般に普及し…



Lv2、便利だけど長いな。しかしこれは凄い。鑑定で読み取れるまで精巧に魔方陣が再現されている。



「魔道具作って売れたらぼろ儲けなのになあ。結局、触媒が仕入れられないとなぁ。」



魔道具を作って儲ける作戦は、何回か考えた。しかし魔力伝導率を高めるための触媒は強力な魔獣からしか採集ができない高価なものが多く、頓挫していた。




(これ、どうにか動かせないもんかなあ。)




ダメ元で魔力を込めてみる。




すると……ごくわずかに、お皿から光が溢れた。




「ん…ん?あれ?!」



私が急に大きな声を出したので、エルクーツクがぽかんとしている。セリーシャも、ほかの子供もだ。




とんでもない。なぜ、魔方陣が機能している?いくら精巧な魔方陣であるとはいえ、その辺の物質が簡単に魔力を通すわけがない。




もしそうなら、魔方陣を掲載した本は今頃取り扱い危険物だ。

魔法生物の素材、例えばドラゴンの爪や雷鳥の羽など、もしくはアダマンタイトなどの鉱物に刻むことで、やっと発動するのが魔方陣の魔法なのだ。





「いやいやいや、その辺のお皿に描いた魔方陣なんかが発動するはずは…」




その辺の、皿?




違う。これはその辺の粘土でできたものじゃない。セリーシャが土を変換して作った粘土もどき。つまり…



「セリーシャ!」




おもわず振り返り、セリーシャの肩を掴む。

セリーシャがびくりと震える。




そのまま横に立っているエルクーツクに顔を向ける。



「エルクーツクも!二人とも、よくやったよ!」




一瞬驚いた顔をしたエルクーツクは、少し置いて、よくは分からずとも若干誇らしげな顔をした。




「ミ、ミリア、どうしたの?まだ私、あんまり分かってなくて。」




「作れるんだ!魔道具が!ーーセリーシャの魔法粘土は、触媒として使うことが出来る!」



これはきっと、まだ誰も思いついていないはずだ。「陶芸家」のスキルで作った陶器に魔方陣を仕込む。これだけで、安価でお手軽に魔道具を製造できるのだ。



スキルを持たないものでも、魔方陣を通せば魔法を扱うことはできる。と言ってもふつうは微弱な魔力しかもっていないので、粘土の魔力伝導率を上げる方法を考える必要はあるが…




しかし、靄が掛かっていた視界が一気に開けたような気分だ。資金繰りの突破口を見つけたのだ。まずは魔方陣研究からだ。作る魔道具のアイデアも出さねば。




開けた未来にワクワクしていた私は、先ほど感じていた違和感もきれいさっぱり忘れ、魔方陣研究に乗り出したのだった。


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