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異世界最高のギルドをつくろう!〜手持ちのスキルが強力すぎて、気づいたら孤児院のQOLが最強になっちゃってるんですが〜  作者: さかなかさ
2章

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25話


血走った目でこちらに向かってくる、大量の魔物たちの群れ。

レオナはそれらを睥睨しながら、しかし動じることはない。彼女の周囲には、数十の魔獣が整然と立ち並んでいた。

魔力により顕現した召喚獣達の群れ。その中心で、レオナは静かに片手を掲げていた。



「始めていいよ。」


その一声とともに、魔獣たちが動き出す。地を駆け、天を裂き、影を這わせ、全方位から迷宮の魔獣を包囲する。レオナの軍勢は、ひとつの大きな意志のもと、無駄のない動きで侵攻を続けた。



「左側、四体。足を止めて。……うん、それでいい。」



どれほど魔力が渦巻こうと、仲間の攻撃が敵を屠ろうと、迷宮の壁が崩れ落ちようと。レオナは渦中まるで花畑でも眺めているかのように穏やかだった。敵の咆哮も、悲鳴も、彼女の立つ場所には届いていないかのように。


ただ、静かに淡々と命令を下し、状況を“整えて”いく。

数分後――迷宮の広間に立っていたのは、レオナと彼女の魔獣たちだけだった。


「……どんなもんよー。」


ふふん、とレオナが鼻を鳴らす。魔獣たちが何事もなかったかのように彼女の周囲に集まり、姿を消していく。


完璧な制圧をして見せた緑髪の少女は、死屍累々の山を作り上げると、年相応のあどけなさの残る顔で微笑んだ。



・・・



「折角こんなところまで誘い込まれてやったんだ。いくつか質問させてもらうよ。」



ミリアに圧倒され、肩で息をする赤髪の女。既に消耗しきっており、顔には先ほどまでの余裕の一欠片も残っていなかった。鎧もほとんど形を失っている。


「……とんだ貧乏くじ、引かされたもんですぅ…」



観念したように、女は両の手を上げ降参の意を示す。



「鎧の魔力波妨害(ジャミング)は砕いておいた。視せてもらうよ、っと。」


ミリアの瞳が黄金色に輝く。魔力波が、情報として視界に浮かび上がる。



名:アルドローヴァ  年齢:?


体力:89

筋力:38

魔力:62

敏捷:42


スキル:操糸の月光


・「赫命」に至らず、失敗作として秘匿されている哀れな女。歳はかなり上のようだ…



「あ………?」




ステータス欄の下に、理解のできない走り書きのメモが加えられている。不可解なそれに、ミリアの動きが一瞬止まる。戦闘中一切見せることのなかった、彼女のわずかな動揺。アルドローヴァはそれを見逃さなかった。



「ーーッ!」



ミリアの虚をつき、アルドローヴァが動く。瞬間、手元に魔力の光芒が現れる。



「しまっ…!」



ミリアが驚くも、アルドローヴァの行動がわずかに先駆けた。手元の光芒は一層強く輝き、彼女の姿を包み隠す。




(いや、視界も聴覚も生きてる…!どこから来る……?)



アルドローヴァの次の手を全身で読み取ろうと、集中力を極限まで高めるミリア。しかし、いくら待っても攻撃は飛んでこない。



「あー…」



徐々に弱まる魔力光。そこに、先ほどまでいた女の姿はない。念のため鑑定も発動するが、特に引っかかリハしない。




「逃げられたぁ…」



戦闘を終えたレオナが、異変を察知して近づいてくる気配がする。


残されたミリアは、呆気に取られながら、先程視界に映った情報に思考を引きずられていた。





・・・




ハァハァと肩で息をしながら、洞窟の壁に手を添えて入り口を目指す1人の影。


アルドローヴァは、先程の戦闘を振り返っていた。



「速さも判断も想像以上…聞いてた話と違うですぅ……」


何もかもが、自分より上のレベルにある。更にアルドローヴァを驚かせたのが、その継戦能力だ。ミリアは持ち前の高い体力ステータスと魔力を使った戦闘技術で、ほかに類を見ないほどの長時間の高速戦闘技術を確立させていた。



「あれだけの速度で動き続けて息の一つも切らさない…バケモノなんてもんじゃないですぅ…けどーー」




「ーー"赫命"には程遠い、か?」



アルドローヴァの言葉を拾うように、洞窟の通路に声が響いた。洞窟に、もう1人の影が現れる。アルドローヴァの顔が驚愕に見開く。



「レンヴィル……!」



「おい。」


はぁ、と一つため息をつくと、男は心底残念そうな表情をした。




「誰が呼び捨てしていいと言った。」



言うと、男は手を振り下ろす。




「ーー待っ……!」



グチャリ、と鈍い音がした。瞬間、アルドローヴァの両腕が肘から先、まるで紙を握り潰すかのように歪んだ。

 

「ッ――ああ、がっ……!?」 


骨が砕け、肉が潰れ、甲冑ごとぐしゃりと変形する。悲鳴さえ出し切れず、アルドローヴァはその場に膝をついた。


男の目には、わずかな興味さえ宿っていない。まるで、壊れた玩具の状態を確認するかのように。


「何をやっている。立て。」


血を撒き散らしながら膝をついたアルドローヴァの肩が、わずかに震える。



「この……クソ野郎が……!」



ーーそう言うと、アルドローヴァの、潰れた腕の断面がピクリと動いた。


骨の芯が、わずかに伸びる。そこに赤黒い肉が少しずつまとわりつき、じわじわと“腕”の形を取り戻していく。血は止まらず流れ続けているのに、その奥から再生の光景が現れる。


潰れた両腕から、肉が脈打つように盛り上がる。骨が軋み、砕けた関節が自動的に噛み合い、千切れた血管が赤い繊維となって繋がる。

ブチブチ、と生々しい音を立てながら、アルドローヴァの体が再生されていく。


「無駄なこと、させないでくださいよぉ……で、なんの用ですかぁ……?」


まるで何も起こらなかったかの様に、両腕を完全に元に戻してみせたアルドローヴァは、レンヴィルという男を睨みつけた。男は目元までかかる()()()を掻き分けると、無感情な黒い瞳のまま、その問いに応える。


「ーー迎えに来てやったんだよ、わざわざな。行くぞ、上からの指令だ。」


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