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異世界最高のギルドをつくろう!〜手持ちのスキルが強力すぎて、気づいたら孤児院のQOLが最強になっちゃってるんですが〜  作者: さかなかさ
2章

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20/26

20話

本日2話投稿です!2本目は20時に!



「シルキーお疲れ様ー!」



試合後。魔力切れで救護室に運び込まれたシルキーは、そこに詰めかけた隊の面々から祝福を受けていた。



「おー、あんがとさん。いてて…マジでギリギリだったぜ。」



シルキーは砲撃によって受けたかすり傷をさすりながらそう答える。



隣のベッドには、同じく魔力切れで若干具合が悪そうなアガーフィークスの姿もあった。



「いやいや、悔しいな。シルキーはまだ14だよね。…俺ももっと頑張らなくちゃ。」





「どうも、フィークスサン。ま、ウチにゃ一歩及ばずってとこか?」




「こら。シルキー、調子乗りすぎ。」




フフンと鼻を鳴らし、ご満悦そうなシルキーをハートが諌める。




「…てか、お前こんなとこ居ていいのかよ?3回戦だろ?もう始まんじゃねえのか?」




そういうと、ハートの動きが一瞬固まった。他の隊のメンバーも気まずそうにしている。

空気が変わったことを察知して、シルキーはキョトンと不思議そうな顔をした。




「そっか、さっきまで眠ってたもんね。……アハハ、負けちゃったよ。ま、流石に僕じゃ厳しかったね。」




雰囲気が悪くなるのを恐れてか、ハートは気まずそうにくしゃりと笑いながらそう言った。






・・・





(…反省点は、いっぱいあったな。)



初めての入れ替え戦。感想としては、まあこんなものだろう、だった。


対戦相手のギルドメンバーは華奢な女性の方ではあったが、双剣使いでその技量は洗練されていた。その上にまだ50人も実力者がいるというのだから末恐ろしい。



(入って一年ちょっと。ここまでこれたのが奇跡みたいなものだ。)




限界までやり切った毎日のトレーニング。迷宮探索では効率的に成果を上げるルートをシルキーと毎晩模索し、悩み抜いて策を練った。一年で入れ替え戦に出るまでに成長したのだ。そこに、後悔はないはずだ。だがーー




脳裏に、シルキーの勝利が浮かぶ。鷹の目を使った見事な回避に会場は沸き、シルキーは一躍注目の的となった。




(もし僕にも、スキルがあれば…)




などと、益体もないことを思う。言っても仕方ないことだ。しかし、そう言い訳したくなるくらいにハートはショックを受けていた。同じだけの訓練を積んできたはずだ。



シルキーに負けないよう、せめて自分の技を磨こうと魔道具や剣の修練も続けてきた。しかし、それだけで勝てるほど現実は甘くなかった。



とぼとぼとギルドの渡り廊下を歩いていると、向こうから歩いてくる人影が見えた。紫色の長髪が見える。ギルドの古株、罠師のカロン先輩だ。




「あ…お疲れ様です、カロンさん」




「よっ、ハート。入れ替え戦、見てたぜ。…おいおい、そんなしょぼくれた顔すんなって!お前、よく頑張ってたよ!」



落ち込んでいるのが目に見えて伝わったのか、カロン先輩が必死に慰めようとしてくれる。恥ずかしくなったハートは慌てて弁明しようとする。



「いや、違うんです。これはその、あの…」



しかし、思ったように言葉が出てこない。それどころか目元には熱いものが溜まる感覚があり、そのことがハートを一層気恥ずかしくさせた。



「いやほんと…気にしないでください、何でもないんで。」



「あー…なあハート、この後ちょっと時間あるか?」



「あ…えっと…?は、はい。」



「そーかそーか。そしたらよ、俺も付き合ってやるから、今日の反省会しよーぜ。」




思わぬ提案にハートは目を見開く。



「ええでも、お忙しいのに…」



「バッカ、子供がそんなん気にすんなって!」



ハートと4つしか変わらないカロンであるが、胸をドンと叩くと、先輩冒険者としての自負を持ってハートに微笑みかけた。


「このカロン様監修、秘密の作戦会議だ!」




・・・



「いいかハート、まずはお前が今何で悩んでいるか当ててやろう。」



カロンとハートはギルドの空き部屋で、ハートの今後についての作戦会議を始めていた。夜は更けこみ、部屋には月明かりが差し込んでいた。



「ズバリ!お前の不安は…「自分が何に向いているか、どう自分の適性を見つければいいかわからない!」…これだろう。」



「お、おお…その通りです。」



明るい口調で、少しおどけたように喋ってはいるものの、カロンはハートの悩みを的確に見抜いている。

そして、言い当てたことで軽く自慢気な顔をしていた。



「まぁ、これは平凡なステータスのやつに結構あるあるの悩みだな。自分は剣士になるべきか?それとも魔道具を使って遠中距離で立ち回るべきか?ステータスに顕著な特性があれば分かりやすいが、残念ながら大多数はそう上手くはいかない。」




平凡なステータス、という直球の言葉選びにハートは思わずうっと呻いた。そうだ、自分はシルキーのようなスキルもなければ、筋力、魔力がずば抜けて高いわけでもない。1番中途半端な状態なのだ。



「ステータスが平凡であるならば、自分の肉体や、性格から適正のジョブを見つけるべきだ。でもその特徴すら分からない。そうだろう?」


ハートはうんうんと頷く。すると、カロンはスゥと息を吸い込み、こう言った。






「それじゃ教えてやろう。…そんな考え、どっかに捨てちまえ!お前に、適正なジョブなど存在しない!!」




雷が落ちたような衝撃が、ハートに走った。




「……え?」




(…まさか、この人はそれを伝えるためにわざわざ僕と2人きりになったのか?)




ハートの頭にぐるぐると困惑が渦巻く。自分の適性はなんですか、と聞いたら、お前に適性はないと言われた。自分は今何を言われているのだろうか。




「あの…カロンさん。」




「ん?」



ハートは若干躊躇ったが、意を決してカロンに尋ねた。



「遠回しで言いにくいようでしたら大丈夫です。…僕は、冒険者に向いていないということでしょうか?」




「あぁ!?……誰もそんなこと言ってねえよ!これからもよろしくな!」




「えぇ……」




・・・



「いいか、お前は難しく考えすぎだ。適性なんてのはやってって見つけんだよ。何となくこれだ!と思ったジョブを、とにかくやってみろ。

ハート、今1番使ってる獲物は何だ?」




「今は短剣と…あと魔道具も幾つか使ってます。たまに、両手剣も使ってみてます。」




「うん、ジョブで言えば斥候か剣士か魔道具使いか。で、その中で現状1番マシだと思うのは?」




「…片手剣ですかね。身軽だし、両手剣よりは扱いが簡単だから。」



「それじゃ、まずは他の二つの選択肢を捨てて、それだけを上達させろ。」




「で、でももし、後からやっぱり向いていなかったなんてことになったら…」



「その時は武器を変えりゃいい。武器を変えたからって、それまでの経験全部が無駄になるわけじゃない。上達させるために何をすべきか?って考えた経験が、お前の次の挑戦を楽にすんだよ。」




カロンの、ぶっきらぼうながらも理路整然とした説明に、ハートは内心で驚愕していた。疑問も、悩んでいた部分も綺麗に解決された。きっと本当にありがちな悩みなのであろう。そして、自分の視野が狭くなっていたと反省する。



ああそれと、とカロンが付け加える。その顔は優しい表情をしていた。


「お前や、俺みたいに突出したステータスのない人間には、天職みたいなジョブはない。逆に言えば自分がこれだ!って思うジョブが、お前にとっての天職になるんだ。…ま、気楽にやれってな。」



そう言うとカロンはハートに笑いかけ、その背中をバンバンと叩いた。この人なりの励ましなのだろう。高められた筋力ステータスで背中への衝撃は半端なものではなかったが、それに何とか耐えながらハートはふと思った。



(ああ、自分の悩みなんて、きっと他の人が何回も通ってきたものの一つなんだ。)



迷い込んだ道に、既に誰かの足跡がある。これがどんなに幸運なことか。

ギルドに所属すること、誰かとともに過ごすということの意味を、ハートはこの日大きく実感したのだった。















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