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異世界最高のギルドをつくろう!〜手持ちのスキルが強力すぎて、気づいたら孤児院のQOLが最強になっちゃってるんですが〜  作者: さかなかさ
2章

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17話



「なぁハート、掃討戦だってよ、掃討戦!ウチ、貴族サマのスキルを一度生で見てみたかったんだよ!」




とある日の昼、ギルドのフロントにて。耀晶会が魔獣掃討戦への参加を表明し、それを聞きつけたシルキーが、ハートに声を掛けていた。噂に聞く貴族のスキルを生で見れる機会に興奮しているようで、その鼻息は荒い。



「シ、シルキー...興奮してるとこ悪いけど...僕らは掃討戦には参加できないよ。参加するのは選りすぐりの面々だけ、ペーペーの僕らはギルドのお守り番だよ。」


「なっ...そうなのか!?」



シルキーが、ガーンと分かりやすくショックを受けた顔をする。



「あ、でも掃討戦は国の威信を国民に示す意味合いが強いから、魔道具で映像中継されるってミリアさんが...」



そう続けるが、シルキーの耳にはもう入っていないようだった。シルキーは口調こそ荒いものの、基本的には冷静な人間だとハートは認識している。



が、例外として、強大なスキルや冒険者への憧れがかなり強い。ハート自身、孤独で、無力だった自分と対照的な存在として冒険者を認識していたので、その憧れの感情はなんとなく分かる気がした。



「あぁごめん、とはいえそんな落ち込むとは...」




「......いや待て。選りすぐりってことは、ギルドの上位に選ばれれば、参加のチャンスがあるってことか?」




シルキーがハッとした顔をする。その目が闘志に燃え始める。



「うーん、それはそうなんだけど。掃討戦に参加するのって、各ギルドから上位15名くらいが限度らしくって。」



「だったら、そんなかに入っちまえばいいって話だろ。」



耀晶会は、今や王都でも有数のギルドだ。


入会希望は年々増加しており、在籍人数は魔道具の商人やや事務方含め、200名を超える。



「耀晶会は冒険者だけでも90人ほどいるからね。この中で上位15人を目指すのって、並大抵の話じゃないよ。」



淡々と、事実を述べる。シルキーは不服そうだ。



「それに何が1番難しいかって、在籍している冒険者のほとんどがミリアさん直伝のトレーニングを受けていること。つまり僕らが成長するのと同じか、それ以上のスピードで先輩冒険者達の能力も上がっていくと思っていい。」



「がああ、じゃあいつまで経っても上位に入れねーじゃねえかよ!」



「もう1部隊を任されるようになっているから、シルキーは相当頑張っている方だと思うんだけどね...」



耀晶会の冒険者は、依頼によってはそれぞれが幾つかの隊に振り分けられる。一部隊は6〜7名ほどで、シルキーは時折隊長を務めている。1年ちょっとでその成長は、かなりの大躍進である。




隊長はステータスというより、人を指揮する為の素質が比重として大きい。土壇場でも冷静な判断を行えるシルキーはステータス以上に大きな才能を持ってるとハートは考えていた。




「今、ウチらの評価ってどのくらいだっけか。今月のギルド内ランク表、覚えてるか?」




「ギルドの正規冒険者登録数が今総勢91名。で、僕が74位、シルキーが63位かな。道のりは長いねぇ。」



「後60人...この番付、手っ取り早く上げる方法は?」






そうして話し込んでいると、背後から不意に声が掛けられた。



「...へえ、面白い話してるね。」




聞き馴染みのある声に咄嗟に振り返ると、暗い緑髪に褐色の肌の、よく知っている人物が立っていた。




「あっ、エルクーツク先輩!先日はお世話になりました!」




声を掛けてくれたのは耀晶会が誇る魔道具開発師にして稀代の魔方陣作家、エルクーツク先輩だった。


一見すると人嫌いそうな雰囲気を醸し出しているが、後輩の面倒見がよく、ハートも懐いている人物だ。また、ギルドきっての良識人でもある。




「...シルキーたちの成長、僕が誰より楽しみにしてるから。それで、ギルドランクについてだよね。」



そう言われ、シルキーがそうそうと頷く。



「2人ともまだ先の話だけど...ギルドのランクは50位まではそれぞれのステータスや、迷宮での貢献によって決まる。」



そこまではシルキーもバードも知っている内容だった。エルクーツクの淡々とした説明が続く。



「そして50位以上はーーギルド内のレーティング戦...1対1での戦いで決まることになる」



「レーティング戦…」



団長やエルクーツクさんと一対一で戦う。迷宮探索でひしひしと感じる実力差に、ハートは戦っている自分の姿を想像できないでいた。



「…ギルドの人たちはみんなそれぞれの技を磨いてるから、これは結構楽しいし、いい経験になると思うよ。...2人なら、すぐに上がって来れると思う。」



それだけ言うと、役目は果たしたと言わんばかりに、エルクーツク先輩はじゃ、と席を離れた。


なんと言うか、本当に親切な人柄だ。それとなんとなく、人に解説している姿が誰より様になっていると感じる。




「あの人、なんつーか本当に面倒見いいよな...お人よしって言うのかね。てか、エルクーツクサンは今何位くらいなんだ?」




シルキーも似たようなことを思っていたようだ。心の中で激しく同意する。




「...エルクーツクさんは、確か今6位だった筈だよ。」




「ふーん、6位ね…って6位!?あらら、(やっこ)さん開発職が本業じゃねーのかよ...?」




「ギルド古参の人は、誰であれ創立当初からの苦労を経験して来てるからね...薬剤師のグレイル先輩でも、1人で中型魔獣を討伐できるくらいの腕前はあるらしいよ。」



「ま、まじかよ...怪我した時薬くれる兄ちゃんくらいに思ってたぜ...」



「まあ、ついた渾名が''歩く保健室''だからね...」



なんとも不名誉なあだ名でお馴染みのグレイル先輩は、ギルド古参の1人で、元々は孤児院でミリアさんの薬草採集の仕事を手伝っていた1人だったそうだ。


目元にかかる長い黒髪の間から、こちらを見つめる優しそうな瞳。エルクーツクとはまた別の方向性で、ギルドの冒険者達は彼に信頼と尊敬を寄せていた。




「でもよ、今度の掃討戦まであと半年くらいはあるんだ。それまでになんとか上位15名に入ってやるよ...ハート、お前も一緒にな」



「うえぇ、僕も?うーん、まぁ、ひとまずは50位まで上り詰めることを目標にがんばろっか。」



その後も、2人でやいのやいのとランクを上げるための作戦を考え、お昼休憩の時間が過ぎていった。





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