16話 幕間
16話 幕間
あるギルドの噂
王都の、とあるボロ酒場にて。
ある冒険者の男二人が、安い酒を飲みながら会話を交わしていた。
「おい知ってるか、最近活躍してるギルドの噂。」
「最近活躍してるギルド…ああ、輝晶会のことか?」
「そうそう、そいつらだ。なんでも連中、ギルドの主要メンバー全員がまだ10代のガキらしくってよ。王侯貴族とのコネがどうとか、いろいろ黒いウワサが流れてるらしいんだが…」
話題は、今王都で注目されているあるギルドについてだ。
「団長は"『耀晶』のミリア"って呼ばれてる、まだ19だそうだ。なんでも独自の魔道具でどんな情報も簡単に仕入れちまうそうだが...どうにも胡散くせえよな。」
男は、まるで信じられないといった風に話す。
ステータスと経験がものを言う冒険者の世界で、若い年代だけのチームが活躍することなどほとんどあり得ないだからだ。
冒険者のピークは30代からだ、などとはよく言われる話だった。
「それ以外にも天才魔道具師に薬剤師、あと妖刀使いだのなんだの。しかも全員、元孤児院出身だってよ。スキル非所持者(持たざるモノ)の筆頭みてえな奴らが、そんな上手い話あるかってんだ。俺は、貴族様の隠し子の集まりだって睨んでるね。」
「...そんなんじゃねぇさ、あいつらは。俺は一度、冒険中にあいつらの戦ってるとこに鉢合わせたことがあるんだけどよ...」
話しかけられた方の男は、そこで一息ついた。まるで思い出すかのようにぼんやりと宙を見つめている。
「なんていうか、圧倒的だった。能力だけじゃねえ、知識も技量も、どれを取っても一級品。一体どれほどの鍛錬の上にあの域にたどり着いたのか知らねぇが...死戦を幾度も超えてきたって顔をしていた。」
男の喋りは続く。話題を振ったほうの男は意外な返答に驚いた顔をしていた。
「…見た中で特にやばかったのは魔獣飼い(テイカー)の女だ。次から次へと見たこともねえ魔獣を召喚してよ、あいつ1人だけで軍隊に匹敵する力を持ってやがる。巷じゃ『震源地』(スタンピード)だとか呼ばれてるらしいが、その通り名も嘘っぱちってわけじゃねえ。」
「な、なんだよ...急にベラベラ語りやがって。お前、さては奴らの回しもんだな?」
訝しげににそう問われると、男はフッと笑う。
「ただ、上には上がいるって実感しただけさ。お前も、一度その目で見てみるといい。」
「ちっ。なんだよ、酔いも醒めるぜ。おいマスター、勘定だ。」
そういうと興醒めだという風に、男はばらばらと銭を卓上に置き去っていった。
…数か月後、男は迷宮探索中に命の危機に瀕し、間一髪のところで輝晶会に命を救われ、彼女らの虜の一人となるのだが、それはまた別の話である。
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