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異世界最高のギルドをつくろう!〜手持ちのスキルが強力すぎて、気づいたら孤児院のQOLが最強になっちゃってるんですが〜  作者: さかなかさ
2章

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11話


7年後。



とある迷宮の奥深く。



地中にぽっかりと空いた大広間で、冒険者たちの一団と、巨大な魔獣との戦いが繰り広げられていた。




魔獣は大きな羽と翼、鱗をもつ巨大なワニのような見た目をしている。その体躯は牛の一頭や二頭ならまとめて飲み込めそうなほどであった。




対する冒険者たちの歳の頃はまだ若く、年齢は10代前半のものが多いようで、先程から防戦一方の展開になっていた。




 その最前線で、防御結界を張り続けていた銀髪の少女が、焦った様子で声を張り上げた。




「ダメだ、法陣結界がもうそろそろ尽きるぞ!ハート!炎熱魔道具(ファイアチャージ)はまだ上がんねーのか!?」



「ごめん、無理だシルキー!さっき打ったばかりでまだ全然だ!それに、なんでかわかんないけど魔素が濃すぎて道具に異常が出てるんだ!」




「あーもう、たかがアイスヒュドラ一匹にこのザマかよ!てか、増援は呼んだんだよな!?」




「さっき通信器から連絡があって、今本陣からエル先輩が向かってるって!」




「よしよしよし!耐えるぞ!ここさえ凌げば後は...」





少女が言い終わる前に、ずぅん、と、洞窟全体が大きく揺れた。



するとその直後、アイスヒュドラと呼ばれた魔獣のその背面の壁が、大きな音と共に崩れ去った。


ガラガラと崩れ去る岩なだれによってアイスヒュドラが押しつぶされてゆく。


「ギュガアアア…!!」



「た、助かった…のか?」


だが、窮地はそこで終わらなかった。


風穴が開いた壁の向こうから、二階建ての一軒家くらいはあるであろう、巨大なオオカミが体を覗かせた。その全身は黒い毛皮で覆われており、全身からバチバチと稲妻が迸っている。




「マ...狼電龍(ママラガン)だ。それも成体の...」




ハートと呼ばれた少年が、絶望した様子で声を上げた。




「不味い、不味いよ...狼電龍の放電に巻き込まれたら通信の魔道具が途絶える!そうなったら孤立無援だ!」




狼電龍が、こちらを睨みつけながら体を丸める。すると、全身を覆う稲妻がどんどんと膨れ上がっていく。放電の準備だ。




「チッ...火傷か、切り傷の護符余らしてるやつは今使え!あとジャバラソウ、忘れず口に含んどけ!

防具に魔力込めれば死にはしねぇ、タイミングだけミスんなよ!」



言い終わった直後、狼電龍の全身が一際眩く光る。




「来るぞ!」




迸る光が、円状に周囲に解き放たれる。そして、冒険者の一団のところまで到達する直前。




ーー彼らの前の何もない空間から、まるで瞬間移動のように、突如として人影が現れた。




現れるや否や、迫る稲妻を一瞥すると、右手をスッと前に差し出す。




白晶天蓋(ヘイムダル)。」




緑の髪に、褐色の肌のその少年は、掛け声と共に手に握る魔道具を起動した。




筒のような形をした魔道具の先端からガラスのような障壁があたり一面に展開される。

大きく広がったそれは放電魔法を全て受け止め、吸収していく。




障壁は放電を全て受け切ると、役目を終えたかのようにバラバラになり霧散した。



少年が後ろを振り返る。




「シルキーもハートも、よくやったよ。...いい指示だった。」




「エル先輩…!」




窮地から生き延びた安堵で歓声を上げる細身の少年(ハート)を尻目に、銀髪の少女が声をかけた。




「助かったぜ、エルクーツクサンよ。先輩1人か?それとも他に増援が?」





緑髪の少年ーーエルクーツクがあぁ、と頷く。




「あの狼電龍、団長たちの狩場から逃げてきたんだ。ーーきっともう直ぐ、みんな集まるよ。」



言われてみれば、稲妻で見づらいものの、狼電龍は体のあちこちに怪我を負っていた。手負いのようで、吐く息も荒い。




すると、狼電龍が周囲を警戒し始めた。



「グルルルルル....」




自分が壁面に開けた大穴の方向を見つけ、大きな唸り声を上げている。




すると、その大穴の中をガラガラと瓦礫を退けながら歩いてくる、2人の人影が見えた。





「おーいたいた!ほんとに逃げ足が速いワンちゃんだな」





そう軽口を叩いたのは黒髪にライトブルーのインナーが入った、短髪の少女だ。

目元を覆い隠すように、黒いガラスがはめ込まれた眼鏡を掛けている。

小柄な上半身を覆う外套は、頭から深く被れる作りで、袖口は広い。防具というには頼りなく、だが旅人の装いというには妙に洗練されていた。



そして、横にいるもう1人。


その装いは先ほどとは対照的だ。全身を無骨な鎧で覆っており、背丈ほどもある長剣を、軽々と片手で振り回している。





どちらも巨大な魔獣を前に平然とした様子だ。それに比べて狼の魔獣は、片時も目を離さず2人を警戒していた。




しかし、僅かな瞬きの間に、少女の方が忽然と姿を消した。




そして次の瞬間には狼電龍の背後に姿を現し、手に持った短剣をその背に突き立てた。





「グルァアアアア!!」




オオカミの魔獣が痛みに悶える。なんとか少女を振り払うと、必死に少女の攻撃に応戦しようとする。


しかし、体が大きすぎるがゆえに、少女の素早い動きについていけない。振り下ろされた前脚が地面を抉るたびに、大地が震え、瓦礫が宙を舞う。


その隙に、長身の剣士が地面を蹴り上げ、遥か上空に飛び上がる。


狼電龍は異変を察し、すぐさま顔を上げた。


「グルルルル…..!!」


咆哮とともに、剣士のいる頭上へと雷撃を放つ。周囲の空気が焼かれ、バチバチと帯電した電流が飛び交う。しかし、次の瞬間――



落下速度を乗せた剣士の一閃が、雷撃を振り切りながら、狼電龍の首を襲った。



刹那、()()()()()()()()()()()()()()()、小型の鯨ほどはありそうな狼電龍の首元をすぱんっ、と切り落とした。



巨体の頭部が宙を舞い、ビリビリと帯電した血飛沫が四方へ散る。雷光の残滓が空を漂う中、狼電龍の体はゆっくりと崩れ落ちた。



先ほどまでの戦いが嘘のように、洞窟がしん、と静まる。

首を切り離された魔獣の体が完全に停止したのを見届けると、警戒を続けていた鎧の剣士が少女の方を向いて頷く。



そこでようやく、少女はエルクーツクたちの方を向いた。




「おーーい、皆!もう大丈夫だよー!よく頑張った!」




黒髪の少女ーーミリアが、そう声をかけた。




ようやく緊張の糸が切れたシルキー隊の面々は、わっと歓声を上げた。




するとミリアは横を向き、剣士にも声をかける。




「狼電龍を一撃なんて、流石にいい腕前になったねぇ。」




剣士は応えるように長剣を背中にしまう。そして、装着していた兜を取った。




ーーすると、後ろで結われた、キラキラとした金色の髪が顔を覗かせた。




「お疲れ様、セリーシャ。」





セリーシャはニコリとミリアに微笑むと、軽い口どりで返した。




「ミッション完了!だね。」



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