たびのはじまり
戦争は終わった――。
アザリンは敗れ、すべてが瓦礫と化した。
しかし、その戦火の中から、一人の少年の物語が始まろうとしていた。
ダキラは岩の間で意識を失った。
その腕には、まだ赤ん坊を抱えていた。
長い時間が経った後、ダキラはゆっくりと目を開けた。
すると、小さなロバが彼の顔を舐めていた。
しかし突然、近くから声が聞こえた。
「生き残りがいないか確認しろ。」
「生きている奴がいたら……殺せ。」
ダキラはその場で凍りついた。
赤ん坊を抱き上げ、ロバを連れて、静かに呟いた。
「離れろ……」
そして岩陰に隠れ、兵士たちが立ち去るのを待った。
やがて声が聞こえなくなると、ダキラは慎重に岩陰から出て歩き始めた。
そこには、何千もの死体と、戦争の爪痕が広がっていた。
ダキラは戦場と死体から遠く離れ、杖に体を預けながら、苦しそうに歩いていた。
小さなロバは、そんな彼を助けるようについてきていた。
ダキラはロバを見て微笑んだ。
「お前はなんて素直な奴なんだ……。
よし、お前の名前はモロだ。」
そして腕の中の赤ん坊を見る。
「そしてお前は……フォーラー・イングだ。
俺の名前、フォーラー・ダキラから取った名前だ。」
ダキラは笑った。
「ハハハハ!」
---
それから十四年が過ぎた。
イングは小屋のそばで、モロとサッカーをしていた。
モロは元気いっぱいに転がり、イングは笑いながらその後を追いかけていた。
それでもイングは毎日鍛錬を続けていた。
いつの日か、自分の故郷を占領した者たちに復讐するために。
ダキラがイングに声をかけた。
「ずいぶん身軽になったな!」
そして続けた。
「お前、故郷のために復讐するつもりだったんじゃないのか?」
イングは答えた。
「ああ。」
ダキラは言った。
「復讐したいなら、ナコラ軍に入れ。」
イングは自信満々に言った。
「俺はすごく強いぞ!」
ダキラはイングを見て言った。
「お前じゃ試験には受からない。」
そして続けた。
「仲間も集めろ。忘れるな。」
少し間を置いて、ダキラは言った。
「だが、その前に三人の師匠のところへ行って修行しろ。」
そう言って、ダキラはイングに地図と手紙を渡した。
「この地図と手紙を持っていけ。」
そしてモロを指差した。
「モロがお前を駅まで連れて行ってくれる。」
ダキラは少し黙った。
そして言った。
「だが……お前に一つ、秘密を話しておかなければならない。」
イングは興味深そうにダキラを見つめた。
ダキラは言った。
「お前は、俺の本当の息子じゃない。」
そして続けた。
「お前の母親は、戦争で死んだ。」
イングは顔を上げた。
そして笑い始めた。
「ハハハハ!
俺は泣かないし、悲しまない!」
そしてダキラを見て言った。
「だって……俺の本当の父親は、俺を育ててくれた人だから。」
ダキラは微笑み、笑った。
「ハハハハ……。」
そして言った。
「さあ、行け。」
イングが出発しようとしたその時、ダキラが言った。
「俺の言葉を忘れるな……。」
そして微笑んだ。
「お前が目標に近づけば近づくほど、
みんながゴールキーパーになる。」
イングはダキラを見つめた。
そして、新たな旅へ向けて歩き出した。
こうして、三人の師匠へ続くイングの旅が始まった。
そして――
アザリンを解放するため、
強くなり、ナコラ軍に入り、軍の士官になる。
これが、イングの夢への第一歩だった。
そして、イングは旅立った。
待っているのは、未知なる道と数々の試練。
これは、アザリンを解放するための少年の物語――。




