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第7話 アリアの枢密院と5大閣僚、フィヨルド動乱を議論する

 アリア皇国は絶対君主制ではなく、王権は強いものの貴族院という議会が重要な議題について決定する、という事は第二部にて述べた通りであるが、当然皇王が一人で議会と対峙する訳もなく、所謂閣僚組織を確立していた。


 アリア枢密院である。


 所謂行政庁を兼ねており、参加閣僚は時期により(かつ、ビアンカの気分により)変動することはあれど、現在は5名。いずれも世襲ではなく、己の腕一本でのし上がった実力者たちである。


 筆頭 内務卿 グリースウェル・フォン・アキテーヌ

 次席 軍務卿 オルス・ロックウェル・ド・ロックバード

 外務卿 ハーマード・フォン・アルプミティ

 法務卿 バレアーク・ド・カルターニャ

 財務卿 カトリーナ・ド・カールスルー


 以上五名がアリアの航路を決める最高決定機関であった。


「ほっほ、また厄介な問題じゃのぉ。秋の収穫でも送ってやるか。ま、微々たるもんじゃがの」

 フロリーナ王女の手紙を読み上げ、口火を切ったのはアキテーヌ内務卿であった。


「あまり、好ましくない事態ですよ。フィヨルドが倒れると東の防波堤が消える」

 続いて、アルプミティ外務卿。

「わかっとるわい。ロックバード軍務卿、シルバはどうするんじゃ?」

「援軍は送るでしょうな。ただし、結果は自明ですが」

「遠慮せんでいいじゃろ。オルスらしくもない」

「アキテーヌ内務卿、皇王の前ですぞ」

「なんじゃ、グリスの兄貴、とはもう呼んでくれんのか」

「とうとう耄碌されましたかな?」

「お二方が旧友とは存じておりますが」

 カルターニャ法務卿が二人を遮った。


「現在、我が皇国とフィヨルドの間に軍事協定の類はございません。防衛義務はございませんぞ…カールスルー財務卿はどう思われる?」

「国としてはビタ一文出す財産はありませんわ。ですが、私も女ですから」

 改めて、フロリーナの手紙を手に取る。

「国を守らんとする、彼女の痛いほどに強いお気持ちには共感致しますわ」

「僕は反対だね」

 アルプミティ外務卿である。


「今のフィヨルドは明日の食糧にも困る有様というじゃないか。そんな中に軍を派遣しても、下手すりゃ同士討ちになるぜ。もちろん食糧もだ。何万トンと輸送したとして、せいぜい軍が抱えて終わるだけさ」

「なんじゃい、若いのはどいつもこいつも冷たいのぉ。そうじゃ、オルス。アレフとセシルに一軍預けて突撃させるのはどうじゃ?」

「グリス、仮にも他国にアリアの質を疑われたくはない」

 厳しいのぉ、とアキテーヌ内務卿がかっかっ、と笑った。

「ま、ここは一つ、皇王のご意見をお伺いしたく存じますぞ」


 それまで黙して議論を聞いていた…あのビアンカが黙して拝聴に回るほどの実力者、と言うことでもあるのだが…そうね、と前置きして、一言申した。

「フロリーナを助けるわ。でも、フィヨルドには介入しない」

「うふ。流石皇王ですわ。私も賛成です…。フロリーナ様といえば、プリンセス オブ フィヨルドとも称される素晴らしいお方。我が国益に叶うこと、間違いありませんわ」

「助けると言っても、どうするのです? 先ほども申し上げた通り、フィヨルドとは国交こそあれ、軍に関する協定は一切結んでおりませんぞ」


「亡命」

 アルプミティ外務卿がポツリ、と呟いた。

「やるなら、フロリーナ様を亡命させること、くらいか」

「アルプミティ、いいアイディアだけれど、フロリーナは見た目と違って、「これ」と言ったら曲げない子よ。フロリーナだけおめおめと逃げる、なんて絶対にしないわ」

「王族…否、もっと多く、ですかな?」

 ロックバード軍務卿が問うた。


「そうよ、そうでもしないと「ビアンカ姉様、私はここに残って最後まで戦います」くらい言う子よ! あの子ってば! ホント!」

「ともかくも、方針は決まりましたな。アルプミティ、それからカルターニャ、二人は情報収集だ。どのくらいの亡命規模になるか、抑えておけ。それから、根拠となる国際法もな」

 承知、と回答


「カールスルーは亡命後の財政試算を」

「承りましたわ」

「儂は亡命作戦の机上演習に入る。質問は?」

「わしは何をすればいいかのぉ?」

「アキテーヌ卿は通常業務でお忙しいでしょう?」

「仲間ハズレは良くないぞ」

 ロックバード軍務卿はそれを無視して、

「皇王様、ご裁可を」

「許可するわ。アキテーヌには別の仕事を指名するわね」

「ほうほう、なんじゃ?」

「久しぶりに私とワインでもどうかしら?」

「ほっほ、それは重大な任務じゃ! それでは若者らよ、よろしく頼むぞ!」

 カッカッ、とアキテーヌ内務卿が再度、盛大に笑った。



 それから、数日後。


 クルスク城にシルバ教国はマクシミリアン・アルブレヒト・フォン・オットーが三万の聖光燦然騎士団セイクリッド・ルミナスを率いて入城。

 翌日、フィヨルド・シルバ連合軍、4万5千がグルンクルスへ向けて進発した。

 呼応するように、ガストーネ辺境伯率いる反乱軍5万も進軍。

 決戦は不可避の状況にあった。


 そのころ、フランソワは――――

第三部は視線があっちに行ったりこっちにいったりします。

今回は政治タイム


※明日から週4投稿(月・水・金・土)に変えさせていただきます!

 第四部の執筆状況次第でまた毎日投稿に切替させて頂くかも…。よろしくお願いします!

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