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僕と兵器と異世界  作者: 奥鷹 雪斗
12/14

第9話 薬草採取と狩猟

さぁ、狩りの志願だ!・・やべッ間違えた!狩りの・・・。

これを最後に作者は姿を消した(嘘)。


 ガタガタ、ガタガタ、ガタガタ、ガタガタ


 6.5tの戦車が西の草原に向かって走り続けていた。サスペンションの性能はそこまでよくないので振動がじかに伝わってくる。


「リリカ、本当に大丈夫か?」


「だ、だい、じょう・・・うぅぅぅ」


 声から気分が悪いことを察してちょうど草原の入り口に着いたので戦車を止める。


 ガガガガガガガガ


 急停止したので履帯が地面を削った。


「よし、降りるぞ」


 俺はハッチを開けて外に出た。続いて砲塔にいたリリカも俺が手を貸して出した。


「ありがとう、ござい、ます」


「礼はいいから少し休め。顔色悪いぞ」


 俺はリリカに手を貸したまま近くの木の下に連れて行くと木にもたれかかるようにリリカを座らせた。


「すみません、迷惑、掛けて、しまって」


「いいよ、酔ってるんだから仕方ない」


「酔っては、いません。気分が、少し、悪いだけ、です」


 口を押さえながら途切れ途切れに喋っている。車酔いのはずだが異世界こっちでは酔っているとは言わないのか?


 リリカをそのまま休ませ、ルノー軽戦車に戻ると車内の状態や砲弾の数と種類などの確認をする。内側も特に異常はなく砲塔内部に入ると念のため主砲の砲尾にある閉鎖器を操作すると中から砲弾が出てきて背筋が凍った。リリカが走行中に主砲を撃たなかったのは不幸中の幸いだったと思いたい。

 安堵の溜め息をはいて砲弾が格納されている弾薬庫に行くと砲弾に色のついたラインが薬莢の横についていた。色別の種類が書かれた紙も見つけた。


(砲弾はオレンジ色が“榴弾”(※1)で数は179発、黄色が“榴散弾”(※2)で57発)


「主砲に装填されていたのは榴弾だからもし誤って撃ってたら・・・・、草原か森に穴が開いてたかもな」


 その前にあのまま森に置きっぱなしだったらもっとヤバいことになってただろうな。

 主砲に装填されていた榴弾を弾薬庫に戻すとエンジンを切って外に出る。

目の前に広がる草原は雑草が生い茂る場所かと思っていたが所々に大きな葉や小さい木々が立ち並んでいる。小さな木々には様々な色の果実が実っていた。

 近くに行って手始めに赤い実をタブレットで調べる。あれ?どこかで見たことがあるような?


名称:レッド・ペッパー


説明:赤い木の実で単体だとものすごく辛いため主に料理の香辛料として使われる。

 持っているとランクの低い魔物は寄りつかないが特定の魔物が寄って来くることがある。衣服に匂いがつきやすいので取り扱いには注意が必要。


 間違いなく唐○子だよな、ナスみたいにデカいけど英語で○辛子はレッド・ペッパーって言うし。

 次に青い実を調べて見たがこちらも見たことがある実で結果は、


名称:ブルーベリー


説明:小さな青い木の実で甘酸っぱい味が特徴。そのままでも食べられるがジャムなどにすると食べやすくなる。


 他のも調べてみようかと考えたが見たことあるようなのばっかりだったのでやめることにした。と言うかここって異世界なんだよな?

 少し混乱したがそういえば昼過ぎだったことを思い出し、少しだけブルーベリーを採っていくとリリカのところに向かった。



「リリカ、気分はどうだ?」


 木陰で休んでいるリリカはさっきよりも顔色はよくなっていた。


「はい、ほとんどよくなりました。それじゃあ薬草を採りに・・・」


 グゥゥ~~~~~


「・・・」


「・・・」


「えーと、おなかすいt」


「わ、私のじゃありませんから!」


 リリカは顔を真っ赤にして必死に拒否するが俺と2人しかいないのですぐに分かる。

 リリカは顔を手で覆うとしゃがんでしまった。俺はため息をつくと、


「先に昼飯食うか」


 と言ってリュックから堅パンに缶詰2つ(ツナ缶とサバ缶)、それに水の入ったペットボトルを取り出す。


「リリカは昼飯持ってきてるか?」


 リリカは顔をを上げてバックを探るが、あっと言って俺の方を向く。


「持ってきてませんでした・・・」


 しっかりものに見えてわりとドジっ子なんだな。


「ほら、食うか?」


 俺はツナ缶とサバ缶をリリカに差し出す。


「えっと、これ、食べ物なんですか?」


「これは缶詰って言ってこの中に食べ物が入ってるんだ」


 俺はサバイバルナイフで器用に缶を開けると中身をリリカに見せる。


「これは魚、ですか?」


「そうだ、開けたら日持ちしないから出来れば全部食べてくれ。で、どっちを食べる?」


 リリカは少しツナ缶とサバ缶を交互に見ながらしばらく考えてサバ缶を手に取った。

 

「よし、後これとこれもな」


 追加で堅パンと水の入ったペットボトルを渡す。


「何ですかこの入れ物って、これ水ですか!」


「うぉ、どうした急に大声出して」


「こんな澄んだ水初めて見ましたよ!」


 そんな珍しいのか、普通の水が?


 リリカに聞いてみるとリリカ達の飲んでいる井戸水は他のところよりは澄んでいる方らしいがそれでも少し濁っているらしい。ペットボトルに入っている水ほど澄んだ水は初めて見たと言う。


「俺のいた世界じゃこれくらい誰でも飲んでるけど」


「ユウキさんの元いた世界って本当羨ましいですね」


 羨ましい、か。そう言うところは羨ましいんだろうな。



 その後昼飯を食べたがペットボトルのふたを開けらないようだったので開けてやり、堅パンは水と一緒に食べた方がいいと教えようとしたが普通にバリバリと食べていたのには驚いた。

 デザートにブルーベリーを食べてひと段落してから薬草の採取に取りかかった。リリカに薬草の葉を見せてもらうと少し大きめの緑色の葉っぱで葉先にギザギザがある。見た感じシソの葉みたいだった。


「これを100枚ほど集めて下さい」


「そんなにいるのか?」


「多いことに越したことはありませんから。あと薬草に似た葉で薬草モドキという毒を持った葉もあるので注意してください」


 そう言って薬草モドキを見せてくれた。こっちは薬草と違って葉先にギザギザがない。


「分かった」


 そしてリリカは薬草を採り始めた。俺も近くの薬草を採り始める。


~20分後~


「よし、これで100枚」


 最後の1枚を採り終わって額の汗を拭う。リリカはまだ薬草を採っているようだ。


「そっちはまだか?」


 近づいて聞いてみる。


「はい、思ったより薬草が見つからなくて」

 

 リリカの手を見るとまだ30枚ほどしか持っていなかった。


「ユウキさんはもう100枚採ったんですか?」


「ああ、だがモドキとの差が分からないから見てもらえるか」


 俺は持っていた薬草100枚をリリカに手渡して確認してもらう。


「全部薬草です。群生地帯を見つけたんですね、すごいです」


「そんなにか?」


「薬草の群生地帯はこの西の草原でも2、3ヵ所ぐらいしかありませんし、それを見つけるのは至難の業です」


 リリカが苦戦する程なので本当に運がよかったんだろう。



 30分後にリリカも薬草を100枚集めたので俺の分と一緒に束にしてバックへ入れてもらった。日も落ちかけてきたので村に帰るためにルノー軽戦車のエンジンを掛けようとしたとき、


「ヴォォォォォ!」


 振り向くと草原の奥の森から熊が現れた。その上デカい、大きさは4、5mはあるようだ。


「ビック・ベアです!」


「思ってたよりシンプルな名前だな、おい!」


 あまりの単純な名前に突っこんだ。


「早く逃げないと!」


 リリカは急いで逃げようとしたが、


「待てリリカ。熊?の足の速さは俺たちより速い、逃げ切れないぞ」


「じゃあどうすれば・・・」


「とにかくルノーに乗れ、少しは安全なはずだ」


 予想なら走って逃げるよりルノー軽戦車に乗っていた方が安全だろう。

 ビック・ベアも俺達に気づいたのか走って向かってきた。俺とリリカは急いでルノー軽戦車に俺、リリカの順に乗り込んだ。


「ハッチ閉めろ、急げ!」


 リリカはすぐにハッチを閉めた。その直後、何か大きなものがルノー軽戦車にぶつかり大きく揺れた。


「ヴォオォォォォォ」


 ビック・ベアは俺達をルノー軽戦車から出そうと爪で引っ掻いたり叩いたりしたがそう簡単に戦車は壊せない。


「ヴォオォォォォ」


 ガンッ!


 ベコッ!


 しかし戦車の装甲の一部が叩かれた衝撃でへこみ始めた。


(野郎やってくれるな)


 俺は主砲の閉鎖器を開き、弾薬庫から榴散弾を取り出すと主砲に装填して閉鎖器を閉じる。


「リリカ、耳塞いでろ!デカい音がするからな!」


 そう言って照準器を見ながら砲塔を回してビック・ベアに主砲を向ける。すると砲塔を急に動かしたので何を勘違いしたのか砲塔に噛み付いてきた。それも主砲正面の砲口部分を咥えている。


「わざわざ手間を省かせてくれるとは、協力的で結構!」


 主砲の引き金に指を掛ける。そして、


「撃ぇぇ!」


 力強く引き金を引いた。


 ズドンッ!


 発射時の衝撃と至近距離に目標がいたせいで車体が少し浮き、ドンッと音を立てて着地した。


「クソッ、リリカ、大丈夫か?」


 下の操縦席を見ながら話しかける。


「大丈夫です。でも、まだ耳鳴りが止みません」


 耳以外はどうやら無事のようだ。俺はリリカの耳鳴りが止んでからハッチを開けるように言って自分も砲塔のハッチから外に出ると、


「・・・さすが、戦車砲だな」


「一撃でビック・ベアが倒れるなんて」


 リリカも驚いていた。これを見て驚かない方が無理だな。目の前にいるビック・ベアは仰向けに倒れており、榴散弾が命中した頭だけが大きな風穴を開けていた。ふと思い出してタブレットを取り出し、図鑑を調べるとビックベアの情報が載っていた。


名称:ビックベア

ランク:Dランク

素材:ビックベアの肉、ビックベアの毛皮、ビックベアの硬骨、ビックベアの大牙、ビックベアの胆嚢

弱点:頭、心臓

説明:体長が4、5mある大きな熊。その巨体に似合わず素早い動きを見せ、かぎ爪と噛み付きの他に突進して敵を吹き飛ばす。知能は低いほうだが時々知能が高い個体が現れることがある。また脳が小さい割に頭蓋骨は大きい上硬く、鋼鉄の剣をも弾かれてしまうので心臓を狙う方がよい。


 こっちでも相変わらず熊の頭は硬い上脳が小さいようだ。鋼鉄の剣がどれ程の切れ味か分からないが小銃弾くらいは簡単に弾かれるだろう。

 そしてタブレットの機能が一部解除されていた。


『格納庫』『保管庫』


 『格納庫』は車両や航空機などの乗り物を格納する機能でルノーの格納が可能になっていた。

 『保管庫』は武器、防具、弾薬を保管する機能だったがどうやら元の世界の武器、防具、弾薬しか保管できないらしい。


 機能の確認を終えてルノーに目をやる。


「これでも弱い方の部類のはずなんだが・・・・」


 ルノー軽戦車の37mm砲を見て言った。


「これがですか!」 


 俺の独り言に反応してリリカは驚いていた。


「ああ、これより強い戦車ならまだまだいるぞ」


「ユウキさんのいた世界にはそんなに強い魔物がいたんですか?」


「いや、魔物はいないぞ」


「じゃあどうしてこんなに強い武器を?」


「強い武器を倒すためさ」


 そう言って振り返るとルノー軽戦車の方を向き歩き出す。


「さあ、村に戻ろう」


「え!!」 


 リリカの驚く声が聞こえてきた。それに構わずルノー軽戦車の損傷具合を確かめる。


「剥ぎ取りとかしないんですか!」


「俺たちで運べる大きさじゃないし、日が沈むまで時間が無い。剥ぎ取りなんかしてたら村に着く前に夜になるぞ」


 夜になれば夜行性の魔物が動き出す。それに夜行性の魔物は昼間のより強い魔物がいる可能性があるからできれば戦いたくない。ビックベアの死体は魔物たちが食ってくれるだろう。


「・・・・分かりました」


 シュンと獣耳と尻尾を垂らして残念そうな顔をするが身の安全のほうが優先だ。


「また今度狩ればいいことだ」


「・・・・そうですね」


 リリカは苦笑い浮かべ、少し申し訳なさを感じながらタブレットを開いてルノーを格納するとそれに驚いたリリカに説明してからロコ村に向けて歩き出した。

※1 榴弾

・内部の炸薬(火薬)を爆発させ弾殻の破片が広範囲に飛散するように設計された砲弾。主に対人、対陣地攻撃の他に非装甲車両の攻撃に用いられる。


※2 榴散弾

・遠距離砲撃戦において敵歩兵や騎兵を効果的に殺傷するため開発された砲弾。主に対人、対非装甲目標の攻撃に用いられる。



榴散弾って遠距離を目標にしてるせいか近距離だと炸裂しないらしいです(うるおぼえ)。

さぁて次回 騎士小隊

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