第10話 騎士小隊
アァァン、もうむつかしぃぃよぉぉ。戦闘シーンは書き辛い(切実)。
俺たちは今、ロコ村に向けて走っていた。ビック・ベアとの戦闘から30分が経っており日が沈みかけている。すると前のほうから鎧を着た男たちを乗せた6頭の馬が走って来た。
「あれは、たぶんフローラ騎士団の騎士達です」
隣を走っているリリカが教えてくれた。
「味方か?」
「はい、そうです!」
すると先頭を走っていた騎士が俺たちに気づいて馬を止めた。後ろの騎士達も止まったので俺達も立ち止まった。。そして先頭を走っていた男の騎士、いかにも騎士と言った20代ぐらいの騎士が近づいてきた。
「私はフローラ騎士団・第2小隊隊長のフラッグ・ド・メンダルだ。あなたたちは?」
それを聞いて隣に立っていたリリカが前に出た。
「私はロコ村の村長ルイス・ガランドが娘、リリカ・ガランドです」
リリカの名を聞くと騎士は驚いていた。
「君がルイスの娘か!ルイスが心配していたぞ!」
フラッグと名乗った隊長はルイスの知り合いのようだ。
「君は?その不思議な服装からして村人ではなさそうだが」
「ぼ・・俺はユウキ・アラナミ。旅人だ」
「もしかして君は山賊を倒した青年かい?」
「ああ、たぶん俺で間違いない」
フラッグの後ろにいる騎士達は「嘘だろ」とか「こんなガキが?」など失礼なことばかり小声で話していたが“聞き耳”で全部聞こえていた。
「さっきからあんたの部下が失礼なことを口走ってるんだが?」
後ろにいた騎士達は驚いてフラッグはため息をついた。
「失礼した。後できちんと注意しておくよ」
そう言って後ろの騎士達を睨んだ。すごい威圧だな、部下の騎士達が震えて鎧をカタカタ鳴らしている。
「そういえばつい先ほど、西の草原から爆音が聞こえてきたのだが何か知っているか?」
再びこちらへ顔を向けたフラッグが聞いてきた。
「俺たちがビック・ベアと戦ったときの音だろう」
「なるほど、と言うことは君は魔術師なのか?」
(何故そうなる)
「爆発が村の方まで聞こえてきた、中位の炸裂魔法を使ったのでは?」
ルノーの砲撃は異世界で中位魔術に匹敵する威力のようだ。どれほどのものか分からないが下手に使わない方が良いだろう。その前に誤解を解かないと。
「いや、俺は魔術師じゃない」
「ならリリカさんが?」
「今の私では中位魔法は使えません」
「じゃあ何故中位の炸裂魔法が?」
不思議に思うよな、普通。両者ともに使えないはずの中魔法が使えたのか?どうやって誤魔化そうか?
「それは・・・」
俺が言いかけたその時、
「ヴォオォォォォォ!!」
突如、後方から咆哮が聞こえてきた。振り返ると今日2匹目のビック・ベアが姿を現した。
(何でこのタイミングに!)
するとフラッグが馬から降りて前に出ると剣を抜いた。
「君たちは私たちの後ろに避難を。お前達、行くぞ!」
「「「「「「おぉぉ!!」」」」」」
俺とリリカはフラッグ達の後ろにさがるとフラッグが先頭に立ってビック・ベアに向かう。フラッグの指示で瞬く間にビック・ベアを囲むと一斉に攻撃を仕掛ける。
だが、
「ガァァァアァァ!」
「ぐぁぁ!」
「がは!」
「うぐ!」
ビック・ベアの前足によるかぎ爪で3人一気に吹き飛んだ。吹き飛ばされた仲間を見て他の騎士達が反撃するがすぐにまたかぎ爪で吹き飛ばされる。馬はビックベアの攻撃を恐れて逃げていった。
「まずい!」
フラッグが叫けんだほうを見ると、ビックベアの近くに倒れていた騎士をビック・ベアが掴むと上に放り投げて口に入れた。
ゴキャ!バキ!グチャ!ゴリ!
「ぐおぁぁぁぁぁぁッ」
二足立ちになったビック・ベアの口から骨や鎧が砕ける音と悲鳴がが鳴り響いた。フラッグは何とか立て直しをはかろうとしたが騎士達はほとんど戦意を喪失してしまっており、このままでは全滅してしまう。
「クソ!」
それを見かねた俺は“時雨”を抜くと二足立ちのビックベアの懐に飛び込んだ。ビックベアは急に突っ込んできたため反応できず、横っ腹を袈裟斬りが襲う。
ザンッ!
「ヴォオオ!」
ビックベアは横っ腹を斬られた痛みに悲鳴を上げる。我を失ったビックベアは俺にのし掛かろうと襲いかかる。
「うぁ!」
俺は反射的に時雨の柄を脇に挟んで仰向けに倒れ込んだ。そしてその上へビックベアがのしかかる。
ズゥゥゥッン!
フラッグや他の騎士達はあまりの出来事に呆然としていた。
「ユウキ!」
しかし、リリカだけ勇気を助けようとのしかかるビックベアに近づこうとした。
「待て、リリカ殿!」
それを我に返ったフラッグが止めた。
「いや!離して!」
「まだ、ユウキ殿が死んだとは限りません!ですが、ビックベアも死んでいるかどうかも分からない事には手の出しようがありません!」
フラッグがユウキを助けようと必死になっているリリカをなんとか説得しようと試みていた。すると、
ズルッ
何か這いずるような音が聞こえてきた。騎士達はその音のするビックベアに向けて剣を向ける。そして、
「ぷはぁ!」
ビックベアの腹の下から勇気が這い出てきた。
「ユウキ!」
フラッグの押さえていた手をどけると勇気の元に駆け寄って手を取り、引っ張り出す。勇気の服はなんと血だらけになっていた。
「はぁ、はぁ、死ぬかと思った」
「ユウキ、その血・・」
「あぁ、これか?全部ビックベアの血だよ」
俺は血だらけになった服を見ながら言った。
「しかし、よく生きていたな」
血だらけの俺を見ながらフラッグは呟いた。俺自身も先ほど取った行動のおかげで助かったことに驚いていた。だかまだ問題は残っていた。
「被害は?」
顔についた血を拭いながらフラッグに聞いた。フラッグも周りを見渡して状況を確認する。
「3人がかぎ爪で吹き飛ばされて重傷、1人はビックベアに食われた。残りの私を含めた3人は軽傷だ」
(もう少し早く行動してれば死人を出すことはなかったかもしれない、クソッ!)
俺がそんなことを考えているとリリカがフラッグに体を向けた。
「私、回復魔法が得意なので騎士の皆さんを手当てしても?」
「本当か!なら頼む!」
「分かりました、すぐに手当てします」
そう言って倒れている騎士達の元に向かった。
「そうだ。さっき聞けなかった中位の炸裂魔法についてだが」
そういえば面倒なのが残ってたな、どうするか。
「聞かないでおく」
「・・・・・え?」
予想外の反応で呆気にとられた。
「君はルイスの娘とロコ村まで救った恩人であり、我々を救ってくれた恩人でもある。それにルイスから無理に詮索するなと言われているからな」
そしてフラッグは振り返って仲間の方に向かった。俺は振り返ってビックベアから時雨を抜くと血を払って鞘に戻す。
「どうしました?」
後ろに振り向くと手当てを終えたリリカが立っていた。仕事が早いな、おい。
「もう終わったのか?」
「重傷者を先に手当てしたので後はすぐに終わりました」
(リリカって意外とハイスペックだったりして)
そんなことを思っていたところふと腕時計を見ると午後6時を過ぎていた。とりあえず、
「野営の準備をするか。リリカ、手伝ってくれ」
「はい」
俺たちはすぐに野営の準備に取り掛かった。日はほとんど落ちていた。
~30分後~
「何とか間に合ったな」
野営のために起こした焚き火を見ながら呟く。もう少し遅かったら真っ暗で火を起こせなかっただろう。
「すまないな、我々のせいで野営することになってしまって」
「気にしないで。ビックベアが出てくるなんて誰も予想できなかったんですだから」
ビックベアとの戦いで負傷した騎士達を置いていくことはできないためフラッグは部下の1人に「負傷者がいるため野営をするから明日馬車で迎えに来てほしい」と伝言を伝えてビックベアとの戦闘で唯一逃げなかった馬に乗り、ロコ村に向かってもらった。明日になれば負傷した騎士達を運ぶことが出来るだろう。
「それより飯にしよう。ちょうど手頃な肉があることだし」
と言って俺は串に刺した肉を焚き火の近くに刺していく。この肉はビックベアの肉で焚き火をつけた後、リリカに手伝ってもらいながら解体して取り出したものだ。
焼いていくと肉から脂が流れ出し、良い匂いが漂う。芯までしっかり火を通して俺はリリカやフラッグさんと部下の騎士達に渡していった。
「それじゃ」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
そしてみんな串焼きにかぶりついた。
「うんめぇ!」
「肉から脂があふれる!」
「むほー!」
みんな喜んで食べていた。勇気も口に入れる。
ぱくっ
おお、ほどよい固さで肉汁が口いっぱいに広がる。塩と胡椒があればもっとうまいだろうがこれはこれで、
「うまい!」
つい口に出してしまった。
食べ終わった後、交代で見張りに立とうと思ったがフラッグさん達が治療と肉のお礼に見張りを受け持ってくれることになり俺たちは先に寝ることにした。俺はリュックから寝袋をリリカに渡す。
「これは?」
「寝袋と言って野外で寝るときに使うものだ。リリカが使ってくれ」
「でも、ユウキさんの分は?」
「俺はリュックを枕にして寝るから問題ない。だから使ってくれ」
リリカは少し戸惑ったが勇気は使い方を教えて押し付けると渋々とだが使ってくれた。
「おやすみなさい、ユウキさん」
「おやすみ、リリカ」
そう言ってリリカは眠りについた。
「フラッグさん、あとは頼みます」
「ああ、頼まれた」
そして俺も眠りについた。いつものように銃を手にしたまま。
うーん、なんかおかしいような(困惑)?まぁいっか、もし変なところがあればコメントしていただけると幸いです。
梃子とで次回 別れと新拠点




