↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/97

第六十三話 解放

 カムイがみんなの元へ駆けつける。

 部屋の様子を見渡して、親玉であろう男が倒されていることを確認する。

 彼はすぐにエレーナのもとへ駆け寄った。

「エレーナ!」

 彼女は力なく彼にもたれかかる。

 カムイは彼女の肩を支え、優しく告げる。

「よくやったな」

 彼の声には、心からの安堵と喜びが滲んでいた。



 ルージュが腕を組み、二人をじっと見つめる。

「あの二人……いい感じじゃないか」

 シュバインも静かに頷く。

「ふむ……」

 ふと、彼は少し前のカムイを思い出す。

 あの頃、確か別の女の子——リディアという子と一緒にいたことを。

(……難儀だな)

 心の中で短く呟く。



 カレンが勢いよく駆け寄り、カムイに抱きつく。

「カムイ様♡ 無事だったのですね♡

 さすがは、私の未来の旦那様♡」

「おい! やめろ!」

 彼が慌てて引き剥がそうとする。

 エレーナが明らかに膨れる。

 カレンは全く悪びれず微笑む。

「あら、嫉妬ですか? 可愛らしいですわね」

「ち、違います!」

 ルージュが大声で笑う。

「ははは! 賑やかだな〜!」

 カムイが呆れたようにため息をつく。



 シュバインが静かに告げる。

「コライスンは倒した。

 まだ街の人々が残っている。」

 カムイはカレンから離れて皆を見渡す。

「みんな、行こう。

 残りの人たちを、助けに行こう。」

 戦闘を終えた一同は、次の行動へと移る準備を始める。



 一同は中央広場へと到着する。

 そこでゼノヴィアや、ルージュの部下たちと合流した。

「お前ら!ゼノヴィアさんも無事だったか!」ルージュが声を上げる。

「はい!こちらは敵をすべて制圧しました」

 無事に敵を全て倒したことが報告される。

 すぐに捕えられた人たちの解放を急ぐ。

 全員は牢屋へと向かう。

 監禁されていた人たちを、次々と解放していく。

「助かった!」「ありがとう!」

 感謝の声が広がる。



 囚われた人たちを解放していると、空から複数の影が降りてくる。

 フラスタリア王国の騎士たちが、ドラゴンに乗って到着したのだ。

 ルージュの部下が通報してくれていたらしく、大急ぎで駆けつけたようだった。



「ロイヤルフォース騎士団、第六部隊です!

 状況を報告してください!」

 どうやらロイヤルフォース騎士団の第六部隊の人たちらしい。

 カムイは騎士たちの姿を見た瞬間、顔を青ざめさせる。

「やべっ……!」

 彼は慌ててゼノヴィアの後ろに隠れる。

「どうされたのですか?カムイ様?」

 ゼノヴィアが驚いて振り返る。

「……ちょっと、都合が悪くて......」

 父親から逃げている身だ。

 あまり騎士団の人間に顔を見られるわけにはいかない。



 状況を把握しているエレーナが、すぐに自分のローブを差し出す。

「これ、被って」

「あ、ありがとう……」

 カムイはローブを深く被り顔を隠す。

 騎士たちが広場に降り立ち、ルージュたちに事情を聞き始める。



 騎士団がコライスンや公国関係者を連行。ドラゴンに乗せて飛び去っていく。

 殺人や国家反逆罪くらいの罪になるだろう。

 第六部隊の部隊長が、ルージュたちに歩み寄る。

 長い紫の髪を優雅に流し、紫色の瞳を持つ女性——ナリア・ブランケット。

 彼女は騎士団を代表して、丁寧に頭を下げる。

「この度は、王国に代わり心より御礼を申し上げます。

 みなさまの活躍がなければ、街の人々を救うことはできませんでした」

 ルージュが手を振る。

「いえいえ、当然のことをしたまですよ!」

 シュバインがカレンの方を見て、ナリアに告げる。

「フラスタリア王国の、さらわれたご令嬢です」



 ナリアがすぐに確認する。

「はい。確かに。

 カレン・アイゼンフォルク様ですね。

 ご無事で何よりです」

 カレンは満足そうに頷くと、突然カムイのもとへ駆け寄る。

 ローブを深く被って顔を隠している彼に、近づく。

「お、おい……!」

 カムイが慌てて後ずさるが、彼女は構わず微笑む。

「大丈夫ですわ」

 そのまま、ローブの隙間から彼の頰に軽くキスをする。

「ふふ♡

 またいつかお会いできる日を、楽しみにしてますわ♡」

 カムイの隣でエレーナが明らかに膨れる。



 カレンは悪びれもせず、手を振ってナリアのドラゴンに乗る。

「それではみなさま! ごきげんよう!」

 ドラゴンが空へ舞い上がり、カレンの姿が遠ざかっていく。

 ナリアは飛び立つ前に、ローブを被った男の子をちらりと見た。

(あの子……どこかで見た気が……)

 だが、まさか同じ騎士団の第一部隊隊長・レオンハルトの息子だとは気づかない。

 広場に残された一同は、解放された人々を見守りながら、ようやく安堵の息をつく。

 長い戦いが、本当に終わったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。