夢の中へ(1)
気がつかなかったが、後ろにセレスによく似た青年が立っていた
「はじめまして 神子様
俺は……先程、女神から話にあがった勇者と呼ばれたものです
あなたとは別の世界から召喚されました
……あなたからいえばあなたの奴隷、セレスの父といえば分かりやすいでしょうか?」
「……セレスの父は淫魔だと聞いているが……?」
「ええ、そのように記憶を改竄してあります
俺の息子と知られれば命はありませんでしたから
ただ、預けた先の女が俺に固執しセレスを傷つけたのは予想外でしたが」
どこからだ?
どこからこの女神の思い通りになっていた?
「思い通りなど……セレスと縁を紡いだのはサクラあなた自身です
私はセレナーデの妨害にあい力を振るうことさえできませんでしたから
辛うじて残っていた力を使い妖精族に神託を与えたのです」
……この女神を信用していいのか?
いや……ダメだ
だって、この女神だよな?
抱きしめられないと眠れないとかいう、ふざけた呪いをかけたのは
「あの祝福もまたあなたと護人の絆を強めるために行ったことです
事実、とこを共にしたことであなたは彼等に心を開いたでしょう?」
不愉快だ……帰せ
「それは出来かねます
彼等が護人になったようにあなたにも神子としての力をつけてもらわなければ」
随分勝手な理屈だな
呼びつけておいて、力をつけろだと?
「守られるだけで良いのですか?
セレナーデは護人を殺すつもりで向かってきますよ」
アイツらを失うのはごめんだ
だが……この女神の思うままに進んで本当にいいのか?
「俺たちはセレナーデを止めたいんです
その為に力を貸してください」
……力をつけるとは具体的にどうするんだ?
「まず、この先にある泉で身を清めてください
そして、私の魔力の全てをその身に宿してもらいます」
………………?
「私の力、全てをあなたに捧げましょう」
「女神!そんなことをすればあなたは存在出来なくなるだろう!」
「ええ、ですがセレナーデを止めるためにはそれくらいの代償を払わねば
私の魔力は主に癒しですが増幅器としての役割もこなしていました
……私の役目はセレナーデの魔法の増幅器としての役割もあったのです
さあ、身を清めてきてください」
女神に促され泉に向かった
澄んだ水が心地良い……
「この水に頭まで浸かるのです
……そして帰ってきてください」
泉に足を踏み入れる
踏み入れた瞬間、場面が変わった
「ねえ、サクラったら何ぼーっとしてるの?
4限始まるよ?当たるんじゃなかったの?
英訳写とかないとしらないぞ」
「え?」
「えって何?
ほらほらハゲ先来ちゃうってば!」
そこは教室だった
そうだ!次は英語で出席番号で今日は当たる日だった
でも、昨日気になるドラマを見てそのまま寝こけ宿題を忘れたんだった
「あはは、ドラマ見て寝ちゃうとかサクラらしーよね」
「おーう、席につけよぉ〜」
「あ!ハゲ先やってきた!」
ハゲ先、禿山 敏嗣先生、通称ハゲ先
頭はハゲていないのに禿山という苗字のせいでハゲ先と呼ばれている
なかなか生徒からは人気がある先生で……
あれ?私、何か忘れてない?
「んじゃ、この間出した宿題の答え合わせからいくか〜
えーと、今日は桂木からだったよな!っておーい桂木?」
なにか大切なものを忘れてしまったような気がするんだ……
でも、それが何か分からない……
読んでくださってありがとうございました




