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エルフの里と試練

旅立ったはいいものの1番体力がないのは私である

ミズチが気を使って馬車を用意してくれたのだが酔う

何度も休憩を入れないと行けない様である


「ミコ、ミコ、酔い止めの薬なのだ」


ティルトが薬を出し、ホーリーが背中をさすってくれる

休憩中もミズチとクラウドはエルフの里への道を確かめている

クラウドの中には何故か世界地図がインプットされており

エルフの里の位置は分かったのだが……

引きこもりが旅など言いだすんじゃなかった……

でも、アイザックを治すために出来ることはしたいと思ったのだ

誰かのために……なんて……ガラじゃない


私の乗り物酔い以外は特に問題なく進んだ

奴隷達みんな大活躍だったのだ

ミズチは町に着くと必需品を値切り、安い値段で買い込んで情報収集もかかさない

ホーリーはミズチが買い込んできた食材をモンスターハウスで美味しく調理してくれる

しかも、体調に合わせた料理を出してくれるので乗り物酔いのキツい私は本当に助かった

クラウドはエルフの里までの道筋だけでなく、敵が近づいてくるのも予測し

その予測に基づいてティルトとセレスが敵を倒す

セレスは少し前までLevel1だったのが嘘のように戦えるようになっていた

アイザックが鍛えたおかげもあるだろう

……でも、セレスの頑張りが1番の理由だろう


「ご主人様、大丈夫ですか?」


「今日は馬車に乗る前に酔い止めを飲んだから大丈夫」


「無理をしないでください」


「セレスもね」


ぎこちない雰囲気が流れる

きっとアイザックがよくなれば……違う

アイザックを治せたら、セレスとは話し合わなければ


エルフの里までの道のりはこうしてある意味何もなく進んだ

問題はエルフの里についてからだったのだ


「余所者をこの里に入れるわけにはいかない!帰れ!」


あちらこちらから帰れコールである

ミズチが集めた情報で排他的な一族であると言われていたが

……これは骨が折れそうだ……


「仲間が大怪我をして霊薬が必要なんだ

どうか売って欲しい」


頭を下げると石を投げられた

通り抜ける石


「余所者に売るものなどこの里にはない

早く出て行け!」


聞く耳持たずである


「ご主人様、下がってください」


「おかしいのだ!アイザックはエルフなのだ!

アイザックを助ける為に必要なのにどうして売ってくれないのだ!」


ティルトが小さい姿のまま門番の前に姿を現す


「アイザック?お前らアイザックの仲間なのか?」


「そうだよ」


「嘘をつけ!アイツは奴隷として今も飼われているはずだ!」


門番はアイザックを知っているようだ……


「アイザックは私の奴隷だ

私の油断で彼に大怪我を負わしてしまった

彼を治したい」


「治して、またこき使うつもりか?

なら、こいつらも奴隷か?奴隷をはべらしていい気なもんだな」


返す言葉もない


「ご主人様、下がってください

我が主人は貴様が思っているような方ではない

アイザックは俺を庇って劇薬をかけられたんだ

アイツを助ける為なら……」


「ティルトだってそうなのだ!

アイザックはすぐミコのお風呂を覗いたりミコのベットに潜り込もうとしたりするけど

いいヤツなのだ!怪我をなおしてやりたいのだ!」


セレスとティルトは付き合いが長いせいか

門番に自分の思いをぶつける


「……お前らがアイザックを助けたいことは分かった

でも、エルフの里に余所者を入れることはできない」


「なんじゃ、騒がしいノォ」


その時出てきたのは長身の年老いたエルフだった


「この者らは?」


「っは!アイザックの所持者とその奴隷達です」


「あのはみ出し者ノォ」


「霊薬が必要とのことでこの里へ来たようです」


「……霊薬はおいそれと渡せるものではないノォ」


「なら、何を対価にすれば貰える?」


私はなおも続けた


「アイザックの顔は両目とも溶け、鼻も潰れている

私はアイザックを助けたい

その為に何を差し出せばいい?目か耳か?腕か?足か?」


なんとしてもアイザックを助けたいのだ


「ミコ、やめるのだ!」


「はて?ミコじゃと?

……お前さん、まさかミコなのか?」


心臓が嫌な音を立てる

でも、これでアイザックを助けられるなら……


「私は……神子だ」


「おお!それならば話は変わるというものじゃノォ

お主が本当に神子だというのなら頼みたいことがあるノォ」


「長!いいのですか?」


「よい

お主が本当に神子ならばこの天気を晴天から雨をよんでほしいのじゃノォ」


「雨を?」


そんな力は私にはない

私に授けられたのは攻撃できないかわりに攻撃されないこの体質だけだ


「3日やろうノォ

その間に雨を降らせれば霊薬をわけてやらんこともないノォ」


前にティルトが言っていた

私が願ったことは叶えられると

それはあの場を収める為の方便だったのかもしれない

でも、今はそれに賭けるしかない!


「雨を降らせるだけで良いのでしたら

私もお力になれるかと」


「ミズチ?」


「私は人魚です

水を呼ぶくらいのことでしたら簡単に出来ます」


「いかんノォ!神子は神子の力だけでやらねばノォ」


ふふふとミズチが艶やかに笑う


「何をおっしゃるかと思えば

ご老人、私達奴隷の力は全て主人の力で御座います

私が魔の力で雨をよぶのもまた主人の力に相違ございません」


そういうものなのだろうか?


「長、このところ雨が降らず作物も枯れるばかりです

ここは、どうか!」


「しかしノォ

……優秀な奴隷を見出す力も神子の力なのかノォ……?」


いや、違うと思う

うちの奴隷達のスペックが高いだけだと思う

でも、利用できるものはさせてもらう


「どうか霊薬を私たちに売ってください」


頭を下げて誠意を伝える

それだけしか今の私には出来ないから……


「長……」


「霊薬の元となる聖樹がこの天気で弱っておってノォ

雨を降らせてくれれば考えよう」


「分かりました雨をよびましょう」


ミズチが唄を歌い出す

それは言葉にならない懐かしいようで初めて知るそんなメロディだった

唄は雨雲を呼び


ポツポツ ポツポツ


「あ、め」


「雨じゃノォ」


「それじゃあ!」


「……ワシは考えると言っただけじゃノォ」


……確かにこの老人はそう言った


「神子に問おう

先ほどアイザックの為に目や耳、足や腕を差し出すと言ったな

それは誠かノォ?」


「ああ、アイザックは私にとって目であり耳であり腕であり足である」


「なら、差し出してもらおう」


老人はナイフを差し出す


「やめてくださいご主人様」


「やめるのだミコ」


「マスター、自傷行為は容認できない」


「ご主人様、恐れながらおやめください

どうしてもというなら私共が……」


「ごご主人、それはダメだべ」


本当に私は良い奴隷を持った

優しい奴隷なんかにしておくのが勿体無い奴ばっかりだ


「ダメだよ、これは主人の私の役目」


手に持ったナイフを何のためらいもなく顔に刺す


「グッ!」


グチャという嫌な音がして火を当てられたように顔が痛んだ

目に当てたつもりが眉毛のところに当たってしまったようだ

今度こそ!


「もう良い、やめるのだ!」


「普通、奴隷の為に差し出す奴があるかノォ」


老人が血が流れる顔を布で押さえてくれる


「ご主人様!」


「ミコ〜、治すのだ回復魔法使うのだ!」


ティルトの回復魔法が私に効くはずはなく血は流れるばかりだった

この体は回復魔法も防ぐようだ


「大丈夫だよティルト大丈夫だから」


「大丈夫じゃないのだ!馬鹿ミコ〜!!」


胸元でティルトが泣きじゃくる


「見せてみろ

……神経は幸い切れていないようだが無茶をする」


クラウドは傷口を覗き込みそう言った


「ご主人様、ポーションです

飲んでください」


ミズチは疲れているだろうに荷物の中からポーションを出してきてくれた

ポーションは何とも言えない……

……いや、正直かなり不味く咳き込んだがなんとか飲むことができた


「ああ、よかっただ

傷口が治っていくだ」


「まさか!ポーションで治せるからと、あのようなことを!」


「違うじゃろうノォ

お前さんの心意気確かに受け取った

聖樹が元気になったら霊薬を渡そう」


ほっとしたら気が抜け私の意識はそこで途絶えた


「ご主人様……」


「お主らは奴隷として収まる器ではないと思おうがノォ」


「俺たちは進んでご主人様の奴隷になった

この方を守る為ならなんだってするさ

こんな奴隷の為に自分を大切にしない主人だから尚更な」


「この者は神子たり得るという訳か?」


「神子なんてどうでもいい

俺たちはこの方がこの世界で幸せに暮らせるように尽力するだけだ」


「ほっほっほ、魅了もなしにこれだけの奴隷を魅了するとは

これも神子のなせる技なのかノォ?」


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